修行開始!!
翌日の朝、ティアは今日も修行に行くと言って宿を出て行った。明日は依頼を受けるとのことなのでリナは特に何も言わずにティアを見送った。
一人になったリナは昨日アルカに来るように言われていたので一応は準備をしたのだがリナは未だに自分の部屋の中で悶々と悩んでいた。
(どうしましょう・・アルカさんには来るように言われていましたけど、また危険な場所に行くのは・・それに親切な方でしたけどアルカさんの事は何も知らないんですよね・・)
しばらく行くべきか、行かざるべきか悩んでいたリナの足元が突然うっすらと光始めた。
何事かと驚いたのも束の間に光の中から昨日見た魔法陣と同じものが現れた。リナは一瞬逃げ出そうとしたのだがそれもかなわず魔法陣と共にその場から消えてしまった。
「いらっしゃーい」
リナが転移した先はもちろん昨日来たダンジョンの中だった。
テンションの高いアルカは楽し気に手を振っているがリナは今それどころではなかった。さっき魔法陣から逃げ出そうとしていたリナは転移した先で勢いよく魔法陣から飛び出したのだがその先がまずかった。
リナは大サイズのヴィトニルの尻尾を思いっきり踏みつけてしまっていた。
「あ、ああああ、ああああ」
リナにはアルカの呼び声は全く耳に入らずゆっくりと体を起こすヴィトニルを涙目になりながら見つめることしか出来なかった。
しかし振り向いたヴィトニルの様子でリナの恐怖心は一気に消えてなくなった。
「な、なぜ泣く!?お、おいリナ殿、お主に泣かれると我が困るのだが!!?」
慌てた様子で立ち上がるとおろおろし始めた。
そんなヴィトニルを見てキョトンとしていたリナだったが背後からヴィトニルに劣らない威圧感を感じた。
「だ~か~ら~、なんでリナを泣かしているのよーー!!」
そう言ってアルカが放った魔力弾にヴィトニルは吹っ飛んでしまった。
その一部始終を見ていたリナはあまりにも桁外れな力に唖然としてしまってその後アルカの言われるがまま昨日と同じテーブルに着いていた。
「落ち着いた?」
「は、はい。すみません」
半泣きになっていたリナはアルカの入れた紅茶を飲みながら精神を落ち着かせていた。
そんなリナを見てアルカは立ち上がってリナの頭を撫でるとリナの前にしゃがみ込んで両手を握った。
「リナ修業を始める前に言っておきたいんだけど、その気の弱い所は直しなさい。もし何かあった時リナの大切な人がそばにいたとしてもそのままじゃ何も出来ないまま失ってしまうかもしれない。貴女自身が死んでしまうかもしれない。そうならないように心を鍛えなさい」
「はい」
「私が修業を見てあげるんだから簡単に死んだりしたら許さないからね」
「はい」
リナがまっすぐアルカを見てそう返事をするとポンポンとリナの頭を撫でてアルカは立ち上がった。
リナも同じように立ち上がると座っていたテーブルや椅子が消えていった。
「よし。じゃあ早速修行を始めたいんだけど、まずは昨日見せてくれた魔法もう一回見せてくれる?」
「制限解放の事ですか?」
「そうそれ」
「わかりました」
第四制限解放まで見せると腕を組みながらそれを見ていたアルカが口を開いた。
「昨日も思ったんだけどその魔法もっと強い魔法のはずよ?」
「え?」
「こっちに来てみなさい」
アルカの手招きに応じて小走りで近寄るとリナの右手をアルカがつかんだ。
「見てなさい。・・・はっ!!」
アルカが魔法を発動させるとリナの第四制限解放と同じ氷の壁が二人の前に出現した。
同じ魔法の様に見えるそ氷の壁にリナが疑問を感じているとアルカがヴィトニルを呼ぶ。
「ヴィトニル炎弾をこの壁に放ちなさい」
ヴィトニルはアルカの指示の通りに口から炎弾を放つと氷の壁にぶつかった。
リナは炎弾の大きさを見て氷の壁を溶かしてしまうと息をのんだのだが実際には氷の壁にぶつかった炎弾はその形を保ったまま凍り付いてしまっていた。
「え?」
「ヴィトニルそのまま雷弾、空弾、水弾、岩弾、光弾」
リナが驚いているのを置いてアルカは次々と指示を出していく。
次々に氷の壁に命中する魔法弾はすべて凍り付いていった。
「わかったリナ?この魔法は本来どんな攻撃だって凍てつかしてしまうもの、もちろん直接攻撃を受けると攻撃した本人諸共凍り尽くす絶対の壁なの。ほかの魔法も同じよ?他のは攻撃魔法だから安易に見せれないけど本来の魔法は一つだけでも強力な魔法なのよ」
「これが本来の魔法・・・」
「そうリナの記憶を戻すのには封印を解放していくしかないけどまずは今使える魔法を使いこなせるようにしましょう。その修業をしていれば他の封印も解放される可能性もあるかもしれないからね」
「はい!!」
リナは目の前で見せられた魔法に感動しこんな魔法が使えれば今後安心できるだろうと修行によりやるきを見せた。
「よしいい返事だ。じゃあまずは、魔力集中の修業を始めましょう」
「え?」
「だから魔力集中」
「えっと魔力集中ならボクもうできますよ?」
「ほんとに?見せてみて」
リナは魔力集中を始めたのだがしばらくするとアルカから待ったがかかった。
「んーそれも魔力集中なんだけど違うわね」
「どこが違うんでしょうか?」
「やってほしいのはリナの持ってる全魔力を使うのよ」
アルカの言葉にリナは愕然とした。本来魔力集中は魔法の発動に必要分の魔力を練りだす事なのだがアルカは全魔力を集中させろと言い切った。
「そ、それは無理なんじゃないですか?」
「何を言ってるの?本当の実力者はみんなできるわよ?」
アルカが言うには実力者は皆、全魔力集中は簡単にできる。魔法の詠唱も本物は必要としない。魔法の詠唱は魔力集中をより簡単にする為の物だと。
リナの認識では実力者が修行して初めて一つの魔法を無詠唱化できるものだと思い込んでいたのでアルカの発言に驚いていた。
「ま、まだそこまで行くには全然だけどそれでも記憶が封印される前くらいにはしておいたほうがいいわよ?」
「わかりました」
「じゃあまずはさっきの魔力集中をはじめてそれから少しずつ集められる魔力を増やしていきなさい」
「はい!!」
アルカの言うとうりに修業を開始したリナだったのだが、なぜアルカが前の状態のリナの事を知っているのかという事に気が付くことが出来なかった。
しばらく魔力集中の修業をしているとアルカが修業を止めに入った。
「リナこれもってなさい」
アルカから手渡されたのは青い丸薬だった。
「これは?」
「魔力を抑える薬よ。これからの修業で万が一暴走したりすると抑えるのが大変だから念のためにね。無くなったら言ってちょうだい。また作って来るから」
「わ、わかりました」
リナは頷くと手にした丸薬2つをアイテム袋に入れて残ったひとつをすぐに取り出せるようにスカートのポケットにしまった。
魔力の暴走に若干おびえながらもリナは再び修行に戻っていった。
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