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本戦3回戦 決着

『さあ始まりました。『新選組』と『淡紅の氷姫』の試合、いったいどういった展開になるのか!?『新選組』の面々は今までの試合では全て剣でのみで戦っていましたが、どのような相手であれ巧みな剣捌きで勝ち上がってきました。対する『淡紅の氷姫』は今大会で一番平均年齢が若いチームでありますが個々の実力には目を見張るものがあります。特に我々の想像を超える動きを見せる今大会最年少のハイネリア選手はこの戦いでどのような戦いを見せてくれるのか楽しみだ!!』



 試合が開始され実況の声が闘技場に響き渡る中、戦いを見守っていた観客から大きなどよめきが起きた。

 『新選組』の三人が素早くリナ達に迫る中、魔法使いであるリナがティア達の前に出て杖を構えたのであった。



『おっとリナ選手前へ出て杖を構えるが魔法で迎え撃つつもりなのか!?これまでの試合で『新選組』の三人は全員が遠距離魔法を剣で叩き落としす芸当を見せているのだが、果たしてどうなるのか!!』



 実況の声もリナは気にせずに迫ってくる『新選組』に攻撃の標準を合わせていく。ティアとハイネは一応の構えをとってはいるが、試合前のリナの言葉を信じリナの動向を見守っていた。



「相手は魔法を使ってくるつもりだ。手筈通り初撃の魔法を迎撃後散開して相手を個々に戦闘不能にする!」

「「了解!!」」



 オキタ達はリナの動きを確認しつつも正面から攻め込んで行く。

 そんな三人をリナは杖を構えながら見つめるとボソリと呟いた。



「すみません。なんとしてでもこの試合に勝って元の世界の情報を掴ませていただきます」



 そう言ってリナは全身に魔力をたぎらせて高らかに魔法を唱える。



「『第二制限(セカンドリミット)解放(リリース)』」



 リナが制限魔法を発動させると杖の先に青白い光が集まっていく。それを見た『新選組』は警戒を見せるがそれはもう遅かった。

 集まっていく光がソフトボールほどの光の玉になるとリナは杖を両手で構えて叫んだ。



「シュート!!」



 リナの掛け声と共に収束された光は大きな光線となって一瞬で『新選組』の三人を包みこんでいく。

 明らかに人間の反応速度を超える速度、まさに光の速度で照射された光線に対戦相手である『新選組』の面々はおろか審判や実況、観客の誰もが反応することが出来ずにただ光線に包まれる姿を見つめる事しか出来なかった。

 そして光線の光が消えていくと、そこには完全に氷漬けにされている『新選組』の姿があった。



「・・・・」

『・・・・』



 あまりの出来事に誰もが声を出せない状況で何とか我に返った審判が状況を確認しすぐに戦闘不能の合図を出した。



『き、き、決まったー!!!どんな試合になるのか見守っていた最中、一瞬で勝負をつけたのは『淡紅の氷姫』!!いや、稀代の魔法使いリナ選手だー!!!』




「「「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」」」」」



 実況の声が会場に響き渡ると同時に地鳴りのような歓声がリナ達を包み込んでいく。



「うわっ、うるさ」

「む、うるさい」



 ティアとハイネは盛り上がる歓声に耳を塞ぎながらも視線の先にいるリナを見つめていた。

 リナはと言うと、さすがに無理をしていたのか肩で息をしながらなんとかその場に立っているような状況だった。



「はぁはぁはぁ・・・流石にきついですね・・」



 リナはふらつく足を抑えて氷漬けにしたオキタ達の元に向かう。オキタ達の近くには大会の運営者達がなんとか氷を解かそうと手を尽くしていたのだが、リナの発動させた氷は簡単に解かせるような物ではないのでどうすることも出来ずにいた。

 悪戦苦闘している運営者や審判の元にたどり着いたリナは何とか息を整えてから魔法の解除を始めた。リナが杖を構えるとオキタ達を閉じ込めた氷が徐々に解け始めていく。運営者達はリナの行動を確認すると邪魔にならないようにと少しその場から離れて様子を見守っていた。

 しばらくすると氷は完全に溶けていき、オキタ達の意識も戻っていった。



「大丈夫ですか?」



 リナは自分がやりすぎてしまった事を理解していた為、申し訳ない気持ちでオキタに話しかける。

 オキタは自分の体に異常がないか確認すると、苦笑いを浮かべて言う。



「大丈夫みたいです。仲間も無事みたいですから問題ありませんよ」

「そうですか。よかったです」



 リナは胸をなでおろすと、すぐに気持ちを切り替えて本題に入った。



「早速で申し訳ないのですが、試合前に言っていた事を教えて頂いてもいいですか?」

「僕達の事についてですね。・・・この場で話しきれる事ではありませんしこの後外で会う事はできますか?」

「大丈夫です」

「では、僕達は闘技場の外で待っていますのでその時に・・・」



 オキタはそう言い残すとリナに頭を下げてから闘技場から退場していった。残されたリナも高ぶった気持ちを何とか抑えてからティア達の元へと戻ると、歓声を背中に受けながら控室に向かった。

 控室に戻るとすぐに運営から明日の試合の予定を聞かされ、三人が一息ついたのは少し経ってからだった。

 しばらくの沈黙が控室を包み込んでいたが、やはりこういう時に話題を振るのはティアだった。



「で、リナちゃん『新選組』との話はどうだったの?なにか聞けた?」



 ティアは立ち上がってリナに迫ると、単刀直入に質問をぶつけると、リナは落ち着いた様子で首を振って否定する。



「いえ、このあと闘技場の外で会う約束をしましたので、その時にいろいろとお話を聞く事になりました」

「そっかー・・・ねえ私達も一緒について行ってもいい?」

「どうでしょうか?一緒にお話を聞けるかはオキタさん達に聞いてみないと分からないですけど、それでもいいでしょうか?」

「うんそれでいいよ」



 そんなことを話し合っていると、突然ポンっとリナの膝に頭を預けるようにハイネが抱き着いた。



「やっぱりお姉ちゃんはすごかった」



 ハイネはそう言ってリナに甘えるように顔をこすりつけた。



「ハ、ハイネ?どうしたんですか?」

「なんでもない。気にしないで」

「そう言われましてもこの状態じゃあ・・・」



 慌てるリナにティアはハイネには聞こえないように耳打ちした。



「ハイネちゃんもリナちゃんが心配だったんだよ。今はハイネちゃんを甘えさせてあげて」



 ティアはそう言って笑顔を見せるとそっと二人から離れていく。そんなティアを見てリナはなんだかんだと言いってもティアは年長者なんだなっと思っていた。

 リナはオキタの話の事も気になっていたのだが、ここはティアのアドバイスに従ってハイネの頭を撫でながらしばらくの時間を過ごす事にした。



 それから少し時間が経った者の未だにハイネにしがみ付かれていたリナは、仕方なくハイネを腰に抱き着かせたまま闘技場を後にしてオキタ達の元へと向かって行いく事になったのだった。

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