第37話 死の影がそこにある事を知らず
夜空の模様は月明りもまばらな雲の多さ。生温い風が少しだけ吹いている。
そんな夜半の公園の隅。古びて汚い側溝に空いた穴に、俺達はランタンの明かりを持って屈み込んでいた。
側溝は幅が50cm無いくらい。分厚いコンクリートの蓋が上面にしてある上に、砂や泥が入り込んでいたりして、まず興味を惹く場所では無い。
「……戻ってこないな」
俺は何となく不安になって呟く。シルベーヌとミルファも心なしか何か気がかりな様子である。
しかし、噂をすれば何とやら。照らしてある側溝の穴の奥から、小汚いキャスケット帽と小汚いコートという格好の子供が出て来た。子供はぴょんと跳ねるように側溝から飛び出し。やれやれと言った様子で帽子を脱ぐ。栗色の髪と兎耳が、勢いよく立ち上がった。
目付きのキツイ双子の姉。タムである。
「あっちに大き目の鉄扉が芝生と土で埋まってて、それが防空壕の出口」
「どうしてそこまで分かるんだ?」
「ワタシ達の耳は伊達じゃないんだ。地面の下に入れば、大体の事は見えなくても分かっちゃう」
タムは無造作に扉が埋まっているという方向を指さし、自慢げに言って、コートに着いた汚れなどを払った。
側溝の奥から、もう1人の子供がもそもそと出て来る。そしてゆっくりと側溝から出ると、タムと同じく小汚いキャスケット帽子を脱いだ。栗色の髪と兎耳が、気持ち柔らかく立ち上がる。
目付きの優しい双子の弟。ティムである。
「ボク達のご先祖様は、遺伝子を調整された人達だったらしいですよ。見た目も良く、病気にも強く、身体も強くって。動物の耳を付けるのが、本当の目的だったとか聞きますけど」
ティムはそう言うと、自分の耳を嬉しそうに少しだけ触った。
こっそりとミルファが教えてくれたが。彼ら動物の特長を持った人々というのは、ティムの言った通り遺伝子レベルで調整された人々。デザインされた人間とも言うべき人間の子孫らしく、生身ではあるがサイボーグの様なものだとも言う。獣耳の付いた人間の形をしてはいるが、普遍的な人とは少し違う体の作りをしているのは確かだ。
メイズの街で何度か見かけた猫耳娘も同じような人達で、その歴史的な大元は、以前ミルファの話してくれた『それもあり』の辺りが関係してくるとも聞いた。
さて。双子が側溝の奥に行ったのは、先ほど言ったように、防空壕の出入口を探す為だ。元来空爆などにも耐えれるように作られるのが、そういった地下施設の常である。そして都市の地下には、往々にして排水用などの地下空間があるものだ。
地上の側溝がそこに繋がっている事は疑いようが無く、排水用の水道管などは、防空壕の外壁近くを通る事も多いらしい。伊達では無い耳で、その地下の構造を把握していたのだ。
そしてその出入口は、地上によからぬ者が進駐して来た『いざという時』の為に隠蔽されている事が多々ある。隠蔽が杜撰か周到であるかは関係なく、幾星霜もの年月という分厚いヴェールが覆い隠しているから中々厄介だ。
そうやって人の手と時の手で作られた厚いヴェールを捲り、隠された戦前の施設を見つけるのは、色々な知識が必要になる。戦前の建築。文化の事。街の作り。周囲から察せる意図……一見無駄にも思えるような事柄も含めた、総合的で独特な知識である。
その知識を、この双子は感覚として持っているのだろう。
「じゃあ、場所の誘導を頼むよ。俺は舞踏号でそこを掘ってみる」
「分かったよ。兄ちゃん。ほらティム! 行くよ!」
タムがティムの手を取り、公園の隅へと駆けていく。
シルベーヌが感心した顔で腕を組むのを見て、ミルファがふと質問した。
「どうしました?」
「生体レーダーっていうか、構造探知機かしらね。でも、近くで手榴弾が爆発しても怪我一つせずに、ちょっと気を失うだけで済むなんてのは。運が良いとか生来身体が凄い。で、片づけられる事じゃないわよ……」
そんなシルベーヌの言葉を小耳に挟みつつ、俺は舞踏号に乗りこんだのだった。
手斧を横にしてスコップのようにし、双子が指し示す通りの斜面を掘ってみる。斜面は何の変哲も無い背丈の短い草で覆われ、まさしく普通の斜面だ。
しかし。5m程土を掘り進めると、分厚いコンクリートの壁と、鈍色の鉄扉が現れた。舞踏号の手元をランタンで照らしていたシルベーヌとミルファの顔に驚きが満ちる。双子は自慢げに兎耳をピクピクさせていた。
『マジであるとはなあ……』
「なんだよ。兄ちゃん信じてなかったのか?」
