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第61話 必要な事

 メイズの街にある、それなりに大きな病院。民間資本のこの病院には、老若男女生身機械を問わず、様々な人が訪れる。

 すぐに駆けつけた救急隊によってそこに運び込まれたアルさんは一命を取り留め。適切な処置をされてベッドで横になっていた。今は流石に疲労したのか、点滴など色々な医療機器に繋がれて、静かに眠っている。


 アルさんが病院に担ぎ込まれてからは、血まみれのミルファの着替えを取りに行くべく、俺は一度家に帰った。その時にシルベーヌや、舞踏号の改修をしていたダースさんにも事件を告げ、幾人かで病院に舞い戻った後である。

 だがあまり人が多くてもいけないと、アルさんの病室には今、俺とミルファとシルベーヌの3人だけだ。そして病室で、俺はミルファと共にシルベーヌに、今までの経緯を話し終わった。



「そっか……エリーゼさんが……」


 小さな丸椅子に座ったシルベーヌがぼさぼさの金髪を掻いてから腕を組み、一度深呼吸をしてから、顎に手をやって首を傾げる。


「話を聞く限り、ただの強盗って訳でもない。エリーゼさんの誘拐自体が目的な感じがするわね」

「私も同意見です。ブラン、家の裏で見た事の再確認を」


 血に染まった服から着替えたミルファが答え、真剣な顔で俺に言う。

 深呼吸を一度。頭に焼き付けた自分の記憶に耳を澄まし、目を凝らし。見たまま感じた事を口で紡ぐ。


「ちょっと汚れた戦闘服バトルドレス姿の連中だった。体格からして全員男だ。顔は見えなかったけど、動きは手慣れてる感じだったな。拳銃は持ってたけど、ライフルとかは持って無かった。腰にナイフが付いてたりもしなかったし。拳銃で俺の足止めをした後は、すぐ黒いワゴン車に乗って逃げて行った」

「比較的軽装ですね。やはり殺害等が目的ではなく、あくまでエリーゼさん拉致が目的という感じです。車はどうでしたか?」

「車は……ゴツイタイヤを履いてて、スライドドアのワゴン車だ。トラックみたいに四角い奴。割と使い込まれてる物だけど、俺達の使う軽トラみたいに、足回りに泥が付いてたりはしなかった。……車の後ろの部分に、2本並んだ傷もあったな。それと車の屋根に、荷物を括りつけるレールも。ナンバープレートは無かったけど、そういう車はメイズじゃ結構見るから、特定の材料にはならないか」

「はい。しかし見た感じを聞く限りでは、街中で使っている車のようですね」


 ミルファが俺に答え、再び首を捻る。

 その後。俺の話を手帳にメモしたシルベーヌが、ペンで頭を掻いてから口を開く。


「街の中にまだ居るとしても、特定は難しいでしょうね。それに。仮に騎士団の偉い奴と関係してるなら、街の検問だって頼りになるか分かんないし、騎士団の捜査は頼れそうに無いわね」

「こりゃあ話がややこしくなってきたな……」


 俺が呟き、全員で頭を抱えていると、病室のドアが数度ノックされた。それに返事をする間もなく、扉はゆっくりと開けられる。


 病室に入って来たのは医者でも看護師でもない。全身が黒く、プラスチックか金属に似た質感で、ヘルメットのようにつるりとした頭。顔には目や鼻は無く、顎だけが角ばっている男。騎士団の鎧を着た黒い巨漢のフルサイボーグ。ザクビー中尉だった。

