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説教としばしの別れ

 武闘大会に参加を決めた次の日、リナ達三人は修行の為にアルカの元に訪れていた。

 始めはいつもの様に修業を開始しいつ参加する事を伝えるのかタイミングを計っていた。

 前回センテリスに向かう事を伝えると、アルカが半分暴走仕掛けたので今回もしばらく会えない事を伝えると大変な事になると思っていたのでなかなか言えずにいたのだった。

 リナがそんな事を悩んでいたのだが、前の事を知らないティアとハイネはいつ伝えるんだろうと思いながらもアルカに伝えるのはリナに一任していたので何も言わずに修行を行っていた。



「『朧分身』」



 模擬戦をしていたティア達は、ハイネが分身を使ってティアの隙を狙うがティアはそれを笑って躱していく。



「無駄だよ。ハイネちゃん本人の場所が分かってるから分身での不意打ちは出来ないよ!!」



 ティアは魔眼でハイネの魔力を視認してどの分身が偽物なのかわかっているので、騙し討ちには引っかからずに対応していた。



「むう。シェスティアのその目は卑怯」



 ハイネは頬を膨らませながらそう言うが、ティアは困った様に言い返す。



「いやいや、ハイネちゃんの魔力量の方がおかしいんだからね?」



 現在のハイネの魔力量はリナを抜いている程膨大な量を誇っていた。

 ハイネがその気になれば分身を何十体も作り出すことは可能だし『不知火』を使えばティアだって対応するのは難しかった。

 一応『不知火』は危険な技なのでアルカが仲間に使うのを禁止にしていたのでハイネは使う事は無いが、ティアとの実力はまだティアの方が上だがそれでも近くにまでで迫っていた。

 しかしなかなかティアに勝てないハイネは修行にヴィトニルも加え始めた。



「ヴィトニルはこっちの仲間」

「え?それは卑怯だよハイネちゃん!?」



 ハイネの宣言にティアは驚くが、ハイネは視線を逸らしながらティアの抗議を聞こえないと言うかのように耳を折る。

 そんな二人を見ていたヴィトニルはティアに向かって提案した。



「それならば、まずはハイネリア殿と組んでシェスティア殿の木精魔法の修業をみる。その後にシェスティア殿と組んでハイネリア殿の死霊術の修業をみる。これでいいか?」

「まあそれならいいですけど・・・」

「むう」



 ヴィトニルは順番にお互いの仲間に入る事を伝えるとティアは渋々納得して、ハイネは少し頬を膨らませるがその流れでヴィトニルを踏まえた修業をすることになった。



 リナはアルカに見てもらいながら第5の制限を解放する修行に入っていた。

 アルカの見立てではもう解放されていてもおかしくはない位には魔法のコントロールは出来ているのであとはきっかけだけだとリナに伝えていた。

 リナは何とか解放しようと力を込めるがなかなか修業はうまくいっていなかった。



「そろそろ休憩にしましょうか」



 アルカがそう言ったので一度休憩に入るとになったので、このタイミングで闘技大会の事を伝えようとリナは考えた。

 少しアルカの様子がいつもと違うかなと思ったが、前回の事もあってなにか察しているのかもとリナは思っていた。

 ティアとハイネも加えてテーブルに着いた所で早速アルカに武闘大会の事を伝える事にした。



「あ、あのアルカさん」

「ん?何かしら?」

「実は1ヶ月後に隣の国のエリクスって都市で武闘大会があるんですけど、ボク達も参加しようと考えていまして」

「ふ~ん、別にいいんじゃない?」



 アルカは思ったよりもあっさりと許可をくれたのだが、アルカは続けて言う。



「ちょうど私も少しの間用事でここを離れないといけなかったから、その間にその武闘大会ってのに行ってくてばいいわよ」



 アルカも用事があってこの場を離れるので丁度いいと、今回の遠出は簡単に許されたのだがリナはアルカの用事と言うものもそうアルカが口にしたとき渋い表情になっていたので少し気になってしまった。



「アルカさん、用事って何をしに行くんですか?」

「大した事ないわよ。ちょっとしたいざこざがあっただけだから」



 アルカはそう言ってリナの質問に曖昧に答えた。

 リナはあまりこの話は聞かない方がいいのかと思ってその話題をそこで終わらせた。



 別の話題に切り替えようとしたのだが、アルカは事前に用意していた紙をリナ達に手渡した。

 紙にはアルカが戻って来るまでの間に行うようにと修業内容が書かれていたので三人は各々確認する。



「アルカ、これ難しい」



 ハイネは自分の修業内容が難しかったのかアルカに文句を言っているが、アルカは巧みにハイネを説得して修業内容を納得させていた。

 ティアは修業内容には特に問題は無かったようで紙を懐に入れた。

 リナも自分の修業内容を確認していると、今までやって来たことを反復するような事しか書いていなかったのでアルカに問うと、



「前から言ってるけど、本当はとっくに5個目の制限魔法を習得していてもおかしくないくらいにはリナの魔法コントロールはうまくなってるのよ。自分で気が付いてるかわからないけど中級魔法だって無詠唱で使えるようになってるはずなのに使おうともしないし」



 アルカは呆れながらリナを見て説教を続ける。



「それにリナったら、いつもいつも自身が無いからって魔法を使う時も悩みながら使ってるでしょ?いつも言ってるでしょ?貴女はそこそこの力は付けてるんだから自信を持ちなさいって。そうね今回の大会が良い機会だわ。いい?少なくともベスト4くらいには入りなさいよ?」

「は、はい」

「返事をしたわね?もし入らなかったらお仕置きするから覚悟しなさいよ?」

「え?そ、それは・・その・・・」

「え?じゃない。自分が返事をしたんじゃない。無理なり無理って言わないといつか痛い目に合うわよ?まあ今回は痛い経験って事にして今後は簡単に返事はしないようにしなさいね」



(ベスト4なんか無理ですよ。それに怒られてる時に反論なんて出来ないですよ・・)



 リナは何気なく訊いただけなのにここまで説教されるとは思わずしゅんとしながら話を聞いていた。

 アルカの説教はその後も続き、その説教はティアとハイネにも及んだ。



 その後修行に戻ったのだが、その日の修業はいつもよりも厳しい内容だった。



 そしてリナ達が帰る時刻になり三人がいつもの様に扉から出ていこうとすると、アルカが一言、三人に言った。



「三人とも頑張りなさいよ」



 そのアルカの言葉に三人はそろって、



「「「はい」」」



 と、声を上げて答えて元気よく帰っていった。






「アルカ姉良かったのか?」




 三人が帰ったあとヴィトニルがアルカに問う。

 アルカはヴィトニルを撫でながら答える。



「いいのよ。すぐに戻ってくるつもりだし、それにね・・・」



 ヴィトニルはアルカの言葉に驚いたが、そうだったのかとその言葉に納得した。



「リナ頑張りなさいよ」



 アルカはリナがいつも座っている椅子を眺めながら優しい表情でそう呟くのだった。

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