『そういう訳じゃないけど、やっぱり実際その通りだとビビっちゃうんだよ』
「ビビるとか、男のくせに情けねえ!」
俺の驚きに、タムが鈴の鳴るの様な声で笑った。しかし、ふっと真面目な顔に戻る。
「で、どうすんだ? 兄ちゃん達探索者は潜んの? 潜るんなら付いて行くよ」
『さっきシルベーヌに言われただろ。一緒に行くなら、親御さんに言うのが最低条件って』
たしなめるように答えてから、ちらりと足元のシルベーヌを見ると、腕を組んで双子を睨んでいる。彼女は「わがまま言うなら許さない」という言葉を、全身から発していた。
双子はそのシルベーヌを見て身を縮め、そっと身を寄せ合った。しかし。ふと扉を見て、2人共耳を一瞬震えさせた。
「ごめん。兄ちゃん。今はこの奥に潜っちゃダメだ」
『なんだ? 急に意見が変わるな』
「足音が聞こえる」
今までで一番真剣な顔で、タムが言った。
次に。ティムが恐る恐る鉄の扉を指さす。
「それにこれ。見て」
シルベーヌとミルファが、言われるままに鉄の扉に近寄って怪訝な顔をした。
俺も膝を付き、コクピットを開く。生身の感覚が戻ってきてすぐにコクピットから飛び降り、今しがた堀り当てた鉄扉に近寄る――瞬間に、寒気がした。
冷や汗とか嫌な予感では無く、生命の危機を感じる悪寒だ。そして鉄扉には、掠れた血のように紅い文字が綴られていた。
災ある者は誰か、憂いある者は誰か
争いをする者は誰か、煩いある者は誰か
ゆえなく傷をうける者は誰か
赤い目をしている者は誰か
「何だ、これ……?」
思わず言うと同時に、脳裏に赤い目が映る。分厚い鉄の扉の向こうから、無数の赤い目がこっちを見ている。
そして紅い一つ目が、俺達を――
「ブラン?」
「兄ちゃん、大丈夫か?」
シルベーヌに続き、タムが心配そうに聞いた。
「いや。なんかちょっと、雰囲気に当てられて……」
感じた事をそのまま言ったが。まさにそうだ。今まで安全だと信じていた足元に、こんな薄気味悪い場所があるとは思いもしなかった。
というよりも。旧市街に来て2日。何かありそうで何も無い、ダラダラとした緩い日々。殺気に満ち満ちた生体兵器に遭遇しないで、親し気な同業者や双子としか会っていない事が、心構えと神経を鈍麻にしていたのを自覚した。
自覚に続いて、痺れるような感覚が全身を巡る。気付かぬうちに愚鈍になっていた脳が動き出し、旧市街に来てから今までの、漫然とした事柄が繋がって行く。
旧市街に入ってから、事ある毎に感じていた視線や違和感。
窓の隅から誰かが見ているような感覚は、本当に見られていたのだ。
公園は周りの見通しが良い、それは周りからも良く見えると言う事。
廃墟なのにどこか生活感があるのは、そこに生き物が居たからだ。
「妙なサイクロプスでも居るのかと思ってた」なんてのは、その妙なサイクロプスを見かけたからこその台詞。
見える部分が違和感を生んでいたのは、実際に見える部分のどこかが変だから以外に他ならない。
今晩吹く風の中に何かの息吹があると感じたのは、センチメンタルな思いでは無かった。
更に。『サイクロプスは隠れるのが得意』という事。隠れられる場所は市街の中だけじゃない。
そして今晩。俺達は双子の事に意識が集中していた。襲撃するには絶好の機会と言って良い。
まだまだあるが、ざわりとした感覚が俺の全身を駆け巡る。俺の身体は気付いていたのだ。最初から。
毒のある物を食べると吐き気がするように。体調を崩すと熱が出るように。身体が発するサインに、俺の頭は気付いていなかった。俺は馬鹿だ!
「シルベーヌ! トレーラーに子供達を!」
俺が舞踏号の背に駆け上がりつつ叫ぶと、全員がきょとんした顔で俺を見る。
「ブラン?」
「ミルファ! 機関砲を握ってくれ!」
「どうしたんです?」
「生体兵器だ!! こっちを見てる!!」
「は? ワタシの耳はそんなの聞こえない。兄ちゃん何を言って――」
タムが怪訝な声を上げた瞬間には視線を感じ、公園の隅で、赤い一つ目がついと動いた。
「あっちだ!」
その目を指さして叫びつつ、舞踏号のコクピットに飛び込んだ。意識が消え、舞踏号の声が聞こえる。
目玉は3つ
意識と視界が戻る。皆も気付いたようで、さっき俺が言ったように動きだしていた。
手斧を拾い上げ、右手に握りしめて地面を駆ける。正面の闇に見えるのは、ギョロギョロと動く赤い一つ目。それは心なしか驚いた様子で、ずるずると地面を這うように俺から離れようとしていた。
(暗すぎる!)
