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第134話 シェオル監獄

「あァ? ここは監獄だって?」


 耳に付けた無線機で、少し離れた場所に居るセブーレさんに奥の状況を知らせると、彼女の怪訝な声がノイズ混じりに返って来た。


「あくまで推測です。けど、セブーレさんの方も一層警戒をしておいてください」

「何が出て来ても不思議じゃねえって事か。了解だ」

「はい。お願いします」

「そうだ隊長。ついでに作業の進捗を連絡しとく。大穴は渡れるようになって、今さっき瓦礫の除去始めたところだ。警戒しろって事だし、もう何人か見繕って銃座でも拵えとく」

「ありがとうございますセブーレさん」

「良いって事よ」


 全員怪我せず帰って来いよ。という軽やかな返事が無線から帰って来て、少しだけ地下に居る探索者シーカー達の心が軽くなった気がする。


 俺は深呼吸を一度。湿り気のある冷たい空気で肺を満たし。大きく息を吐く。


「それじゃあ進もう。でも。まずはこの暗い空間を、きちんと調べてからだ」


 俺も皆も、この場所の異常な雰囲気に当てられて、少なからず不安だ。

 だからこそ”隊長”である俺は、なるべく頼もしく見える笑顔と明るい声で言い放ち。探索者シーカー達の不安を和らげようとした。

 笑顔の効果は分からないが、やるべき事を言われた探索者シーカー達は、皆が力強い足取りで散開する。


 俺自身も一度周りを見渡し、自分達が通って来た短めの通路の方へ歩み寄った。退路が塞がれるような気配は無いので、とりあえずは安全だろう。

 そしてふと。通路の脇に、掠れた文字が書かれている事に気が付いた。厚い埃と汚れを手袋をした手で拭うと、何とか読み取れる文字列が少しだけある。


「シェ……シェオル……何とか所、第5層? まあ便宜上”シェオル監獄”で良いのかな……。それに殆ど掠れてるけど、第5層か」


 暗い場所ゆえの心細さからか独り言ち。やっぱりか、という思いと共に。第5層という部分が引っかかった。単純な建物の1階2階を表しているような気はしないのだ。

 加えて。文字列の隣には、壊れた制御盤らしい物があった。その制御盤も、まるでナイフで滅多刺しにされたような状態でズタズタにされている。


「開けようとした……って訳じゃ無さそうだな。開かないようにしたのか……?」


 しかし。ここと舞踏号が居た場所を繋ぐ短い通路には、鍵が掛かっていなかった。

 この制御盤は通路を操作するものでは無い? だとしたら何を? 舞踏号のような大きさの物を中に運び入れるには、もっと大きな入口が必要だ。その大き目の入口を開く制御盤か?

 それこそ。この壁自体が大きく動くような、大きな入口を。


「ブラン! ちょっとこっちに来てくれる?」


 シルベーヌの声が聞こえ。俺は踵を返して歩き出す。

 途中で、倒れ伏したままのアンドロイド達を畏敬の念をもって綺麗に並べ、丁寧に手を組ませたりするミルファとすれ違い。部屋の隅にある扉の一つの前で、他の探索者シーカー1人と佇むシルベーヌに近寄った。


「この扉なんだけど、反対側から封鎖されてるみたいなのよ。鍵はもちろんだけど、向こう側自体が瓦礫で埋まってる感じ」


 扉に向けられた何やら妙な機材と、それにケーブルで繋がったノート大の機材を交互に見つつ、シルベーヌが言った。


「施設の経年劣化で崩壊してる可能性は大きいわね。舞踏号が居たって場所も、床が壊れて偶然繋がった感じみたいだったし」

「だな。でもそれ以外に、わざと封鎖されてる可能性もある」

「わざと?」


 きょとんとした様子で聞き返すシルベーヌと、機材を片付けて他へと行こうとする探索者シーカーが首を傾げた。

 先ほど見つけた意図的にズタズタにされている制御盤の事を話すと、シルベーヌが怪訝な表情になる。


「あのアンドロイドさん達……刑務官さん達が、自分でやったって事? そうだとすると、もっと酷い話になるわよ……」

「まあ、そうなるよな……」

「どういった命令文であれ、出来うる限りの最大限をもって従うのが、かつてのアンドロイド達の忠誠というものです」


 青い髪のアンドロイド達への供養を済ませたミルファが俺達に近づいて来て、冷たい声で言った。


「この場所にずっと居ろと言われれば、例え何十年。何百年経とうともずっと居る。それが戦前の、用途を限定的にされたアンドロイドだと聞いています。他にも命令者を傷つけない事や、一定の行動を制限するなど、枷は多かった。しかしアンドロイド達には、口頭による曖昧な命令でも実行出来るだけの思考能力が備えられています」

