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第101話 前を向く

 地下の縦穴。その直下の地下遺跡に流れる膨大な濁流が、凄まじい轟音を響かせている。濁流の轟音には、時折瓦礫などの砕かれる音が混ざっていて、どことなく恐ろしい。

 その濁流は、地下遺跡をいっぱいにして余りあるけれど、縦穴の上までは至らない。ホワイトポートの真下に存在する生体兵器モンスターの巣窟は、完全に潰されただろう。

 軍事的な目標は達成。人員も無事。作戦としては万々歳。

 だが、遺跡に乗り捨てた軽トラなどは流されたし。舞踏号を吊り下げていたクレーンも倒れてしまった。機材の被害総額は、結構なもので間違いは無い。


 しかし。それら以上に――


「ブラン兄さん! えっと……旅人さんが!」


 一息ついて、機関砲などを置くべく隅に座り込んでいた(舞踏号)に向け、ティムが叫んだ。

 そちらを見れば。担架に横たえられて医療器材とスタッフに囲まれ、毛布を掛けられた幸運の旅人が、苦しそうに胸を抑えていた。

 コクピットから出るべく、ハッチを開く。一瞬だけ意識が途切れる。



 残念だけど、助からないよ



 諦めの篭った幻聴の後。俺は意識を取り戻した。

 コクピットで硬直していた生身の身体が強張るが、コクピットから飛び出して、舞踏号の背から飛び降りる。

 すぐさま横たえられた旅人に駆け寄ると、治療をしていた老医師が顔を上げ、うつむいて首を横に振った。


「そんな……!」

「すまないが、手に負えない。人の形を保ってはいるが、これではまるで別の生き物のようで……」

「なんとかなりませんか!」

「無理だ。血管や筋肉どころか、体の構造が違う。もう息も弱く、身体の感覚も薄いし視界も無いようだ。長くは無い」


 沈痛な顔の老医師は嘘を言っていない。それどころか、全力で懸命に色々な処置をしてくれていたのが、周りに広げられた医療器具や、額に浮かんだ汗から十二分に察せた。

 苦し気に胸を抑える、かつての幸運の旅人。彼は人の形は保っているものの、全身はおろか髪の毛一本に至るまで灰色で、異形であるのは間違いない。

 それでも。彼は”人”なのだ。少なくとも俺はそう感じる。


「……僕はっ……僕は……!」

「大丈夫です! 俺が居ます!」


 身体を横たえたままもがき。救いを求めるように伸ばされた手を、俺は両手で握りしめる。

 やせ細り、骨が浮いたような手は、力を籠めると簡単に折れてしまいそうだ。そんな骨ばった手が、俺の両手をおずおずと撫でる。


「……人の手に触れたなんて、いつ以来だろう……」


 泣きそうな声に続いて、旅人の喉から嗚咽が漏れ始めた。


「これから、かも、しれないのに。僕は、もう駄目です」

「そんな! 諦めちゃダメです! 一緒に探しましょう! 美味しい物だっていっぱいあるし、綺麗な場所だってたくさんあります!」

「良いんです。分かってます、分かって……でも、自分の事も分かります。どうしたってもう、体がもたないのは……」


 受け答えこそ出来ているものの、旅人の目はずっと虚空を見つめたままだ。

 そこに、武装を解いたシルベーヌとミルファ。シェイプス先生。地下に来てくれていた余所者アウトランダー達に、タムとティム。ガナッシュさんも集まって来る。


「……もう、目も見えないけれど分かります。貴方は色んな人に支えられて。貴方は色々な人を支えて。僕の前に立ったんですね。本当に、羨ましい、輝いて見える……。僕は、どうして……」


