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黒衣の仮面

「リナ気を付けるのじゃぞ」

「はい」



 リナとソフィアは小屋の前に立つと、ソフィアがゆっくりと小屋の扉を開いた。

 その瞬間黒いもやもやとした黒い影がソフィアに向かって飛んできた。



「ソフィアさん危ない!!」



 リナはすぐそれに反応し、ソフィアの上に覆いかぶさるように飛び掛かるとその黒い影を回避した。



「な、なんなのじゃ?」

「あれは闇魔法・・・」



 リナがそうつぶやき黒い影が飛んでいった先に視線を送ると、黒い影はその場に倒れていた見張りの男に命中すると男の前進を覆い始めた。



「あれは?」

「おそらく闇魔法の一つです。どんな効果があるのかはわかりませんが当たると危険なことには変わりませんので気を付けてください」

「わかったのじゃ」



 気を引き締め小屋の中に入っていくとそこには全身真っ黒のローブを身に纏い不気味な仮面をつけた者が奥に佇んでいた。



「お主が今回の件の首謀者かの?」

「・・・」

「沈黙は肯定と取るがかまわんかのう?」

「・・・」

「ならば行くぞ!!」



 なにも発言しない仮面の者にしびれを切らしたソフィアは剣を構え仮面の男に突撃していく。

 しかしソフィアが動き出すとともに仮面の者も行動を始めた。



「『呪殺(カースド・デス)!!』」



 仮面の者が一言発すると黒い包帯に覆われた手から先程の黒い影が飛び出した。



「無詠唱!?ソフィアさん!!」

「ぬ!?」



 ソフィアは黒い影を危機一髪で回避するとリナの立っている所まで一足で引いてきた。



「無詠唱の呪殺魔法なんて・・・」



 リナは自分の目の前で起きた出来事を信じることが出来なかった。



「リナ呪殺魔法とは何なのじゃ?響きからしてよくないものなのはわかるのじゃが・・」

「呪殺は闇系統の魔法でも最上級の魔法に分類される魔法です。効果は命中した相手をほぼ100%殺害する魔法です」

「それは厄介じゃの。なにか弱点はないのかの?」

「呪殺、最上級の魔法の詠唱にはかなりの時間が必要になるって言うのが一番の弱点なんですけどあの人はそれを無詠唱でやってきています。それ以外の弱点とすればあの黒い影が見たところゆっくりとしか動いていないことですけど、早くなる可能性を考えるとそれも難しいですね」

「そうか・・・ならどうするかの?」

「ボクが魔法で攻撃します。ソフィアさんはその間の時間稼ぎを危険ですので呪殺には気を付けてください」

「了解した。任せたぞ」



 リナはコクリと首を縦に振ると魔法の詠唱を始めた。

 ソフィアはそれを確認すると仮面の者に向き直り剣を構えた。



「お主にはわしの相手をしてもらうぞ?」



 ソフィアは素早い動きで仮面の者に斬りかかる。



「『呪殺!!』」



「おっと」



 しかし仮面の者も迎撃に移る。

 ソフィアは魔法をギリギリで回避するとそのままの勢いで仮面の者に斬りかかりその斬撃は仮面の者の胴体を二つにするのには十分な威力があった。



「なっ!?」



 仮面の者はソフィアの斬撃を片腕でガードする。

 確実に切り裂ける勢いのあったソフィアの斬撃はまるで鉄でも攻撃したかのような硬さにその威力を奪われてしまった。

 狼狽するソフィアに仮面の者は拳を握りしめソフィアの鳩尾へとカウンターを放ってきた。



「くっ」



 それでもソフィアは持ちこたえ仮面の者に斬撃を続ける。

 しかしその斬撃にも手ごたえはなくただただ鉄の棒を殴っているかのような感覚だった。



「『呪殺!!』」

「っと、危ないの」



 ソフィアが仮面の者の攻撃を回避したその時だった。



「『氷精よ、我に力を与え三つの鏃を、アイスアロー!!』」

「『氷精よ、我に力を与え三つの刃よ、敵を切り裂け。アイスソード!!』」

「『氷精よ、我に力を与え無数の刃を、敵を貫き降り注ぎ、食らい尽くせ、アイスレイン!!』」



「ソフィアさん引いてください。準備が整いました」

「任せるぞ」



 ソフィアが仮面の者の意識をそらしてくれている間にリナは魔法の詠唱を終え攻撃に移った。

 リナの詠唱していた三つの魔法が仮面の者に襲い掛かる。



「『氷精よ、大気の水を我の力に、彼を切り裂け、薙げ散らせ、力を持って、吹きすさべ、ブリザードランス!!』」



 リナは敵の行動を読み回避するであろうポイントにより強力な魔法で決めるつもりで魔法を放った。

 しかしリナの思惑とは違う行動を仮面の者はとった。

 仮面の者はリナの魔法を躱すことなく右手を上げると黒い影を盾の様に展開し全ての魔法攻撃を受け止めてしまった。



「これは・・まずいの」



 その様子をみてソフィアは恐怖で身を震わせた。それほどまでにリナの魔法は強力で自身で受けきれるとはとても思えないほどの怒涛の攻撃だったのだった。

 リナにしてみてもこのような方法で攻撃を防がれるとは思っていなかったため動きを完全に止めてしまっていた。



(まさか防御魔法まで無詠唱で発動できるなんて・・・)



 驚愕していた二人だったのだが仮面の者の行動で我に返った。



「氷の魔法・・そこの女、お前・・・」



 それは初めて仮面の者、男が発した言葉だった。

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