「人間の言葉って案外、あれ取ってきて、とか。それやってくれ、とか。曖昧な事は多いもんな。言葉の意味だって、周りの状況や前後の言葉で変わるし」

「はい。そして恐らく彼女達は、ここに残って施設を保持、封鎖するよう命令されたのでしょう。緊急だったのか、解釈の余地がある曖昧な命令をです。当然彼女達は命令を受領し、僅かに持つことを許された思考能力で考えた」


 命令の実行。この施設を封鎖するには、どうしたらいいのか。

 ミルファがどこか遠い目をして、アンドロイド達の亡骸を一瞥する。


「弱められた思考力でも、恐らく下地は生身の方と遜色ないのです。彼女達は何十年、あるいは何百年の間、この施設の封鎖と保持のために様々な事をした。一生取り消されず、達成もされない命令を実行するために。しかし、ふとした事で『どうして命令を実行しないといけないのか?』という疑問を抱いた方はいるはずです。かつての私のように」


 考える力を持っているが故の突然変異、あるいはバグ。それらの決してゼロではない可能性は、言うなれば自我形成の閃きと言える光だ。

 だがその光は、見えない鎖でこの監獄に縛られた彼女達には毒だったのだろう。


「一度疑問を抱いた方は、じきに自分という存在についても悩みだすでしょう。ゆっくりと朽ちていく監獄の中で、与えられた命令をこなすだけの毎日を送る自分に。ですが、疑問を持っても抜け出せる事はありません。当時の彼女たちは、絶対的な命令を受けている”道具”なのですから」


 老朽化でじわじわと照明が落ち、他の機能も使えなくなっていく施設の中。自分と周りへの疑問は、逃れようのない恐怖で間違いない。

 戦後の復興という、歪んでいても暖かく変わり始める世界から隔絶され。冷たく暗い地下で、歪んで死に満ちた歴史の闇に埋まり。それでも彼女達は考え続ける。

 言葉通り。気が狂うような場所で、気の遠くなる時間をかけ。自分の存在意義と、頭に響き続ける逃れられない命令から、何とか逃れる方法を。


「長い間悩み続けて苦しんだ結果、彼女達は自決を考え付いた。それが理性ある判断なのか、それとも狂気に支配されたのかは分かりません。しかし、死というのは単純かつ力強い結論です。考える力を得てしまい、ぐるぐると考えてしまったがゆえに。刑務官であるはずなのに監獄に囚われた彼女達には、自死はうらうらと揺れる救いの光に見えたかもしれません。後はどうなったか――」


 神のみぞ知る。という事なのでしょう。

 そう言うとミルファは重々しく息を吐き。陰はあるものの生気のある顔で、優しく微笑んだ。


「過去に想いを馳せるのもここまでにしましょう。ブラン。1つだけ、何とか通れそうな場所がありました。こちらです」


 ミルファに言われ、案内された方へ行くと。厚そうな金属製の扉があった。

 塗装が剥げて灰色になった扉だが、取っ手がもげている。周りには探索者シーカー達が集まっていて、それぞれライトで照らしてくれていた。


「蹴り破ろうにも、特殊な合金で出来た頑丈な扉のようです。ですがご安心を」


 ミルファがにこやかに言うと、1人の探索者シーカーが自慢げにドライバーなどの工具を見せつけて、壊れた取っ手の基部を弄り始め。取っ手がもげているから、鍵の解放も含めて10分もあれば開けれると豪語した。

 それぞれ得意な事をさっと出来るのは、探索者シーカー達の良い所だろう。


 言葉通り。丁度10分で扉を開いた探索者シーカーに合わせ、俺がショットガンを構えて扉の向こうを警戒する。

 扉の向こうはまた真っすぐな通路の後、大き目の廊下に繋がっているようで。相変わらず小さな非常灯の明かりくらいしかないので暗い。

 ハンドサインでミルファに先に行ってもらうよう促し。俺は彼女の背を守るように進んで行き、銃器に付けられたライトが、闇に包まれた廊下をゆっくりと撫でる。


 廊下は幅が3m程。高さが5mくらいだろう。天井が高いので狭苦しさは無いが、黒に近い灰色で塗られた壁や床が、汚れやヒビと共に重苦しい印象を与えていた。

 そんな廊下も時折2つに分かれたり、小部屋に通じるであろう扉に繋がっているが。そのどれもが開かないように潰されたり、厳重なロックが掛かっていたりと言った具合である。