 どこか満足げで、それでも悲痛な涙声が、轟音の響く地下に染み渡った。

 何とかしてあげたい。けれど、彼と医者の言う通り。もうどうしようも無いのだ。緩やかに意識を失い、死へと向かう以外無いのだろう。

 それでも何か。何かしてあげたい。せめて安らかな心地になれるように。この人に救いがあるように祈りたい。最後に救いがあったと思って欲しい。

 でも、そうだ。祈り――


「シェイプス先生! あの古い本! あれはいつ頃からあるんですか!」

「……相当に古くです。人が、まだ車や銃を持つよりも前。神話から歴史へと変わる頃だと」

「その中でも古いお祈りとか、風習を知りませんか? 十字とか、主とか、天の使いだとか。そういうのがある頃の!」


 俺が顔を上げて聞くと、シェイプス先生はハッとした。

 そしてコートの内側から、古く使い込まれた小さな本を取り出し。本を開くと急いでページをめくり、指と目を止めた。


「十字の時代は、相当昔にありました。そしてその頃の祈りは、確かに古い本に書き残されております。こういった場で唱えるものかは分かりませんが……」

「お願いします。シェイプス先生。きっとこの人は、その古い時代の信仰を持ってる人なんです」

「……分かりました」


 そう言うと、シェイプス先生は俺の反対側に屈みこみ、深呼吸を一度。厳粛な声で静かに古い祈りを唱え始める。


「”天にまします我らの父よ。願わくは御名を崇めさせたまえ”」


 その文言を聞いた途端、旅人の目が虚空から引き離され、真っすぐに一点を見つめた。

 悲痛だった涙が、歓喜による涙に変わっていく。


「それは……! ああ、あったのですね……!」

「”御国を来たらせたまえ。御心の天になる如く、地にもなさせたまえ”」


 俺の手を握る旅人の手に、確かな力と温もりが篭る。


「”我らの日用の糧を、今日も与えたまえ。我らに罪を犯す者を、我らが赦す如く、我らの罪をも赦したまえ。我らを試みに遭わせず、悪より救い出したまえ”」


 シェイプス先生の厳粛な声で続けられる古い祈り。

 それには、周囲の人間がつい耳を傾ける、確かな力が存在した。


「”国と力と栄えとは、限りなく汝のものなればなり”…――…」


 祈りの最後に。古い祈祷の言葉が唱えられた。

 幾千幾万の年月、世界の様々な場所で唱えられていた祈りの言葉。様々な意味を込められた一つの言葉だ。

 それを聞いた旅人は目から涙を溢れさせ、頬の緩んだ笑顔になった。


「……本当に、最後の最後に救いがありました……。ああ、私は、本当に幸運に巡り合えた……! この世には、まだ祈りが残っていた……!」


 かつての旅人が、感極まった様子で俺の両手を握り直し。歓喜に震える喉で何度も咳をした。

 身体をさすろうとする俺を手で制し、旅人は力を振り絞る。そして見えるはずの無い目に、己の信ずるものを仰ぎ見て、聖詠が謳われる。


「益荒男よ! 光栄と威厳とを以て、剣を腰に帯びよ! 真理の為、また正義を守る為に威厳を持ち! 勝利を得て乗り進め! 貴方の右の手は、貴方に恐るべき業を教えるであろう!」


 古い古い詩の一部なのだろう。力強く詠うように発せられた言葉が、ぎゅっと掴まれた手から伝わり。俺の身体に力を与えていくような気がした。

 そして抜粋された古い詩を謳い終えると、幸運の旅人が俺を観て微笑む。


「旅人よ。貴方の旅路に光あれ! ――!」


 最後に。古い祈りが捧げられた。

 叫ぶのではなく、この世の全てを賛美するような爽やかな笑顔と、明るく快活な声で捧げられた祈りと共に、旅人は静かに目を閉じた。

 彼の旅路は。今、終わったのだ。


 しばしの沈黙の後。俺は亡骸の両手を胸の前で組ませてから呟く。


「……俺は。この人に善い事を成せたんでしょうか……」

「少なくとも。この方はブラン殿を祝福しておられました。先ほどまで拳を交えていた相手を祝福していたのです。悪意などはあり得ないでしょう」


 シェイプス先生が、厳粛ながらも俺に優しく言ってくれた。

 それに続いて、隣に立ったガナッシュさんが俺の肩に手を置いてくれる。


「後ほど、弔いもきちんとしよう。そのためにも、まずは皆で屋敷へ戻るぞ。君達はやり遂げたのだ」


 静かにそう言うと、皆すぐさま撤収の準備に掛かり。

 身も凍るような寒い夜。俺達はウーアシュプルング家の屋敷へと帰って行く。

 知る者も少ないホワイトポート地下での戦いは、こうして幕を閉じた。




 戦いの翌日。そろそろ太陽が空の真ん中に至る頃だが、天にはどんよりした雲が立ち込めている。

 ウーアシュプルング家の屋敷の敷地。その隅にある木々に囲まれた場所に、地下での戦いに参加した全員が集まっていた。

 皆の視線の先にあるのは十字の墓標。その下には、あの旅人が眠っている。


「……なるべく、古い時代の慣習に則って葬儀は行いました。願わくば。安らかでありますように」


 シェイプス先生が慣れない手付きで十字を切り、静かに言った。

 先ほど言われたように、一応葬儀は終了だ。恐らくやり方の多くは戦前の風習と違うし、失礼な部分も多かったかもしれない。それでも真摯に行われた葬儀だった。

 屋敷の方へ戻る人が出て来る中。俺はもう一度だけ墓標に向かって手を合わせて目を閉じ、あの人のために少しの間祈る。どうか、安らかであるようにという一念だけで。

 しばらくして目を開けると、俺の左右でシルベーヌとミルファの2人も、同様に目を閉じて手を合わせてくれていた。

 

