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依頼完了

 レーヴァテインから尾羽をもらった翌日の昼過ぎにリナとティアはエルトレームに戻ることが出来た。



「おお、二人ともよく戻ったの」



 ソフィアは無事に戻ってきた二人を両手を上げて迎え入れた。

 リナとソフィアは恥ずかしそうにしながらもソフィアの胸に飛び込んだ。



「二人とも怪我はなかったかの?」

「はい。大丈夫です」

「そうかよかったよかった。それで霊鳥の尾羽は手に入ったのかの?」

「はい。これです」



 リナはアイテム袋から霊鳥の尾羽を取り出すとソフィアに手渡した。



「これが霊鳥の尾羽・・。そうじゃリナこれも用意しておいたぞ」



 ソフィアは懐から小さな小瓶を取り出した。



「これが神水じゃ、これと同じものが後5本あるのじゃが足りるかの?」



 リナは受け取った小瓶の中身を確認した。



「はい。これで大丈夫です。これと同じものがあと3本あれば作業に取り掛かれます」

「よし、用意させる。で、作業はどうする?戻ってきてすぐじゃし明日からにするのかの?」

「いえ、材料もそろいましたしすぐに取り掛かりたいと思います」



 リナはキラキラ輝くような笑顔でそう答えた。

 リナは魔法使いではあるが錬金術師として道具を作成したり直したりするのも嫌いではなかったので久しぶりの大仕事でワクワクしていた。



「まずはアイテムの合成などを行いたいのでどこか部屋をお借りできますか?」

「それなら向こうに空き部屋があるから自由に使うとよい」

「ありがとうございます。では早速作業に入りますので時間をいただきますね」

「頼むのじゃ」



 空き部屋に入ったリナは、まず特殊結界宝玉の修理に必要な道具を作るためにアイテム袋から紅蓮龍の牙とギガントスライムの核を取り出しレーヴァテインから貰った霊鳥の尾羽とソフィアに貰った神水を作業台の上に置く。

 最初に紅蓮龍の牙と霊鳥の尾羽をリナ自身の魔力を利用して合成に入る。

 AFの頃だと完成までの時間の間はただ待つだけで大丈夫であったがこっちの世界では、完成まで魔力を注ぎ込み続ける必要があった。

 今回のアイテムは特殊な物なので6時間程の時間が必要だった。



「よし、こっちに来てからこんなに長い時間魔力を注ぎ込みつ続けるのは初めてですけど、頑張りましょう」



 リナは気合を入れて魔力を注ぎ込み始めた。



 日が傾き始めたリナが作業している部屋にティアが入ってきた。



「リナちゃん夕飯できたけどどうする?」

「すみません。今手が離せませんので後で頂きます」



 リナは視線をアイテムから逸らさずに返事をする。

 ティアはリナの魔力が若干少なくなっているのが気になりつつも、今リナが頑張ってるのは自分たちの為なんだと止めたい気持ちを我慢してその場を後にした。



 ティアが去ってからしばらく時間が経つとようやくアイテムが完成した。リナはそのアイテムとギガントスライムの核、神水をもって特殊結界宝玉のもとに向かった。

 その途中ソフィアとティアに偶然出会った。



「あ、ソフィアさん今から特殊結界宝玉にこれを組み込みます。精密な作業になりますので明日の朝までは部屋に入らないようにしてください」

「え?今からってリナちゃんご飯食べたの?」

「えっと・・」

「ちゃんと食べないとだめだよ。ちょっと待ってて」



 ティアはそう言ってその場を後にした。



「リナよ大丈夫なのかの?無理をせずゆっくりやってくれてもかまわぬぞ?」

「大丈夫です。この作業が終わったら特殊結界宝玉は完全に直りますので楽しみにしていてください」

「そうか」

「リーナーちゃーん」



 ティアが声を上げて戻ってくる。



「これ元気になるから食べてね」



 ティアからおにぎりに似た食べ物を手渡されたリナは笑顔で受けとり二人と別れた。




 特殊結界宝玉の部屋に着くともらった食料を食べて修理の準備を始めた。



「よし、これで」



 リナはアイテムをすべて特殊結界宝玉に組み込みさらにそこから魔力を放出する。この魔力は普通の魔力と違い錬金術師としてのスキルを利用した魔力を利用するため非常に集中力を使うものだった。

