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本戦4回戦 試合後

 ラウラ達との試合を終えてリナは闘技場内にある医務室に来ていた。

 ティアとハイネは気絶しているだけで大きな怪我はなく後は目を覚ますのを待つだけだった。

 リナはティア達を心配していたのだが、試合後にラウラに言われた事が気になっていた。




 試合が終わって救護係りが倒れていたティアやハイネに駆け寄っていた時に、グラフの魔法から解放されていたリナは地面に膝をついていた。

 グラフの魔法から逃れようと魔力を必要以上に消費していたリナは疲れ果てて顔を伏せていたのだが、そんな状態のリナにラウラは言う。



「ま、今回は私達の勝ちだけど、まだ個人戦が残っているからね。それが終わるまではまだ私達はライバルどうしだ」



 そう言われたリナはラウラの方へと顔を上げると、そこには爽やかに笑うラウラの姿があった。



「さっきも言ったけどティアだってあれが全力とは思っていないよ。というよりリナ達のチームはどちらかと言うと個人戦の方が勝ち上がりそうで怖いね」

「・・・はい。ティアさんもハイネも強いですから」



 リナはラウラに納得していた。アルカとの修行中二人は一緒に修行をしていたのだが、あくまでも個人の能力を上げる為の修行だったので細かい連携はほとんど練習していなかったからだ。

 リナはそう考えてラウラにそう返したのだが、ラウラは首を振って答えを返した。



「いやそうじゃなくて、もちろんティアやハイネも強いけど私が気になったのはリナだよ」

「ボク・・ですか?」

「ああ、リナは魔法使いにしてはどうも動きがおかしい。魔法使いは複数で戦うのが常識だけどリナの動きは一人での戦いに慣れた動きだった。そりゃすぐにはわからないだろうけど見る人が見ればすぐにわかるくらいには違和感があったんだよね」

「違和感ですか・・・」



 確かにリナはAFの頃は長い期間ソロでプレイをしていたので集団戦の経験はほとんどなかった。

 しかし今のリナは当時ほどの魔法が使えなくなっているので、クレフ達と行動していた時の事をイメージして動きていたつもりだった。しかしそれを見ていたラウラは動きに違和感を感じたと言った。

 そこまで考えた所で一つの焦りがリナの中に生まれた。



(もしかして今回の大会中ずっと二人に負担をかけてしまっていたのでしょうか?だからティアさんは全力で戦えなかった?)




 リナが青ざめているとラウラはリナの肩を叩いて言う。



「ま、個人戦でそのあたりを見せてもらおうかな。ティアにも伝えておいて個人戦も私達と戦えるまで負けるなってね」

「は、はい。わかりました」

「そう、それと・・・全力のリナとも戦いたいな」



 ラウラはそう言ってその場を後にして去って行ったのだった。





 リナはラウラに言われた事を思い出してベッドで眠るティア達に視線を送った。



(怖いですけど、ティアさんが目覚めたら謝らないと・・)



 そう考えているとゆっくりとティアの目が開いた。



「ティアさん!大丈夫ですか?」



 リナが慌ててそう訊くと、ティアは頭を押さえながら上体を起こした。



「リナちゃん?・・あれ?ここは?・・・そうだ試合、試合はどうなったの?」



 ティアは完全に意識がはっきりするとそう言いながらリナの肩を揺さぶった。



「テ、ティアさん落ち着いてください。ここは闘技場内の医務室で、ラウラさんとの試合は・・・負けてしまいました」



 リナがそう答えるとティアはゆっくりとリナの肩から手を放して落ち着きを取り戻した。



「そっか・・・負けちゃったか」



 見るからに打ち込んでいるティアにリナは勇気を振り絞って頭を下げた。



「ティアさん、そのすみませんでした」

「へ?え?な、なに?」



 突然謝られたティアは何の事だか訳がわからずにいるとリナが言葉を続ける。



「その、大会中ずっと足を引っ張ってしまっていました。ボクがチーム戦の事をもっとよく知っていたらと・・」



 と、謝罪を続けていた所でティアが言葉を遮った。



「ちょっ、ちょっと待って!足を引っ張る?どういう事?」

「ボクが集団戦闘にも関わらず個人で動いてしまっていたことです」



 リナが若干涙目になりながらそう言うとティアはリナの手を握って言う。



「もう、リナちゃんが足を引っ張っていたことなんて一度もなかったよ。それどころかいろいろ魔法で助けてくれていたし、・・・だからその・・謝らないで!!」

「シェスティアの言う通り、お姉ちゃんには何も問題なかった」



 いつの間にか目を覚ましてしたのかハイネもティアの言葉を肯定した。



「ほら、ハイネちゃんも言ってるよ。リナちゃんは何も悪くないよ!ラウラちゃんとの試合は相手が強かったから負けたの。私達の修行が足りなかったそれだけ!リナちゃんは何も悪くないの。わかった!!」

「は、はい。わかりました」



 リナはティアのものすごい剣幕に押されて頷く事しか出来なかった。




 そのあと三人は目覚めたティアとハイネを念の為、医者に見てもらってから闘技場を後にした。

 帰り道の道中すっかりいつもの様子に戻っていた。



「個人戦は明後日の試合が終わってから抽選が始まるんだったよね?」

「確かそうだったと思います」」

「だったらさ明日はどうするの?」

「そうですね、ラウラさん達の試合を観戦しながらエクリスの観光でもどうですか?」

「観光、賛成」

「そうだね。ずっと試合の事ばかりだったし明日は思いっきり楽しもっか」



 「やっほー」と言わんばかりにはしゃぐティアを見ていたリナはラウラから伝言を預かていることを思い出した。



「確かにあの時はちょっと動揺してたかもしれないけど・・・」



 ラウラからの伝言を伝えるとティアのテンションが下がってしまっていた。

 リナは慌ててもう一つの伝言を伝える。



「そ、それにラウラさんが個人戦で自分たちと当たるまで負けるなとも言っていましたよ」

「そっか、そうだよね。またラウラちゃんとも戦えるチャンスだってあるんだよね。よーし明日のラウラちゃんの試合は見逃さないぞ!!」



 ティアは何とか気を取り戻して個人戦に向けて闘志を高めていた。



(ボクも・・・)



 そしてリナも同じように闘志を高めていたのだった。

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