トーナメント抽選
地下闘技場一番にリナ達が向かうと、そこにはすでに複数のチームが集まっていた。
そこにいるチームはどのチームも予選の時に戦った相手とは比べ物にならない程の闘気を発していた。
大剣を持った騎士や槍を持った女戦士、ローブを着た人物も何人かいるので魔法使いも多いだろう。
中にはどんな戦い方をするのかわからないような格好をした人も何人かいたのだが、そのどれもが凄みを持った雰囲気を出していた。
リナ達は、その空気に驚きながらも闘技場の中に足を踏み入れた。
人を避けるように奥へ奥へと進んでいると、
「あっやっぱりティア達も勝ち上がって来たんだ」
声がした方向に振り向くとラウラ達がすでに勝ち上がり奥の一角に場所を取っていた。
リナ達は知り合いの姿を発見したのですぐにそこに向かった。
近づくとラウラはすでに戦闘モードに入っていたので少し乱暴な口調になり好戦的な表情に変わっていたが、今までに何度か見ることがあったので、リナ達は特に気にする事はなかった。
「ラウラさん達も勝ち上がってたんですね」
「あたりまえじゃない。大会に申し込んでいた大半は雑魚だったからね」
ラウラがそう言った瞬間、闘技場内にピリッとした空気が流れる。
リナ達はそれを敏感に感じ取っていたがラウラは気にした様子もなく言葉を続けた。
「まあ、私達が優勝すると思うけど、三人とも頑張りなよ」
「は、はい・・」
そう言って笑うラウラの頭をクロックが殴りラウラを黙らせた。
「調子に乗るな」
「うぐぐ・・」
クロックの拳は毎回見ているがものすごく痛そうで、いつもラウラは殴られたあと涙目になっていた。
「いつもいつも頭を殴らないでよ!!」
「お前が調子に乗るからだ。自信家なのはいいが、もっと周りをよく見て発言しろ」
クロックのお説教が始まるとラウラは悔しそうにしながらもおとなしくそれを聞くのであった。
リナ達が騒がしくしている内に次々と予選を勝ち上がってきたチームが闘技場に入って来ており、その中にはボロボロになりながらも何とか勝ちあがってきた『クラスター』の姿もあった。
しばらくしていると、ボディガードを連れた主催者が壇上の上がった。
主催者は派手なスーツを着ているちょび髭の男性だった。主催者は音声拡張の魔道具を取り出すと闘技場内に響き渡る音声で本戦の説明を始めた。
「あー、ここにお集まりの皆さまは予選を勝ち抜いた強者の皆さまです。本戦では観客の目もありますが、存分に腕を振るい優勝を目指してください」
主催者の説明では、本戦はトーナメント形式で開始日から数日に渡って大会が続くとの事だった。
個人戦はチーム戦のベスト8が決まった翌日から数日間に渡って行われる。そして個人戦の優勝決定後にチーム戦の準々決勝戦が始まるとの事だった。
「それでは今から本戦トーナメントの組み合わせを決める抽選を行います。各チームの代表者一名は壇上に上がってこのボックスからくじを引いてください。このトーナメント表に書き込まれていきますので確認をお願いします」
壇上の上部には大きな掲示板が用意されていて、くじを引いていくたびに自動でチーム名が記されていっていた。
リナが見たことない魔道具に関心していると、
「ねえねえ、トーナメントの抽選私が取りに行っていい?」
ティアがワクワクしながらリナに言うと、リナは苦笑いをしながら頷いた。
「ええ、いいですよ。ハイネもいいですか?」
「いい」
「やったー。いいところ引いて来るからね」
ティアは気合を入れて抽選のくじを引きに行った。
次々とトーナメントの組み合わせが決まっていく中、時折場内で騒めきが起きていたが、リナ達は他のチームの事は一切しらなかったので、騒がれているチームがどのようなチームなのかわからなかった。
隣に残っていたクロックやグラフに訊くことも出来たのだが、その二人とはあまり話した事がなかったので、リナは質問せずに一応騒がれているチームの代表の顔だけ覚えておくことにした。