 しかし歩ける道はきちんと残されており、まるで一本道のようだ。


 選択肢はあるのに、ただ真っすぐ進む以外を封じられているような。そういう気分にならざるを得ない。


 そうやって何度も曲がったりしつつしばらく進むと、廊下は螺旋状の階段に突き当たった。

 上下共に進めるようになっているが、暗さと籠った空気もあって更に下へ進むのは憚られる。


「どっちに行きましょう?」

「何かありそうなのは下だけど……」


 ミルファの問いに答えると同時に、俺の耳は上から響き続ける小さな音と、生気ある人間の声を拾った。

 聞き覚えのある、探索者シーカー達の声である。


「まずは上かな。散々曲がったりして方角がちょっと分からなくなってるけど声が聞こえるし、セブーレさん達と合流出来るかもしれない」

「了解です。では、ブランが先頭で上がって下さい。私は殿をします」

「おう!」

 

 明るく答え、ゆっくりと階段を上がっていった。

 埃や汚れの具合から、人が入った事の無い区画なのが察せ。油断なくゆっくりと歩を進める。


 少し長めの階段を上がり切れば、また廊下だ。

 これ以上上層は無いようだが、同時に少し先は行き止まりでもあった。それでも行き止まりに近づくと、壁面に薄っすらと文字が書いてあった痕が残されていて。傍には下層で見たような、ズタズタにされた制御盤らしい物があった。


「緊急……隔離……これ以上読めないけど、これもシャッターか。流石にこじ開けれそうに無いくらい分厚そうだ」

「今度は私の出番みたいね。ちょっと待ってて」


 シルベーヌはそう言うや否や。壊れた制御盤を検めつつ、自分が持つノート大の機材からコードを引っ張ったり、ドライバーを差し込んだりと色々し続け。一瞬だけ電気が走った音と光が瞬いたと思った瞬間、行き止まりの壁が鈍い音を立てて上に動いた。


「流石は技術者メカニック

「ふふん。配線の先に何が繋がってるか分かれば、この位はね。ちょっとコツがいるけど」


 自慢げにするシルベーヌだったが、壁の方は上に向かって開いていって、1m程動いたところで止まった。

 経年劣化のせいであろう。埃や錆のようなものが、駆動部分からパラパラと落ちているのが見て取れる。

 以前。確か旧市街の地下で似たような扉がいきなり落ちた事を思い出し。俺は背の長剣を扉の下端に固定して、不意に扉が落ちても少しは猶予を稼げる形にしてから扉をくぐった。


 扉をくぐった先は、また広々とした廊下だ。

 足元に灯る白い非常灯のおかげで視界はゼロではないが、壁から剥がれた瓦礫や、何か機械の残骸で溢れた不気味な廊下。時折小部屋への扉が見える廊下の先からは、生気ある声と瓦礫が除けられる作業音が聞こえて来ていた。

 そして俺はこの廊下を知っている。一度通った事がある。


「なあミルファ。ここって――」

「はい。少し先が、私がブランを見つけた小部屋のはずです。しかし、隠し扉がこんな所にあったなんて……」

「いざ外側から見ると、まず分かんない偽装ね。それだけ隠したいって事だし。今通って来た場所は、かなり重要な区画なのかしら」

「恐らくはそうでしょうね。やはり階段の下が本命です。合流してから――」 


 シルベーヌとミルファが話し始めるが。俺の足は自然と廊下を進んでいた。

 自分でも少しふらふらとしているのが分かるのに、吸い寄せられるように歩が進み。扉が開かれたままになっている部屋の一つへと踏み入る。


 薄暗い廃墟の一室。白い棺桶のような物。他には小さな机と棚があるくらい。

 そんな寂しい場所が、自分の始まりの場所だった。


 目が覚めた直後は周りなど見る余裕が無かったが。改めて自分が目覚めた所に立つと、この部屋はどこか物置のようにも感じる。

 それに。ここが監獄だとするならば、この部屋は一体? それに、ここに居た俺は――。


「ブラン。駄目よ1人で先に行っちゃ」

「ああ、ごめん。シルベーヌ」


 追いついて来たシルベーヌが俺をたしなめ。返事をした俺は一度深呼吸をした。

 白い棺桶をよくよく見てみると、外側を金属などで構成された物である。一部は機械部分が剥き出しになっていて、近くの床を見れば、これ自体を引きずったような痕が残っているが分かった。


