プロローグ
ゆっくり投稿していきます
ここはとある町の冒険者ギルド、その冒険者ギルドの受付で一人の少女が依頼の報酬を受け取っていた。
「お疲れさまでした。こちらが今回の報酬です」
「ありがとうございます」
「カードに記録しますので少々お待ちください」
少女は丁寧に受付嬢に頭をさげてお礼を言っていた。
その様子を遠巻きに見ていた冒険者達はチラチラと視線を送りながら小声で話を始めだした。
「おい、あのカウンターにいるかわいい子誰だよ」
「なんだよお前、最近この街に来たのか?」
「別にいいだろそんなこと。で、あの子の事おしえてくれよ」
「あの子はリナちゃんって言う魔法使いの女の子だよ」
「へ~リナって言うのか」
そんな冒険者たちの会話をよそにリナはカウンターのお姉さんからカードを受け取っていた。
「お待たせしました。カードをお返しいます。リナ様は次の依頼を成功されますとランクアップ試験を受けることができますが今回はどうされますか?」
「すみません、今回も試験は受けるつもりはないのでそのままのランクでお願いします」
「再度の説明になってしまいますが、ランクアップ試験を三回受けなかった場合成功回数がリセットされてまた一からやり直しとなってしまいます。リナ様は今回で三回目となりますのでリセットとなってしまいますがよろしいですか?」
「はい。大丈夫です」
「かしこまりました。もし気が変わりましたら次の依頼報告の時にお伝えください」
「はい、ありがとうございます。失礼します」
リナは申し訳なさそうにその場を後にした。
「おいおい、リナちゃん今回も試験受けないのかよ」
「そうみたいねぇ、まあ受けるも受けないも本人の自由なんだし好きにさせてあげればいいんじゃない?」
「なんだよ、リナって子何回も試験受けてないのか?」
「たしか今回で4回目くらいだったかな?」
「4回ってあの子のパーティメンバーはなにやってんだよ?」
「たしかリナちゃんって今まで誰とも組んで依頼を受けたことないんだろなかっただろ?」
「そうだけどそれもあの子の自由でしょ?それに基本的には他の冒険者には不干渉は常識でしょう?ま、あんた達男どもはずいぶんあの子にはご執心のようだけど」
「仕方ないんじゃない?あの子すっごく可愛いし、男どもが気にするのも無理ないわよ」
「あんた達、手ぇ出すんじゃないわよ?」
「ださねぇよ」
「ほんとかねぇ?」
リナが立ち去った後の冒険者ギルドはリナの話題で夜遅くまで盛り上がっていった。
そんなことを知ってか知らずか帰宅していたリナは一人頭を抱えていた。
(うう、また何か失敗しちゃいましたか?皆さんこっち見をみてましたよね?)
リナは気づいていなかったが、冒険者ギルドからの帰り道もずっと街の住人からの視線を集めていた。
実は視線を集めているのはこの日に限ったことではないのだが、リナはそのことに気が付いていなかった。
リナは10人が見れば皆が振り向くようなとても整った容姿をしていてポニーテールにまとめられた桃色の髪の色がそれを際立たせ、さらに冒険者としては珍しい成人以下の年齢14歳での冒険者に加えて年齢に似合わない低身長が他の冒険者の保護欲を駆り立たせていた。
(でもどうしてでしょう?目立たないようにローブも着ていたし眼鏡も外していったのに・・・)
リナはとても人見知りする性格で人と話すのも苦手だったので人との会話も淡々とした受け答えになってしまっていたのだが周りの者たちは、そこも魅力の一部と捉えていてリナ自身は気が付いていないのだが少し顔を赤らめている姿はとても可愛らしく映っていたことにも原因があった。
そんなこともあり、リナ自身は昔の失敗を反省して目立たないように過ごしていたつもりだったのだが街の中でリナはとても有名な存在になっていた。
「やっぱりこの格好のどこかに変なところがあるのでしょうか?以前に比べれば少しはこの世界に馴染めている格好のはずなんですけど・・・」
リナはこの世界に巻き込まれた時のことを思い返していた。