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センテリスへ

「え?センテリスへの馬車出てないんですか!?」



 早朝リナとティアが馬車小屋へ向かうと従業員からセンテリス行きの馬車が出ていないことを告げられた。

 従業員は申し訳なさそうにリナたちに言う。



「悪いね。流石にああいっ依頼が出てる町には危なくて向かうことは出来ないんだよ。お嬢さんたちには悪いけど定期便はしばらく出せないね」

「そんな・・依頼どうしようか」

「お嬢さんたち冒険者なら自分たちの馬車を持っているもんだがお嬢さんたちは持っていないのかい?」

「はい」

「だったらこの際買うって言うのも一つの手だと思うよ。ま、値段は大体このくらいになるけど」



 従業員が提示した金額は今の二人には到底出せる金額ではなかったので、購入はあきらめるしかなかった。



「ごめんない。購入は出来ないです・・」

「そうかい残念だ」

「なにか他に行く手段はありませんか?」

「あとは徒歩しかないけど、ここからセンテリスまで馬車だと2、3日だけど徒歩だと1、2週間はかかるかもしれないよ」



 従業員の言葉に二人が落胆していると、それを見かねた別の従業員の一人が声をかけてきた。



「うちから馭者は出せないけど古くなった馬車なら譲ってやろうか?」

「いいんですか?」

「ああ、馬ももう歳をとった引退寸前の馬だけどそれで良かったら譲ってやるぞ?」



 従業員の言葉にもう一人が「おい、いいのか?」と声をかけるがそれを宥めて従業員は言う。



「いいんだ。あれはもう廃棄する予定のもんだからな。ただし嬢ちゃんたちは馬を扱ったことはあるかい?」



 リナは今まで馬に乗ったことも無かったので首を振る、ティアも同じく首を振った。



「そうか経験なしか・・・。すまないが馬車を譲ることはできるが、それ以上の手伝いは出来ないからね」



 従業員がそう言った時だった。馬車小屋にリナ達の知り合いが訪ねてきた。



「あれ?リナちゃんとティアちゃんじゃないか久しぶりだね。いったいここで何してるんだい?」



 それはこの街の魔導具商人のモルガンだった。

 リナたちはモルガンに事の説明をするとある提案を出された。



「丁度良かったのかもね。私もセンテリスにうちの傭兵を向かわせるところだったんだ。それで馬車を借りに来ていてね」

「モルガンさんもセンテリスに?」



 リナがそう聞くと、モルガンは腕を組みながら答えた。



「センテリスにはうちの商品を卸している店があってね。なに噂ではセンテリスが魔物に襲われたらしいじゃないか。このまま店を放っておいたら貴重な魔道具まで討伐に行った冒険者に持っていかれかねないからね。そのまえに魔道具の回収だけしておきたいんだよ」

「そう言うことでしたか」



 リナはモルガンが今回の事を詳しく知っているのかと思っていたが、それは見当違いだった。



「そこでだ二人とももしよかったらうちの傭兵と一緒に護衛と言う形でセンテリスに向かってみないか?」



 モルガンの提案は今の二人にとっては絶好の提案だった。しかしあまりにも都合のいい提案だったのでそこをモルガンにリナが問いかけた。

 


「まあ二人にならいいか。今回一緒に行く予定の傭兵なんだが本来は護衛なんか必要ないくらいの強さなんだけど、この前の一件もあったから一応複数人で行ってもらおうと思っていてね。ちょうど冒険者ギルドに依頼を出す予定だったんだ」

「でしたらなぜボクたちに?」

「まあ簡単な話。ギブアンドテイクだね。君たちはセンテリスに行くことが出来る、私は冒険者ギルドに依頼もいらないし馬車代もかからない。それに何より君たちは強くて信頼できる。まあそんなところだね。どうだい?この話乗ってみないかい?」