「保護ポッドって呼ばれる物ね。今は製造出来ない戦前の物品の一つなの。いわゆる冷凍睡眠装置みたいなもので、外からでないと開かない形になってるのよ」

「じゃあ、ミルファがここに入ってた俺を?」

「そうなるわね。ロックとかは掛かってなかったって聞いたわ」


 シルベーヌはそう言うと、保護ポッドの近くに座って、剥き出しの機械部分を検めだした。


「一回開くと再利用は出来ない上に、部品それぞれを分解しても驚くような部分ってないのよねぇ。まあ、戦後の技術解析が追いついてないだけなんでしょうけど」

「何か特殊な物って訳じゃないのか?」

「変わってるのは変わってるんだけど……そんなに珍しくも無いって感じかな。それはともかく、ブランがここに入ってたって事は――」

「――俺もこの監獄に関係がある。って事なんだろうな」


 自分で言っておいてだが、それを理由に何かが分かる感じは無い。なんせ俺の記憶は、この場でミルファに起こされてからしか無いのだから。


「ともかく。セブーレさん達と合流しよう。ここから出て殆ど一本道だしさ」

「了解っ」


 シルベーヌが明るく答えたところで、小部屋の入口にミルファが立った。彼女はたおやかに微笑むと、あの時のように銃を構えてゆっくりと歩きだす。

 俺はその背を、あの時のようにパンツ1枚ではなく。戦闘服バトルドレスと各種の装備という立派な服を着て、ミルファと同様に銃を構えて続く。


 突き当りを右に曲がった所で、進んだ先に隙間の増えた瓦礫の壁と、隙間から見える人間の姿が見えた。

 暗闇の奥からでも銃器のライトが見えていたのか。探索者シーカー達は少し警戒していたようだけれど、俺が声を出すと安心した様子が伝わって来る。


「隊長! なんだお前ら、下に行ったのに上に戻って来たのか!」


 瓦礫越しにセブーレさんの嬉しそうな声が聞こえ、探索者シーカー達は和やかな雰囲気に包まれた。

 周りには太い金網で封じられた通風孔と、朧げな照明くらいしかない通路だが。どこか暖かい感じがあるのは、やはり人の気配があるからだろう。


「隊長。瓦礫を除ける作業はもうちょいかかる。あーでも、そっちからも手伝ってくれりゃもうちょい早くなるか」

「それなら、ここを開通させた方がいいかな。奥にまだ道があったんです。そっちに行くにも帰るにも、やっぱり垂直に穴を登るよりは楽ですし」

「了解だ隊長」


 そんな会話の後。瓦礫の撤去作業を手伝いつつも、にこやかな時間が過ぎていく。

 やはり人が沢山いる場所は良く。もう少しで瓦礫の撤去も終わると思った――その瞬間。

 俺の身体は、ピリッとした視線と明確な殺意が、この監獄に立ち入った全員を意識したのを感じ取った。


「誰か居る」


 俺が言うと。探索者シーカー達全員が即座に拳銃やライフルに手を掛けた。

 銃口が向いたのは通路の奥。暗く冷たい、階段があった方向だ。


「……見えませんね」

「気配は確かにあったんだけど……」


 ミルファがライフルを下ろしたのに伴い。他の探索者シーカー達もゆっくりと銃を下ろしていく。


「仮に何かが居たとして、生体兵器モンスターでしょうか?」

「いや。そういう感じじゃなかった。もっとこう、生っぽいというか。人みたいな感じだ」

「人みたいな感じっていうと……」


 シルベーヌが首を傾げ、悪戯っぽい邪悪な笑みで俺を見た。


「ブランが感じた気配は、幽霊だったり?」

「おいおい。今の時代に幽霊なんて、そんなんいる訳ないだろ?」


 セブーレさんが軽妙な笑いで続き、シルベーヌの方を見た――その刹那。


「ひっ……!」


 セブーレさんの視線が近くにある通風孔に向けられ、怯え竦んだ小さな声が漏れた。

 この場の探索者シーカー達の殆どが彼女へ視線を向ける中。俺はハッとして、セブーレさんの視線の先に目をやり、俺も思わず小さな吐息を漏らす。


 金網で封じられた通風孔の奥で、濁った青い目が俺達を見ていたのだ。

 焦点の合っていない青い双眸が闇の中でギョロギョロと動き、音もたてずに通風孔の奥に消えていく。


 青い双眸の異様さに動けず、目が通風孔の奥に消えた後。セブーレさんが口をパクパクさせて通風孔を指さし、周りの探索者シーカー達に言う。


「……おい! ……今……! マジか……!?」

「分かってます。今さっき、完全にこっちを確認されましたよね」


 ショットガンを構え直し、俺は気を引き締めた。


「ミルファと、後5人くらい。一緒に階段の所まで戻ろう。シルベーヌとセブーレさんは、この場で退路の確保と、穴の方の警戒を」

「分かったわ。無線は使えるから安心だと思うけど、気を付けてね」


 シルベーヌが真剣な顔で頷いたのを機に、俺は先ほど言った数人を連れて足早に歩き出す。

 通路を渡ってシャッターを通り、階段を降りて暗い下層への手前に立つと、深呼吸を一度。

 冷たく濁った空気を吸って、俺は更に下層へと歩き出した。どことなく空気が重いのは、きっと気のせいではない。


 階段を下り切った所はまた真っ暗で、両開きの扉が一枚あるだけだ。

 ハンドサインで皆に準備をするよう告げ、俺はそっと扉に手を掛ける。


「開いてる」


 手を掛けた扉は、俺達をまるで奥へと誘うかのように、ゆっくりと音を立てて開いた。

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