 流石に武器類は持っていないが、ボディアーマーにも似た鎧と、その表情の無いつるりとしたお面のような顔は、この病室に不釣り合いで異彩を放っていた。


 そしてザクビー中尉を見たシルベーヌが一瞬驚き、明確に警戒したまま問いかける。 


「何しに来たのよ、オッサン」

「捜査のためだ。俺は犯人達をここ数か月ずっと追って来た。事情は理解している」

「……捜査ですって? 話からして騎士団が何かしてるのくらいは――!」

「聞け。この拉致に騎士団の中の奸賊は関わっていない。劇団員の連中が依頼を受け、嫌がらせをしていたのとは別件だ」

「別件? 誰がそんな事信じると思ってんのよ!」

「お前が信じようと信じまいと自由だが、これは事実だ。拉致に関わっているのは短絡的な盗賊達。嫌がらせはもっと大きな流れの上澄みに過ぎない。そして俺は探索者シーカーとしてのお前達に依頼がある」


 俺達への依頼。その唐突な言葉に、この場に居る全員が戸惑って目を見開いた。

 ザクビー中尉は黒くつるりとしたお面のような顔を周りに向け、病室の中で何かを探しながら話を続ける。


「説明する。お前達が前に騎士団と行った任務。そこで捕らえた盗賊の事は覚えているな」

「……一応は」


 シルベーヌが不審な顔ながらも答え、再びメモを構えた。


「山岳の東部で、盗賊の本隊を逃がした事も覚えているか? あれ以後。騎士団は盗賊を追撃し、逃げた本隊をほぼ壊滅させた。それでも盗賊の残党はいくらか出て、散りじりになった。街に寄り付く人間全てを監視する事は出来ない。逃亡した盗賊の何十人かが街に潜んでいるのは察していた」

「じゃあオッサンは、その盗賊の残党がアルさんとエリーゼさんに危害を加えたって言うの?」

「そうだ。そしてお前達は目立つ。特に人型機械ネフィリムがな」


 シルベーヌと会話をしながらも。ザクビー中尉のつるりとした顔の奥で、カメラかセンサのような物がぐるりと部屋を見回し、一瞬だけ俺に視線を留めた。


「街の中で派手に広告をしていた人型機械ネフィリムを見た盗賊達は、お前達の事を思い出し、自分達の崩壊の一端となったお前達を目の敵にした。そして復讐のためにもお前達やホットドッグ屋を調べ始めた。盗賊の残党は当初、お前達を目的にした復讐を計画していたようだが、ホットドッグ屋の2人を調べ進めていくうちにそちらに目を付けた」

「……最初の狙いは俺達だった。けど、途中からアルさんとエリーゼさんに切り替えた? そりゃまた何でです?」


 俺が聞くと、ザクビー中尉は小さく頷き、ベッドで眠るアルさんをちらりと見やる。


「そこのアルフォートという男は、背景に何らやましい事の無い善良な市民だ。両親は今も、ホワイトポートにあるウーアシュプルング家の屋敷で働いている。裕福でも無いが、貧困にあえいでいる訳でもない」


 そう言うと、病室の隅にあるコンセントに近寄り、そのカバーを無遠慮に外した。そしてその裏についていた細い棒状の機械を、ザクビー中尉は大きな黒い手で砕いた。


「盗聴器だ。隠蔽が甘い。急いで仕掛けられた物らしい」

「何でそんな物が……!」

「拉致されたエリザベト・ウーアシュプルングという女は、メイズの海運を担うウーアシュプルング商会の会長、ガナッシュ・ウーアシュプルングの一人娘だ。エリザベトの母親は病死しているから、家庭は父と娘だけだ。商会は巨大で、その取引は多岐に渡る。食料その他日用品。家屋や土地。武器弾薬に兵器。慈善事業も数多い。商会がメイズにもたらす影響力はかなりのものだ」


 シルベーヌの驚いた言葉を意に介さず、ザクビー中尉は話を続けた。今度はアルさんのベッドの近くにあるサイドテーブルに近寄り、その棚を動かして裏を探った。程なく先ほどと似た機械を手に取り、再び握って砕く。