 モルガンの提案は納得のいく話だった。リナは少し考えたがモルガンの人柄も信頼できるしティアも問題ないとの事だったのでモルガンの提案に乗ることにした。



「良かった。じゃあ交渉成立ってことで、大将すまんが馬車の準備だけ頼む。すぐに出るから急ぎでお願いするよ」



 モルガンは従業員にそう伝えるとリナ達二人を今回同行する傭兵の元へ連れて行った。

 傭兵はすぐ近くのオープンカフェでお茶を飲んでいた。テーブルの脇にはリナほどの大きさの大剣が置かれていたのだが、二人はそれを扱うであろう傭兵を見て驚いた。

 傭兵は女性だったのだ。赤いウェーブのかかった髪が特徴的な傭兵とは思えない綺麗な女性だった。



「待たせたね。この二人が今回君と一緒にセンテリスに行くことになった。リナちゃんとティアちゃんだ」



 紹介された二人がぺこりと頭を下げると傭兵は立ち上がり気さくに挨拶を交わす。



「初めまして、私はイザベラ。モルガンさんの所で傭兵をしている。しかし驚いたね一緒に行く冒険者がこんなに可愛らしいお嬢さんたちだったなんて」

「おいおいイザベラ、見た目で判断したらいけないよ。この二人は以前話した二人なんだよ」

「へぇ。それはそれは」



 驚く様子を見せたイザベラは手を出して二人に握手を求めた。



「二人ともモルガンさんを救ってくれてありがとう。この人は私の恩人でもあるからお礼させてほしい」

「いえそんな、こ、こちらもモルガンさんに助けられましたのでお互い様です」



 二人は遠慮気味に握手を交わす。

 このあとモルガンがイザベラに事の経緯を説明するとの事なので二人はその場を離れ、イザベラとの顔合わせが終わったらすぐに出発の予定だったので先に馬車を受け取りに戻った。



「すみませーん。馬車を受け取りに来たんですけど」



 ティアが元気よく声を出すと先程の従業員が出てきた。



「早かったね。馬車はもう準備してあるよ、ついてきな」



 従業員について行くと、確かに物は古いがまだまだ使えそうな馬車が用意されていた。

 馬車には屋根がないものだったが今日は晴天だし万が一雨になってもリナの魔法で何とかなるから特に問題はなかった。



「ありがとうございます」

「いや、いいんだ。俺もこいつを廃棄することにならなくなったからそれで充分だ」



 従業員にはこの馬車になにか思い入れがあるんだろうが、それを聞く間もなく従業員は戻ってしまい。すぐにモルガンとイザベラと合流することになった。



「二人ともイザベラには説明をすませておいたからこれから数日よろしく頼むよ」

「はい」「りょーかい」

「モルガンさんに二人を守るようにも言われたからね。何かあったら言ってほしいな」



 イザベラは二人にもとても好印象に映りこの先の旅でも変な気遣いもしなくて済みそうでリナとしても安心できる人材だった。



「ではモルガンさん行ってくるよ」

「「いってきます」」

「イザベラくれぐれも二人を頼んだよ。いってらっしゃい」



 モルガンは自分の傭兵よりどうもリナたちの方が心配の様子だったがイザベラはやれやれと言った様子で手を振って返すと馬車を進ませた。



 しばらく馬車を進ませているとイザベラが二人に質問をなげかけた。



「二人はどうしてセンテリスに行くんだい?魔王が出てるかもって噂だし危ないだろうに?」

「ん~、今回の依頼受ける人が少ないかもって話だったし、それにすごいお宝があるかもって聞いたからかな」



 ティアが質問に答えるとイザベラはおかしそうに笑う。



「そっかお宝が目当てか、ま、君たちなら問題は無いだろうけど、今のセンテリスはなにが起きるかわからないから充分気を付けなよ」

「はーい」



 そんな会話をしている時にリナはふと気になった事をイザベラに聞くことにした。



「あ、あのイザベラさんの武器ってその大きな剣ですよね?」

「そうだよ?何か気になるのかい?」

「い、いえイザベラさんは女性ですけどそんな大きな剣を使っているのはすごいなと思いまして」



 リナは素直にすごいと思っていたのでそのままの事を口にする。



「ああ、そう言う事か。まあ私も初めは剣と盾を持ったオーソドックスなスタイルだったんだけど、たまたま倒せた魔獣にこの剣が刺さっていてね。いざ使ってみると思いのほか手に馴染んだもんだから、そのまま使っているんだよ」

「そうだったんですか」



(魔獣に刺さっていたですか・・おそらくAFの武器ドロップはそう言うことになるんでしょうね)



 リナは予想外の所でAFとの違いを知ることが出来たので子の情報には満足だった。



 その後、その日一日は特に問題もなく三人はお互いの人柄の確認の為にたわいのない会話を続けながら道中を進むことになった。

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