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転移の先

 (エクラドからできるだけ遠くに・・・見つからない場所に)



 リナはそう力を込めながら転移結晶を起動した。





 転移の衝撃で気を失っていたリナが目を覚ましたのは大小の木々が生い茂る森の中だった。

 森の中にはエクラドの近くでは見ることのできない草花が群生していた。それはこの森はエクラド付近の森ではないことを物語っていた。

 リナがあたりを見渡すと風で草花が揺れているだけでそこに生物のいる様子はなかった。

 あたりの確認を終えたリナは転移結晶がうまく起動したのだと安堵した。



(しかしここはいったいどこなんでしょう?)



 ふと我に返ったリナは、今自分がどこに居るのかが分からないことに気が付いた。



(エクラドからはずいぶん離れた場所に来ているはずですから、もしかすると人のいない森の中に飛んでしまったかもしれないですね)



 リナはまずはあたりの安全を確認するために辺りを散策することにした。



(それにしてもここは暑いですね)



 森の中を散策していたリナは汗が止まらなくなっていた。

 この森の中はずいぶんと暑かった為、あまり良くないと思いながらもリナは上着を脱いだ。

 今のリナの恰好は半袖とミニスカートという森の中の恰好としては相応しいとは言えない状態になってしまったが、ずいぶんと涼しくなった。

 暑さから解放され汗が引いてきた頃、リナは不意に何かを感じ取った。

 


(?・・・・おかしいですね何か感じたような気がしたんですが)



 後ろから一瞬気配を感じたリナだったが、もうその気配を感じることが出来なかった。もう一度気配を感じた方向に意識を集中しても特に何かを感じることはできなかった。

 その後も全く気配を感じなかったリナは、先程気配を感じたことは気のせいだと判断して散策を再開することにした。

 何かこの森の手がかりも安全確認のついでに探していたのだが、どれだけ森の中を進もうとも手がかりなど存在せず生き物のいる様子もなく、ただただ草木が生い茂っている森が続いていた。



(しかしこれは困りましたね・・・転移結晶も使い切ってしまいましたし、このままでは飢えてしまうかもしれません)



 現状リナの手持ちには少しの食料しかなかった。幸い飲み水に関しては魔法を使えば確保することが出来るので何とかなりそうなのだが、今持っている食料がなくなってしまってはもう食べるものがなかった。

 この世界での一般的な森の抜け方は魔物などが現れなければ植物を口にするのだが、リナには食べられる植物の見分け方は分からないため容易に口にすることはできなかった。



 何とか食料の確保をと生き物の気配を探しながら森を歩いていたリナは、かなりの時間が経過していることに気が付いていなかった。

 リナが時間の経過に気が付いたのは日が沈みかけてあたりが暗くなってきた頃だった。



(いつの間にこんなに時間が経っていたんでしょうか。今日の所は完全に日が暮れる前にどこか寝れるような場所を探さなくては)



 リナは今日の探索は中断し寝床になる場所を探すことにした。



(・・・このあたりはよさそうですね)



 幸いなことにちょうど大木の根元が穴になっている場所をすぐに見つけることが出来たので、リナはそこで一休みすることにした。



「このまま寝てしまうのは気持ち悪いですね・・・」



 リナはオーガたちとの戦闘や森の中の探索などずっと動きっぱなしの上、汗も沢山かいていたので休む前にまずは体を洗おうと衣服を脱ぎ取り魔法を唱えた。



「『水精よ、我に力を与えよ、ウォーター』」



 アイテム袋から取り出した木桶の中に水を貯めていった。

 冷たい水に耐えながら体を洗っているとリナの耳に森の奥からの物音が響き渡った。

 突然の事で驚いたリナは、急いで森の奥に意識を集中させると今まで感じ取ることができなかった生き物の気配がはっきりと感じられた。



「だ、誰ですか!?」



 気配のする方向を警戒しながら杖を構えたリナはそちらに向けてとにかく声をかけた。



(先程の気配は魔物や獣の気配じゃないですけど人の気配とも少し違う気がします・・)



 気配はまた消えてしまっていたが、確実に何かいることを確信したリナは警戒しながら気配のあった方向へと足を進めた。

 ゆっくりと足を進めながら木の上や茂みに警戒していると、足元に何か水のような感覚が伝わってきた。

 リナは足元に手をやってみると手には、真っ赤なものが付着していた。



「これは・・・血・・?」



 手に付着したものの臭いを嗅いだリナが顔をしかめた、その時だった。

 突然頭上から気配が現れると、すぐにリナの周りには5人ほどの外套をまとった者たちが降り立っていた。

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