「アルフォートとエリザベトの間柄に、ガナッシュ本人は不服だった。だがそれは、娘を手放したくないという親心によるものだ。屋敷のメイドやガナッシュに親しい友人達の証言によれば、アルフォートに対する態度は苛烈だったが、それは命を狙う程では無い。むしろ独り立ちして立派な店舗を持てば、堂々と娘を送り出す覚悟を持っていた。アルフォート本人には言わなかったようだがな」

「では、それが何故ここまでに発展したのですか? 拉致など尋常の手段ではありません」

「盗賊連中にとって大切なのは、エリザベトがウーアシュプルング商会会長の大切な娘だと言う事だ。古来から有力者の血縁は、その生まれというだけで重要な取引材料になる。盗賊が騎士団への報復か、探索者シーカーへの報復か。そのどちらをやるにしろ、金と武器が要る。親元を離れて暮らしだしたエリザベトは、警備も手薄で丁度良い手札になり得る」


 ミルファの質問に答えると、ザクビー中尉はアルさんに掛けられている布団を少しだけめくった。太ももには包帯が巻かれており、少しだけ血が滲んでいるのが察せる。そしてベッドに掛けられていたカルテを取ると、何枚か紙をめくってから頷いた。

 次いでザクビー中尉はカルテを元に戻すと、部屋の中に居る俺達3人を見つめ、ゆっくりと口を開く。


「お前達に依頼するのは『エリザベトの奪還』だ。人質の安全を鑑みても、時間的猶予はあまり無い。人質は有力者の娘だが、騎士団はさっき言った嫌がらせ、その淀みが上層部と絡んでいるからすぐには動けない。動かないと言った方が正しいな。だからこそ小回りの利く探索者シーカーで、事情にも通じているお前達が適任だ」

「しかしザクビー中尉。騎士団員以外の行う対人戦闘は、法で禁じられていたのではありませんか?」


 ミルファが疑問を呈したが、ザクビー中尉は自分の胸を指さして返す。


「現役の騎士団員の依頼、それも緊急性の高い物ならば別だ。探索者シーカー協会の規約にも『探索者シーカーは騎士団の協力要請に従う義務がある』と書いてあっただろう。仮に咎められたとて、善良な市民を助ける社会正義が味方だ。統治機構としての体面を気にするのと、表沙汰にしたくない事情がある騎士団が、拉致された女性を助けた者へ厳罰は下せん」

「”助けた”ですか。私達が成功する事が前提のようですが」

「無論だ。お前達が失敗しても、それを理由に緊急出動の体裁が整う。派手に暴れて構わん。むしろ派手に動いた方が、市民の目がお前達の背を守るだろう」

「失敗すればかませ犬。成功すれば囚われの姫君を助けた騎士ナイトという訳ですか。冗談にしてはキツイ事を仰いますね」


 真剣な顔でミルファが返し、ザクビー中尉は小さく頷いた。

 2人の会話が途切れたのを見て、今度は俺が聞く。


「奪還って言っても、エリーゼさんはどこに居るんです? それが分からないと動きようが――」

「まだメイズの街中だ。俺にも部下が居る。何人かで見張っていたが、拉致を実行に移した盗賊が逃げた先は特定してある。エリザベトと言う手札を手に入れたから、組織的な行動を起こす為に、街中に広がっていた盗賊の残党達が一度集まって来ているようだ」


 淡々と答えたザクビー中尉の言葉に、妙な引っかかりがあった。俺がそれに気付くのに、そう時間はかからない。


「……ちょっと待ってくださいザクビー中尉。それって、エリーゼさんが連れ去られるのを黙って見てたって事ですか!」

「否定はしない。お前達が目立ったお陰で、街に逃げ込んだ盗賊を一網打尽にする良い機会だ。即座に通報に対応できたのも、こちらの用意があったからだ。それに多少の犠牲が出る事は、騎士団が動くのに必要な事だからな」