 夜中の間ずっとリナは特殊結界宝玉から目を離さずに魔力を注ぎ込み続けた。



 そして翌日の朝、特殊結界宝玉の修理は完了し綺麗な青色に光り輝いていた。



「よかった。無事にできた」



 リナは特殊結界宝玉が輝きを取り戻したのを確認したと同時に急激に眠気に襲われてその場で眠ってしまった。



「んん」

「起きたかの」



 リナが目を覚ますとソフィアの顔が目の前に広がっていた。



「あ、ソフィアさん・・・え?」



 気が付くとリナはソフィアに膝枕をされているところだった。

 リナは急いでその場から離れると勢いよく頭を下げた。



「す、すみません」

「気にするな、気にするな・・で、これは直ったということで良いのかの?」



 ソフィアは光り輝く特殊結界宝玉をペチペチと叩きながらリナに問う。



「はい。問題なく直っています。ただ結界を通れる人たちの設定は念の為に再度設定しなおしていた方がいいと思います」

「そうか、わかった」

「あとは、大丈夫だと思いますが万が一魔力の通りが悪くなった時のためにこれを」



 リナは余った材料をソフィアに手渡した。



「これを特殊結界宝玉に流し込めばまた流れが良くなりますので」

「おお、すまんの。そうじゃティアのやつが気合を入れて朝食を作っておったから食べてくると良い」

「はい。ありがとうございます」

「それと今日の夕刻ごろにわしの家にある会議室まで来てくれるかの」

「わかりました」



 リナはそう返事をし部屋を後にした。

 


 その後リナは朝食をティアから貰い指定された時間まで里を一人でゆっくりと観光して回った。



(良いところですけどそろそろここを出ないといけませんね。あとでそのことについてもソフィアさんに話しておきましょうか)




 今後の事を考えながら時間を使い時刻は夕刻に差し掛かっていた。

 リナはソフィアの家に着くとそのまま会議室へと足を踏み入れた。



「よく来たの」



 会議室に入るとそこにはソフィアの姿があった。他にも里の偉そうな人たちもたくさん座席についていた。周りを見渡すとティアやエドアルドの姿があった。



「おぬしが直してくれた特殊結界宝玉はしっかりと起動しておる」

「よかったです」

「おぬしに言われた通りこの里の者の登録もし直しておいた、もちろんリナおぬしもの」

「え?でもボクはこの里の人じゃ」

「いいんじゃよ。おぬしのしてくれたことには感謝してもしきれぬほどの事じゃった。そんなおぬしがこの里に入ることは誰も咎めはせん。この場にいる皆の総意じゃ」



 ソフィアはそうって姿勢を正す。



「そこでの、リナに何か感謝として送ろうと思っての」

「いえ。気にしないでください」

「しかしのぉ」

「でしたら、あの日に聞いたことですけど思い出していただけましたか?」

「すまぬ、そこは全く思いだせんでの」

「そうですか」



 リナはせっかく見つけた元の世界の情報に繋がるものだったので少し残念な気持ちになっているとソフィアが手を叩き奥から瓶を持った侍女がでてきた。



「そのことについては力になれずに申し訳ないのでの、リナにはこれを送ろうと思う」



 ソフィアが液体の入った瓶をリナに手渡す。



「これは?」

「これはエルフの秘薬じゃ。これを使えば即死でもない限り命を救うことが出来る。四肢の再生ならまず問題ない」

「それって・・・」

「ああ、この里の一番の宝と言っても過言ではない。実はのこの前の賊どもはこの秘薬を狙ってのものだと思っていたのじゃが、一切荒らされてなくての」

「そんなもの頂けませんよ」



 リナは慌てて受け取った瓶をソフィアに返そうとするがその手をソフィアはリナに返した。



「心配するな、時間を掛ければ秘薬はまた作れる。これはわしらからの感謝と言うことで受け取ってもらえて方が今後の事を考えても我々としても負い目がなくなるので損はないというわけじゃ」



 リナはそんなことは建前だと気が付きつつもソフィアや周りの人たちの気持ちを受け取って素直に秘薬を受け取ることにした。



「ありがとうございます。ではお礼として頂くことにします」

「うむ」



 リナがそういって受け取るとソフィアも笑顔になり大きくうなずいた。

 周りの人たちも頷き拍手をする者もいた。

 


「それで、リナよ。おぬしは今後どうするのじゃ?」

「はい、ボクは明日にでもこの里を出ようと思います」

「やはりか・・止めても無駄じゃろうな」



 ソフィアはわかっていたかのように腕を組んだ。



「それなんだけどおばあ様」



 そこで突然ティアが声を上げた。



「私もリナちゃんの旅に付いていきたいんですけど」

「ダメじゃ」



 ティアの言葉に食い気味でソフィアは言う。



「どうしてですか?」

「そりゃリナの旅にはわしが付いて行くからじゃ」



「「「「「・・・・・・・・・ええええええええええええええええええええええええ!!?」」」」」

感想、ブックマークありがとうございます。

二話投稿です。

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