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特殊結界宝玉

「どういうことですか?」



 ソフィアの言葉にリナが聞き返す。



「実はの、この特殊結界宝玉はこの森に入って来るものを迷わせ外に追い返す仕組みが組み込まれておっての、今まではその結界のおかげで外界の者たちの侵入を許すことは無かったのじゃがここ数年は特殊結界宝玉の調子が悪くなっての。何度か外界の者が侵入しておるのじゃ」

「それってもしかして」



 リナの顔が青ざめる。



「そうじゃその侵入者というのが人族なのじゃ」

「でもどうして人族がここに?」

「わし達エルフは人族に比べると寿命も長くて人族から見るとエルフの者たちは皆美しく見えるようでの、奴隷としてさらっていこうとする者共がやってくるのじゃ」

「・・・」

「今は何とか木々の精霊たちの力を借りて迷いの魔法を使っておるがそれでも高位の探知魔法が使えるものならここまでたどり着くことが出来てしまうのじゃ」

「実際にここまで来たことはあるんですか?」

「・・・あるの。なんとか追い返しておるが次に攻め込まれるとちとまずいからの。警戒はいつもよりもより強くしておるところじゃ」

「それで初めに出会ったときにあんなに警戒されていたんですね」

「最近ではああやって森の巡回をしていないと里の安全を保てなくなってしまっての。それに木々の精霊たちの力を借りて魔法を使っておると他の動物たちもいなくなってしまって食料の問題もでてきておる。それでいろいろと困っておったのじゃ」



 ソフィアがやれやれと言ったように首を横に振る。



「そう・・ですか・・・」



(ボクが直接関係がないとはいえ人族がエルフの人達を襲っているのはよくありませんね。それにボク個人としても奴隷みたいなものは好きじゃありませんしこれは仕方ないですよね)



 リナはソフィアの話を聞いて多少自身の本来の力がバレようとも本格的に頼みごとを解決することに決めた。



「そう言うことでしたら、早くこれを直さないといけないですね」



 リナがそういうとソフィアも笑顔になったのだが、また少し顔を曇らせた。



「ここまで話してなんなのじゃが、この特殊結界宝玉はかなり強力な物じゃった。修理してくれと頼んだのはわしじゃが出来るのかの?」



 ソフィアが心配そうにそういうとリナは特殊結界宝玉に触れながら答える。



「たぶん大丈夫です。・・・この特殊結界宝玉、元々は青く光っていませんでしたか?」

「そ、そうじゃ。何でわかったのじゃ?」

「魔道具はよく見ればわかるんですよ」

「そうものなのか?」

「いやいや私に聞かれてもわからないですよ」



 ソフィアがティアに問いかけるがすぐさまティアも首を振って否定した。



 リナは簡単ですよと言ってはいるが実際にはそんなことは無く、熟練の錬金術師でさえ特殊結界宝玉に関してはその構造の把握どころか修復なんてできるものではなかった。

 特殊結界宝玉とは、AFでは遥か昔に神々が地に降りてきた時に創って行ったと言われていた超レアアイテムであった。

 実はリナは一度だけAF時代に特殊結界宝玉に触れる機会があったのだった。その時の特殊結界宝玉は今回ほどの大きさの物でもなかったのでソロでプレイしていた時期でもあったことから情報も無くリナは普通のアイテムと思ってあるアイテムを造る為の素材として使用してしまっていた。

 その時分解した際に出てきた説明文で特殊結界宝玉の詳しい説明と貴重さを知り後悔していた時期もあったのだが、副産物とはいえ特殊結界宝玉の内部構造と修理、修復に必要な素材の把握と実際の修復までならできる技術が手に入っていた。

 これは実際に特殊結界宝玉を分解しアイテムとして利用しなければ習得できないレアスキルであったため、おそらくではあるがAFの世界でこの技術を持っていたプレイヤーはリナだけだったであろうとリナ自身は思っていた。



「この特殊結界宝玉は老朽化が原因で魔力漏れしてしまっていることと、あとは魔力が巡回する回路が一部欠損してしまっていますね」

「そ、そこまでわかるのか?」

「はい」

「して、それを直すことは可能なのかの?」

「一応はできるんですが・・・」

「どうしたのじゃ?」



 言葉を詰まらせるリナにソフィアは戸惑いを見せた。



「いえ、修復に必要な素材なのですが、それがちょっとですね」

「何が必要なのじゃ?」

「紅蓮龍の牙と霊鳥の尾羽、ギガントスライムの核と神水ですね」



 リナが淡々と必要素材を説明していくとだんだんと二人の表情が暗くなっていった。



「リ、リナちゃん、紅蓮龍ってあの紅蓮龍?」

「えっと、たぶんその紅蓮龍であっていると思いますけど」

「それに霊鳥とギガントスライムって言ったよね?」

「はい、いいました」

「やっぱり聞き間違いじゃなかったんだ。ねぇおばあ様これはあきらめた方がいいんじゃないですか?」

「そうじゃのぉ。流石に厳しいのぉ、神水ならあったのじゃがのぉ」



 ティアとソフィアは残念そうな表情で修理をあきらめるしかないと考え始めていた。

 それもそのはずで紅蓮龍は冒険者ランクで言うと最高ランクの者たちが数十人以上でかからなければ討伐できない魔物であり、霊鳥は強さだけで言うならそこまでの強さではないのだがなかなか出会うことが出来ない希少な魔物で、ギガントスライムも何もかもを飲み込むスライムでその大きさが家一軒程度なら軽く呑み込めるほどの大きさの魔物で危険な魔物の一体だった。

 エルトレームにはそれらを討伐できるほどの手練れはいなかったし、ましてや侵入者対策のために他に人手を割くことが出来ない状態だった。



「すまんのぉリナ、せっかく見てくれて悪いのじゃがわしらではその素材を集めることが出来ぬ」



 ソフィアはとても残念そうに頭を下げた。



「え?いえいえ紅蓮龍の牙とギガントスライムの核ならボクが持っていますので後は霊鳥の尾羽と神水だけ足りなかったんですが、そうですか神水あるんですか」

「「ええええええ!?」」




 驚いている二人をよそにリナはよかったよかったと頷いていた。

 実は神水はある一定の時期にいくつもの条件がそろっていなければ取ることのできないものだったのでどうしようかと考えていたのだった。



「ところでソフィアさんこのあたりに高い山のある場所ってありますか?」



 未だ驚いている二人にリナはそう問いかける。



「え?ああ高い山なら・・・」



 そんな時だった突然木々の精霊たちが点滅発光を始めた。



「これはいかん」



 ソフィアとティアは慌てて駆け出した。リナも突然の事で驚いたのだがとりあえず二人について走っていった。



「いったいどうしたんですか?」



 走る二人にリナは問いかける。



「木々の精霊たちが教えてくれたのじゃ」

「何をですか?」

「この里に侵入者が入ったのじゃ」

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