 そう言うとザクビー中尉は、ベッドで辛い顔をして眠るアルさんを見た。

 つまり、俺とミルファが劇団員に出会い、運よく駆けつけなければ、アルさんは本当に――。


 この場に居る探索者シーカー達がそう理解するのとほぼ同時に。シルベーヌが怒気を孕んだ顔で大股にザクビー中尉の横まで歩み寄り、思い切りその胴を殴った。鎧を殴りつけて鈍い音が響くが、ザクビー中尉の大きな体が僅かに揺れもしない。

 怒りを堪えきれないと言った様子でシルベーヌが叫ぶ。


「オッサン!! アンタ達騎士団は!! また私の親にしたみたいな事してたのね!! 何が多少の犠牲よ!! ふざけるんじゃないわよ!!」

「聞け。これは必要な事だ。後への脅威を無くすという事もあるが、清浄とは言えない組織内で動く大義名分を――」

「必要な犠牲も必要無い犠牲もあったもんじゃないわよ! 訳分かんない事に巻き込まれて、勝手に犠牲にされる方はたまったもんじゃないわ! アンタのせいでアルさんは死にかけたし、エリーゼさんだって今どうなってるか!!」

「これは、必要な……」

「うるさい!! 他人を犠牲にする方は良いでしょうね!! 辛い事なんて無いんだから!!」


 シルベーヌが叫んだ後に少しだけ震え、僅かに俯いた。ザクビー中尉もぎゅっと拳を握り、項垂れるようにシルベーヌを見る。


 シルベーヌとザクビー中尉の間柄は、シルベーヌが孤児だった頃の保護者だと言っていたのが思い出される。今の言葉からも、彼女の両親の事。騎士団で治安の維持や犯罪の捜査をしているザクビー中尉の事。それらに関係した色々な事柄が想像されるが、それは邪推というものだろう。

 人の過去には、他人に掘り返されたく無い事だってあるはずなのだ。


 沈黙の後。ザクビー中尉の鎧に叩き付けられたままだったシルベーヌの拳が解かれ、その手がそっと鎧を撫でる。そして足元を見たまま、小く弱々しい声でシルベーヌが言う。


「ごめんなさいザクビーさん。そっちにも事情とか、色々あるはずなのに、八つ当たりみたいな事して」

「いい。理解している。だが、すまない。シルベーヌ」

「ううん。私も分かってるのよ。私も、分かってるはずなのよ……」


 蚊の鳴くような声で言うと、シルベーヌは大きく息を吸った。そして顔を上げると、冷静さを取り戻した顔でザクビー中尉と俺達を見る。


「エリーゼさんの居場所を教えて。オッサンの事だから、細かい資料とかも準備してあるんでしょ。それにこんな場所で私達に言うって事は、どこかの誰かから横槍が入ったりするかもしれない」

「そうだ。出来れば俺自身が犯人達を抑えたい。詳細な資料はもちろんあるが、敵の数が未だ不明だ。40人前後を確認しているが、敵の装備がどうなっているかが――」


 シルベーヌと同じく冷静な顔をしたザクビー中尉がそう言いかけ、何かを察知して病室の扉の方を見た。次いで無遠慮に扉に近づくと、勢いよく扉を開ける。


「おおっ!?」

「痛いっ!?」


 開け放たれた扉から転がり込んできたのは、ダースさん達整備員が数人と、メア達劇団員の3人だ。屈強なメアを一番下に、全員がうつ伏せでサンドイッチのように折り重なって呻き声を上げた。皆で扉に耳をくっつけて、病室内での話を聞いていたのだろう。

 ザクビー中尉がそんな人達を見て、どこか呆れた様子になりながらも、睨みつけるように問いかける。


「何をしている」

「あ、いや! オレは! いや自分達は! メイズ騎士団第307独立特殊戦車小隊の整備班員の有志であります! そして自分はその代表のダースであります中尉殿!」

「俺は、あの。あの……関係者です! 俺のせいであの店主さんは酷い目に!」


 ザクビー中尉の階級章を再確認しつつ慌てて言うダースさんに続いて、メアがそのガラの悪い見た目のままで泣きそうになりながら叫び、すぐに言葉を続ける。


「あのあの! 悪いと思ってても、話は聞きました! 俺達にも何かさせて下さい! このまま黙って何も行動を起こせないんじゃ役者として……いいえ。人間としてダメです! 鉄砲玉でも荷物運びでも何だってやります! やらせて下さい!」

