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本戦2回戦 開始

 大会二日目の朝、リナ達は朝に2戦目が行われるので早くも控室に入っていた。

 1回戦目の反省を踏まえてチーム戦を強く意識して戦う事を話しあっていた。



「昨日はティアさんとハイネが分かれて戦っていましたけど、『討滅の剣』の様に一緒に戦った方が戦況は安定すると思うんです」

「そうだね。今まではピンチになった方にリナちゃんが手を貸す作戦だったけど、強いチームはチーム全員で戦ってたし私もその方がいいと思う」



 リナの提案にティアは賛成しハイネも同じように頷いていた。



「それにしてもリナちゃん、今日は大丈夫そうだね」



 昨日とは打って変わって平気そうに作戦を立てていたリナを見てティアはもう緊張してないのかと思って訊くと、リナはぎこちなくティアに視線を向けた。



「は、はい。流石のボクも昨日経験したのでなれましたよ」



 リナは乾いた笑いを出していたのだがその瞬間、観客達の歓声が届くとリナはビクッと体を強張らせて震え始めた。



「リ、リナちゃん?」

「大丈夫。ええ、大丈夫ですとも・・・」



 リナは笑顔のまま固まると、ゆっくりと部屋の隅に移動して自分の肩を抱きしめて震えていたのだった。そんなリナを慰めるように頭を撫でるハイネを見ながらティアはため息をついていた。





「『淡紅の氷姫』の皆さま、次の試合ですので準備お願いします」



 しばらく待っていると運営の人間がそう伝えに来たのでリナ達は階段へと向かった。今回は運営の案内は無かったのだが、昨日行った場所なので流石に迷う事は無かった。



「リナちゃん大丈夫?」



 なんとかティア達について来ていたリナを心配してティアが何度か声をかけたのだが、



「はい。大丈夫です・・・」



 と、まるでロボットの様に同じ返事を返すだけだった。



「ホントに大丈夫かな・・・」

「大丈夫、昨日も試合が始まったらお姉ちゃんは戦ってた」

「・・・そうだよね」



 心配していたティアだったが、ハイネが自信満々にそう言うので、信じるしかないと気持ちを切り替えて最後の準備体操をする。

 そしてしばらく待っていると、先に戦っていたチームが出ていったので、いよいよかと3人は気合を入れた。



『さあ次の試合は皆さまお待ちかね『淡紅の氷姫』の登場だぁ!!昨日のように圧倒的な魔法の力を見ることが出来るのかぁ!?』



 実況と共にリナ達が闘技場に入場していく。



『こちらも注目のチーム『ジャッジメント』!!その力その総力また見ることが出来るのか楽しみで仕方ありません!!』



 両チームがそろうと審判が同じように開戦の宣言をした。



「それでは本戦2回戦・・・始め!!」



 開始の合図と共にリナ達は走り出し作戦通り3人での総力戦で戦いに行くと、『ジャッジメント』の1人が召喚魔法を発動させた。



「『我に従いし鱗の騎士よ、今こそ我が力となりて、敵を討ち払え、召喚術:リザードマン!!』」



 召喚魔法を発動させた青髪の青年は何十匹といるリザードマンと共に攻め込んでくる。その後ろでは黒髪の女性と白髪の男性が魔法の詠唱を始めていた。

 ティアとハイネはリザードマンの相手をしながら青年の相手をしているが、数の差で徐々に押され始める。



「『死霊術:スケルトンウォリアー』」



『これはいったいどうなっているんだ!?お互いの召喚魔法で闘技場内に大量のリザードマンをスケルトンウォリアーが戦いあっているぞぉ!!・・・ちなみに観戦席には特殊な魔法結界が張られていますので干渉出来ない作りになっていますので、万が一魔物や魔法が飛んで来ても問題ありませんのでご安心してください』



 ハイネはリザードマンに対してスケルトンウォリアーを召喚していくが、地力の差でリザードマンに押し負けていた。



「ハイネちゃん、スケルトン負けてるけど・・」

「いないよりまし『妖炎』」



 ハイネの言う通り戦力がスケルトンウォリアーに割かれている分、幾分か楽にはなったのだがそれでも状況が不利な事には変わりなかった。

 妖術も発動させてリザードマンを倒していくが、倒したリザードマンの後からまた新たなリザードマンが召喚されていく。ティアもすでに何体かリザードマンを倒していたのだが、全く減った気がしなかった。

 青年はハイネが召喚したスケルトンウォリアーを殴り飛ばしながら嬉しそうに言う。 



「そっちも召喚魔法か・・しかしジャスミン!ハシドイ!準備はいいか?」

「こっちは大丈夫よ。ギンセイ!」



 『ジャッジメント』の面々が合図を送り合うと、黒髪の女性ジャスミンがまず火の魔法を放ってくる。そして火の魔法が途切れるとすぐさま白髪のハシドイから風の魔法が放たれる。それを交互に行っているので延々と魔法が飛び込んでくる。

 そしてギンセイは背負った剣を抜くと、魔法がどこに飛んでくるのかわかっているか、時折スケルトンウォリアーを無視しながらティア達に向かって攻め込んで来ていた。

 止まることのない魔法攻撃にリナも何とか氷魔法を当てて相殺していくが、それでも休みなく放たれる魔法はティア達のいる戦場に降り注いでいた。



「これは、ちょっとヤバイかな?」

「大丈夫。お姉ちゃんなら何とかしてくれる」



 二人はギンセイやリザードマン、飛んでくる魔法に何とか対応しながらも、徐々に生傷が増えていっていた。

 それでもハイネはリナを信じていたし、ティアもリナなら何とか出来ると確信していた。



「このままじゃ2人が危ないですね・・・こうなったら使うしかありませんか」



 リナは今の状況を打開する策を持っていたのだが、試合という場で使うべきか悩んでいた。しかし仲間がやられていくのを黙って見ていられる程、リナの心は強くなかった。

 そして、



「『第一制限(ファーストリミット)解放(リリース)』」



 リナは魔力を全身に巡らせながらそう呟いた。

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