何人かのチームがくじを引き終えた後、ラウラがくじを引く順番になった時にも場内が騒めきだした。
(思っていたよりもラウラさん達は注目されているんですね・・)
リナはラウラ達の実力が高いことを改めて認識することになった。
ラウラ達がくじを引き終えた後にティアの順番になった、ティアがくじを引くときには特に場内に騒めきが起きなかったが、どこからか小さな悲鳴が聞こえていたが、リナは自分たちのチームどこに入るかが気になってそれどころではなかった。
抽選箱に手を入れたティアが「むむむ」と弄り取り出したくじは、ラウラと同じブロックの物だった。
リナはすぐにティアが引き当てた最初の対戦相手を確認するとそこにはまだチーム名は入っていなかったので少なくとも騒めきを起こしたチームとの対戦ではなかったので一息ついていた。
「ラウラちゃん達と同じブロックになっちゃった」
ティアは頭を掻きながら「てへへ」とラウラと共にリナ達の元に戻ってきた。
「ごめんね?あんまりいいところじゃなかったかな?」
「いえ、まだ対戦相手はわからないですが、今まで抽選していた強そうなチームとは当たることがなさそうなので良かったと思いますよ」
リナがそう言ってティアを励ましたのだが、ティアはラウラと同じブロックになったことが気になっていたのだった。
ティアがしょんぼりしていると、ラウラがティアの肩に手を置いて言う。
「ま、抽選だからしかたないよ。でも戦う事になったら手加減無しだからね」
ラウラの好戦的な励ましにティアも次第に元気になりラウラに向き合って言う。
「うん、当然だよ。私達も負けないからね」
ティアとラウラは早くもやる気満々になっていたが、戦うにはお互いに勝ち上がらなければならないのでリナは気が早いのでは?と思っていたのだがティアが元気になったので余計な事は言わないでいた。
その後リナ達の対戦相手が決まったのだが、場内は特に騒がしくなることが無かったので有名な相手じゃなさそうなことに一安心していた。
抽選も終わりに差し掛かったころ、『クラスター』の長男がくじを引いていたのでリナがなんとなく確認していると、リナ達と同じブロックでお互いに一回勝ち上がると戦う位置についていた。
長男が肩を落として壇上からおりてくると、それに代わって主催者が壇上に上がった。
「これにて抽選が終わりになります。本戦まで期間がありますので、対戦相手を確認しより良い準備を期待しております・・・それでは、・・」
本線の抽選も終わって主催者の長い挨拶がやっと終わると、本戦の注意事項の紙が配られその日は解散になった。
他の参加者が出ていくのを待ってから最後にリナ達が闘技場の外に出ると、すでに日が傾き始めていた。
「ずっと地下にいましたからこんなに時間が経っている事に気が付きませんでしたね」
リナがボソッとそう言うと、ハイネリナの袖を掴んで、
「お腹すいた」
「そうですね。少し早いかもしれませんが、夕食を買いに行きましょうか」
「前食べた。ロックリザードの肉がいい」
ハイネは自分の意見を出すとリナの袖を掴んだまま足早に歩いて行く。
「ハ、ハイネ?そんなに急がなくてもいいのですよ?」
「そんなことない。私のお腹はもうペコペコ」
「ははっ。ハイネは戦いよりも食べる事なんだね」
ラウラはそう言ってハイネと同じように小走りになる。
「よし、どっちが先に見せに着くか勝負だ」
「むむ、負けない」
ハイネとラウラが競争を始めて走り出したのだが、
「勝負はいいですけど、ボクの袖を離してくださいよー」
ハイネに袖を掴まれたまま競争に付き合わされたリナは今日一番疲れたのであった。
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