「中尉殿。自分達整備班員も騎士団員であります。別部隊の人間で、かつ私事ではありますが、今回の件には少なからず関わっている身の上でありますし、どうか協力をさせて頂きたい。何よりそちらの探索者シーカーが運用する人型機械ネフィリムには、自分達も手を入れているのです」


 立ち上がりつつ語ったメアの必死な言葉の後に、ダースさんがいささか興奮した様子で続いた。

 そんな人達を見たシルベーヌが大きく息を吸い、俺とミルファを見てニヤリと笑う。


「ねえ2人とも。街中でドンパチやらかすんだもの。安全確認とかの為にも、人手は多くて損は無いわよね?」

「相手の数は多いみたいだし。だったらこっちも何人か居ないと無理だよな」

「もちろんですよ。たった3人だけで一個小隊分を相手に出来ると考えるのは慢心ですし、相手の装備も不明なのです。舞踏号は強力ですが、戦車や装甲車が居た場合も考えないといけません」


 俺とミルファが答えた後、シルベーヌはザクビー中尉の顔を見上げた。


「オッサン。報酬はキッチリ耳揃えて全員分払える?」

「無論だ。この作戦の必要経費として落とす。参加者名簿は後から提出しろ。俺と部下も表立って行動は出来んが、根回しやバックアップはこちらがやる」

「なら安心ね! ついでに私達が準備するくらいの時間はあるわよね」

「部下が見張っていると言ったろう。だが行動を起こされると面倒だ。準備は急げ」

「了解! それとそっちのゴツイ人達!」


 シルベーヌが明るく声を掛けると、メア達3人はビクリと身を震わせた。

 それもそうだろう。なにせシルベーヌは本物の役者相手を『大根役者』と罵倒し、売り言葉に買い言葉で喧嘩を売った相手なのだ。ちょっとした苦手意識か、あるいは嫌な気持ちをなどを持たれていてもおかしくは無い。

 だが俺の心配をよそに、シルベーヌは戸惑う劇団員達に向けて勢いよく頭を下げた。


「本当にごめんなさい! 話は聞きました。役者さんなのに、馬鹿にするような事言ってすみません。それでも協力を申し出てくれて、何てお礼を言ったらいいのか……」

「あの、気にしないで下さい! こちらこそすみません! 俺達としてはその、演技に本気の敵意をぶつけられて役者冥利に尽きると言うか。変な事を言うようですが、それは嬉しかったというか」

「ええ。本当に悪い人達だと思ってました。そう考えると本当にすごい演技で……そうだ。皆さんにもやって欲しい事が」


 メアが慌てて返し、シルベーヌがそれに再び答える最中、ザクビー中尉を見上げる。


「オッサン。騎士団の備品もいくらか使える?」

「暴徒鎮圧用の装備や、戦闘服バトルドレス位ならいくらか用意できる」

「十分! 非殺傷の武器もあるのよね?」

「無論だ」


 ザクビー中尉がそこまで言うと、シルベーヌは一旦深呼吸をして、この場の全員を見渡した。

 皆が皆。理不尽と身勝手で連れ去られた1人の人間を救うために、目に精気を漲らせ、覚悟と使命感に燃えている。

 そんな人々に、改めてぼさぼさの金髪を揺らして大きく頭を下げた後。シルベーヌが高らかに言う。


「まず、ダースさん達はブランと一緒に舞踏号と戦闘服バトルドレスとか装備を取ってきて! オッサンと私、ミルファと役者さん達は、舞踏号がこっちに来るまで状況の確認と作戦会議! 皆でエリーゼさんを助け出すわよ!」

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