足を踏み切ると同時に、地面を低く跳んで手斧を真っすぐに振り下ろす。手応えはない。手斧は地面を抉っただけだ。
赤い一つ目は機敏に動き、蛇が鎌首をもたげるように上に動いた。その目の高さは、俺より頭一つ高い程だ。微かなランタンの光に照らされてなお、赤い一つ目の全貌は見えない。夜の闇が濃すぎる。
その闇の中から、黒く長い塊が薙がれる。右から左。俺の肩の辺り。
身を反らすように急停止。手斧を振り下ろした勢いを殺しつつ間合いを保つと、胸の前を重質量が掠めたのが察せた。
一瞬だけ見えたのは、ねじくれた太い4本指。
「ブラン!」
ミルファが叫び、腰だめに構えた20mmの単砲身機関砲が火を噴いた。砲声が1発。一呼吸おいてもう1発。鼻が何かの焼ける音を感じ取る。
闇の中で大きな影が身を屈め、四つん這いに這うようになる。紅い眼がギョロギョロと動き、ミルファの方を捉えた。
一瞬の隙だが、俺が反応するには十分だ。影に向かって小さく駆け寄り、グッと踏み込んだ。手斧を振り上げ、袈裟切りにする様に振り下ろす。
確かな手応えを指に感じ、夜空に墨のような飛沫が飛び散った。
「ウ”ウ”ウ”ウ”」
耳に響く、生理的な嫌悪感を抱かせる唸り声。それは目の前の黒い影からのものだ。
地面を這った紅い眼が、ギョロギョロと動いて俺を捉え、その端でミルファをも捕捉している。そして影は驚くほど静かに、素早く地面を這いまわって距離を取った。
再び響くミルファの砲声。しかし今度は外れたようだった。視界が悪すぎるのだ。月光と小さなランタンだけでは、圧倒的に光量が足りない。
「ブラン! ミルファ! 明かりを点けるから気を付けて!」
無線に聞こえるシルベーヌの声。同時に、トレーラーの窓から小さな銃声が響いて、空へ一筋の煙が上がり――真っ白く強い光が空に灯った。辺り一帯を、まるで昼間のように照らし出す。
「照明弾!」
「明るくなるのは大体90秒よ! あと4発!」
耳元に聞こえるミルファとシルベーヌの明るい声と、煌々と照らされる公園。そして一つ目の黒い影が、ハッキリと照らし出される。
黒灰の濃淡をした生々しい皮膚をした巨人が、地面に四つん這いになっていた。太い腕と足には血管が浮いており、手足の先ではねじくれた4本指が地面を掴んでいる。
何よりも目を惹くのは、ガラスのような紅い眼玉が顔の真ん中にある事だ。耳の下まで裂けた大きな口には、指と同じくねじくれた牙が上下から不揃いに生えていた。
それがサイクロプスという、醜く野蛮な姿をした巨人である。
「ウ”ウ”ウ”ウ”」
唸りを上げて紅い眼がギョロついた。
獣だ。これは巨人の姿をしていても獣なのだ。そしてその紅い眼から感じられるのは間違いなく、俺達が旧市街に来た時から感じていた視線の正体である。
更に。明かりに呼応するように、その黒灰の皮膚の色が変わって行く。生来の迷彩とでも言った方が良いのか、明るさと地面の色に合わせて変わる巧妙な擬態だ。恐らくはコレのせいで、俺は今まで気づかなかったのだろう。
『でも、明るいなら!』
俺は手斧を振り上げ、再びサイクロプスに切りかかった。
しかしサイクロプスは身をしならせると、2本の足で立ち上がる。俺よりも大きな、威圧感のある巨人が、自由になった両手で俺を掴もうと腕を振るう。
大きく後ろにステップ。空を切った腕の指先が、俺の胸を掠めた。サイクロプスは左手の指が2本無くなっている。
すかさずミルファが機関砲を撃ち込み、20mmの弾丸を数発胴に受けたサイクロプスは、苦悶の表情で身を捩じる。
そこに俺が手斧を両手で握りしめ、渾身の力でサイクロプスの首筋へと刃を叩きつけた。ぶつりという音と生々しい手応えが響き、首筋の筋肉と気管を断ち切る。
『よし!』
必殺の一撃なのを確信したが、生体兵器特有の強靭な肉体は、痛みに反応して小さく暴れた。
俺の右肩に拳が当たり、骨格に衝撃が走る。衝撃が痛みとなって脳を駆ける。
「ブラン!!」
『大丈夫だ!』
ミルファの叫びに呼応して左拳を握り、思い切り腕を引いて、腰の入った拳をサイクロプスの顔に叩き付けた。拳が紅い一つ目にめり込み、柔らかくも硬い感触に寒気がする。
