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新たな目標

「いやーしかし、リナがあんなにすごい魔法使いだとは知らなかったな」



 リナ達とラウラチームはお互いに1回戦を勝ち上がったので、昼過ぎに行われる優勝候補の試合の観戦にやって来ていた。

 ラウラ達はリナ達の試合も観戦していたようで、合流してすぐにリナの肩を叩きながらラウラは大声で笑っていた。クロック達も同じようにリナ達の試合を褒め称えていた。

 一方リナ達は控室にこもっていたのでラウラ達の試合は見ていなかったので申し訳なく思っていたのだがラウラ達は特に気にした様子ではなかった。



「それでラウラちゃん。その優勝候補ってどっちのチームなの?」



 これから試合が行われるのは、『レジェンド』と『討滅の剣』の2チームだった。

 ティアの質問にラウラは指を指して答えた。



「あっち、『討滅の剣』ってチームだね」

「そうなんだ、どんなチームなの?」

「名前の通り3人とも剣を使うんだけど、それぞれ魔法も得意だから単純な戦闘をやってもまず勝てない相手だね。ティアもさっきの試合内容だったら魔法を使われて終わりだし、リナは接近されたら生粋の魔法使いみたいだからそれでアウト、ハイネは何とか戦えそうだけどそれでも勝つのは難しいかな」



 ラウラはあっさりとリナ達では勝てないと言い切る。

 ティアは反論しようとしたが、試合が始まりそうだったので、言葉を飲み込んだ。



『さぁ『レジェンド』と『討滅の剣』の試合が始まりました。どちらのチームも大会には何度も参加しているチームです。しかしお互い直接ぶつかり合うのは今回が初めてだ!いったいどんな試合を見せてくれるのかー!?』



 



 熱い実況と共に試合が始まり皆の視線が闘技場内に集まる。

 『レジェンド』は重装備の前衛が2人と魔法使いが1人のオーソドックスな組み合わせだったが、3人とも動きに無駄がなく熟練のチームという事はすぐにわかった。

 『討滅の剣』は騎士の格好をした男性2人と女性1人のチームだった。3人の動きも軽やかで一気に重装備の2人に攻めよっていた。

 3人の連携に翻弄されながらも魔法使いには向かわせないように重装備の2人はうまく立ち回り後衛で詠唱していた魔法使いの魔法が発動した。

 魔法は炎の龍の姿で3人に襲い掛かっていく。



「あ、あの魔法は火の上級魔法です」



 リナは魔法使いの発動した魔法が上級魔法という事を思わず口に出していた。



「上級魔法ってリナちゃんは使ったのと同じ魔法だよね?」

「はい。ボクが使ったのと同じクラスの魔法です」

「ってことは、あれが決まればほぼ『レジェンド』の勝ちだよね?」



 ティアはラウラが優勝候補と言っていた『討滅の剣』があっさりと負けてしまいそうになっているのでラウラに訊いてみるとラウラは難しい顔をしながら言う。



「そうだね。あれが決まりさえすれば終わるんだが・・・」



 ラウラがそう言った時場内に大きな歓声が響き渡った。



「な、なに?なにがあったの?」



 ティアが闘技場内に視線を戻すと重装備の2人が倒れ込み魔法使いに迫り寄る騎士たちの姿があった。



「え?さっきの魔法はどうなったの?」



 ティアの質問にありえない物を見たかのようなリナが説明した。



「さっきの上級魔法は騎士たち3人に切り捨てられました・・・そこから攻めに転じた3人に『レジェンド』の2人が一瞬で倒されたんです」

「あの魔法を斬った?」



 ティアは信じられない事を言ったリナに質問で返した。



「はい。ボクも上級魔法があんなに簡単に消し飛ばされた所は初めて見ました・・・」



 リナがそう答えるとラウラが付け加える。



「あれを出来るのが七聖剣の護衛騎士の最低条件さ」

「七聖剣?」



 聞きなれない単語にティアが質問すると、ラウラは驚いた顔になって言う。



「七聖剣を知らないの?珍しいね」

「そ、そうかな?」

「まあいいか。ほらあそこ主催者の席にいる茶髪の男見える?」



 ラウラが指を指す方向を見てみると確かにそのような男性が椅子に座って試合を観戦していた。



「あの男が七聖剣の一人。七聖剣ってのはこの大陸で最強の剣士の称号で全員で7人いるから七聖剣って言うのよ。まあ7人そろってるところなんて見たことないけど、一人一人がありえない程強いから7人そろうとどうなるか分かったものじゃないわね」

「へーそんなに強い人がいるのかー」



 ティアがそう言うとラウラが付け加えて言う。



「で、その七聖剣に付いている騎士が護衛騎士『討滅の剣』って事だね」

「そんな強い人に護衛なんているの?」

「まあ護衛っていうよりは強すぎる七聖剣が戦わないように露払いをしているって意味合いの方が強いんだけどね」



 ラウラの説明を聞いている内に試合が『討滅の剣』の勝利で終わっていた。



「ま、優勝候補の試合も見れた事だしご飯でも食べに行くか」

「・・そうだね私もお腹すいてきちゃった」

「ごはん。はやくいこ」



 ご飯と聞いてつまらなそうに試合を見ていたハイネが早速食いついていた。

 リナ達6人は闘技場からでると、いつもの様に露店に向かって歩いて行く。

 すると、突然ラウラが足を止めた。



「痛っ!!」



 ラウラが腕を抑える。いきなりの事で驚いたリナ達がラウラに駆け寄ろうとすると、リナの太腿にも痛みが走った。



「痛っ・・なにが・・・」



 いったい何があったのかわからないまま視線を痛みが走った方向へ向けると、試合に触発されたのか木の剣やパチンコで戦って遊んでいる子供達が何人かいた。

 おそらくパチンコの玉が飛んできたのだろうと思っていると、ティアが子供たちに歩み寄っていった。



「こらっ!こんなところで遊んでたら危ないでしょ!!」



 ティアが子供たちを叱ると、子供たちはペコリと頭を下げて走り去って行った。

 リナは痛みもすぐに消えていたのでティアにお礼を言っていると、ふと視界に入ったラウラの表情が険しいものになっていたのに少し驚いていた。



(ラウラさん子供が嫌いなのでしょうか・・)



 そんなことを思いながらいつもの様に食事を取ることになったのだが、ラウラの機嫌が戻ることは無かった。



 食事も終わり宿へ戻る途中で突然ラウラが口を開いた。



「さて、お互い大会も勝ち上がった事だし今後の事も考えて、私たちの戦いが終わるまでは会わないようにしましょうか」



 いきなりのラウラの提案に驚く3人だったが、確かにお互いぶつかり合った時の事を考えると悪いことでは無いとリナは思った。



「そうですね。もし戦う事になった時にお互い戦いにくくなりそうですしボクはラウラさんの提案に賛成です」



 リナがそう言うとティアとハイネも同意して試合が終わるまでは極力合わないようにすることにした。



「・・・試合が終わったらまた仲良くしてね」



 ラウラはそう言って走りだした。クロック達もラウラを追いかけていったのだがリナ達は追わずにただ走り去って行くラウラ達を見つめていた。



「私達も頑張らないとね」

「そうですね」

「うん」



 リナ達は必ず勝ち上がってくると信じていたラウラの為にも今度の試合も勝ちたいと心から思うようになっていたのだった。

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