目玉は無残に破裂して、生臭い飛沫が四方へと飛び散っていった。サイクロプスが地面に倒れ込んでのたうち回る。
俺は大きく深呼吸をして、全身のダクトから白い煙を吹く。が――
「ブラン!! まだです!!」
ミルファの叫びと砲声が、緩みかけた気を引き締めた。
しかし次の瞬間。シルベーヌと子供達のいるトレーラーが真横に倒れて地面を滑り、荷物がバラバラと撒き散らされる。子供の甲高い悲鳴を耳が拾い、心臓が跳ねた。
倒れたトレーラーの側で、黒灰の皮膚をした一つ目の巨人がぬるりと立ち上がる。
照明弾で上から照らされた醜い一つ目の顔に、下卑た笑いがハッキリと見て取れた。トレーラーと、その中に居る人間を弄ぼうと、倒れたトレーラーが軽く小突かれる。
「う”あっ……!?」
無線の奥から、ノイズ混じりのシルベーヌの呻きと、何かがぶつかり合って折れる音が聞こえた。
視界がゆっくりになって行く。思考の加速に肉体が追い付かず、時間と感覚が剥離する。
「シルベーヌ!!」
ミルファの悲鳴がゆっくりと聞こえる。
トレーラーのヒビの入った窓ガラスに赤い飛沫が小さく飛び、俺の思考がぶっつりと切れた。
舞踏号は手斧を拾い上げると全身をしならせ、トレーラーの横に立つサイクロプスに投げつける。空気を裂く音が鳴り、殺意そのものとなった斧の刃が一つ目の顔を両断してめり込んだ。
次いで鈍色の巨人が地面を這うように跳び、よろめいたサイクロプスの首に貫手を突き込む。喉を抉った右手を強引に開き、頸椎を握り潰しながらサイクロプスを地面に引きずり倒す。
そして倒れ込んだサイクロプスの胴に跨ると、空いた左手で拳を握り、槌のように振り下ろした。脳漿と体液が公園に飛び散っていく。
それらの動きと並行して、頭部というレドームが全方向を索敵する。
友軍4。敵影1。2時の方向。367m。後退中。経路検索。武装確認。
舞踏号が絶命して痙攣するサイクロプスを足蹴にし、立ち上がると同時に姿勢を極端に低くして走る。適度に力の抜かれた手は地面についていない。
その猛然とした速度に、闇の中で赤い一つ目が驚きに満ちる。が、サイクロプスも身体を起こすと速度を合わせ、ねじくれた4本指を広げて腕を伸ばす。
舞踏号は足を止めず、うねるように身をずらし、その腕を避けた。舞踏号の顔を指が掠めざまに、サイクロプスの指を1本握ってねじ切る。加えて。突進の速度が乗った右手の貫手を首に突き込む。
苦しみ悶えるサイクロプスに鈍色の巨人が体当たりをし、そのまま上半身に跨った。感情無く光る左眼と、ただ真っ暗な右眼が、喉を潰されて悶えるサイクロプスを睨みつける
「ウ”ウ”――!」
憎々し気に呻き声を上げようとしたサイクロプスだったが、その声は鉄と人工筋肉の拳で止められた。更に暴れる間もなく、舞踏号の両拳が何度もサイクロプスの頭部に叩き付けられる。
照明弾の灯りが消えた。
月明りの下で、鈍色の巨人が黒灰の巨人に向けて、拳を振り下ろし続ける。
何度も何度も。何度も何度も。
「……ン!」
センサに反応。
索敵。友軍4。敵影無し。
「ブラン! もうそのサイクロプスは死んでいます! 終わりです!」
耳が、ミルファの必死な声を拾った。俺はハッとして手を止め、自我と理性を取り戻す。
膝を着いた足元で、頭蓋が潰れて肉塊と化したサイクロプスが僅かに痙攣している。両拳にはぬるりとした手触り。指の間に引っかかった肉と筋。泡立った返り血が装甲にへばりついている。
一瞬遅れて。全身の骨格と人工筋肉が、稼働し過ぎで熱を持っているのが痛みとして脳に入って来た。指の関節の痛みも酷い。
「戦闘は終了です! 肉塊を嬲る意味などありません!」
『ミルファ……そうだ! シルベーヌは!? 双子は無事か!?』
「落ち着いてください。シルベーヌは軽傷。双子も無事です。しかし、手当や後の事を手伝って下さい」
『でも、ガラスに血が――!』
「繰り返します。シルベーヌは軽く額を切っただけです。双子も無事。良いですかブラン。他人の心配をする前に、まず自分が落ち着く事が肝要です。感情の発露だけでは、物理的な事は何も変わりません」
ミルファの冷淡な言葉が、俺の思考を引き留めた。