 俺の視線に気づいたのか、彼女達もまた目を開けてこちらを見て。シルベーヌが呟く。


「あの人は最後笑顔だったけど、これで善かったのかは分かんないわね」

「本当だよな……」


 俺もまた呟くように答え、細く白い息を吐いた。

 今度はミルファが小さな声で言う。


「死というものは、古来から延々と論じられてきました。戦後の時代においてもそれは続いており。私のような”ヒト”を生み出せる現在になっても、万人が納得する明確な結論は得られていません」

「……まあ、そうだよな」


 再び俺が答え、白い息を吐く。

 するとそこに、シェイプス先生とタムとティムの3人が近づいて来た。3人は静かに墓標へ向けて頭を下げた後。タムとティムはシルベーヌとミルファに寄り添う。そして、シェイプス先生が静かに語る。


「死生観というものは、人の数と同じ程に数が御座います。死の先には何も無いと考える者。死こそが救いであると考える者。死と生は同一であると考える者。例え同一の宗教を信じていても、僅かに違いがあるものです」

「死生観ですか……」

「例とすれば、ケレンの民もそうです。我々は、満足に生き、満足に死せる者は天地と海の神々に導かれ、幸福なうちに天然自然へと還る。と、考えております。ですがこれは、あくまで考え方の一例。結局は、残された者が納得出来るかどうかだと我々は、いえ。私は思うのです。生と死には、明確な隔たりがありますれば」


 シェイプス先生がそう言うと、また人が近づいて来た。

 ガナッシュさんにエリーゼさん、そしてアルさんだ。

 3人は俺達に近寄ると微かに微笑み。墓標へ向けて少し手を合わせてから、ガナッシュさんが静かに言う。


「わしは、特定の信教を持っている訳では無い。だが、死や生については考える。わしも妻を亡くしているからな」


 エリーゼさんが少しだけ寂しそうにアルさんに寄り添い。アルさんもまた、エリーゼさんを少しだけ支えるようにした。


「これはわし個人の考えだがな。まあ、今シェイプス殿が言ったように、残された者が納得出来れば良いのだ。どう考えても、どう頑張っても、死者と話す事は出来ん。超能力であるとか奇跡であるとか、死人の声が聞こえたなんて話はたまにあるが。その大半は聞こえた者にしか分からん主観的な物だ。客観的な観測がされた事例はほぼ無い」


 腕を組み、ガナッシュさんが背筋を伸ばす。


「わしもそうだ。妻が息を引き取ってからは、わしもかなり落ち込んだ。しばらくは妻の声が聞こえるような気もしていたが、ある時ふと気づいた。妻は先に逝ってしまったが、わしはまだ生きている。生きて、色々な者を背負っている。娘だけではなく、屋敷の皆や、商会に関わる皆。その生活を背負っている。ふさぎ込んではおれんとな。それに――」


 腕を組んでいたガナッシュさんが、腰に手を当てて笑顔になった。


「妻はよく笑う人だった。最後の最後もまた笑っていた。だったらわしも笑わねばなるまい! 自身の死を悼まれて嬉しい者は居るだろうが、ずっと哀しみに暮れたままを望む者はおるまいしな。ここに眠る旅人もそうだ。最後は笑って、少年の旅路を祝福していた。だったらわしらも笑って応えねばなるまい! 戦後の時代は辛い事も多いが、大笑いして生きてやろう!」


 明るい声でそう言うと、力のある笑顔でこの場に居る全員を見た。

 ガナッシュさん本人の人を引っ張る力も相まって、少し陰鬱だった気分が、不思議と明るくなっていく。


「苦労にはきちんと報いるのが、ウーアシュプルング商会の会規でもある! 数日のうちに屋敷で宴席を設けるぞ! それまでは後始末と事後処理だ! さあさあまだ忙しいぞ! まずは図書室に集合して、今後の動きをまとめる!」


 再びガナッシュさんが明るく言い、皆も快活に踵を返して墓標から離れていく。俺も笑顔で墓標に一礼して、墓標を後にした。

 幸運の旅人。根も葉もない噂なのだろうけれど、俺はそんな噂を現実のものとするべく生きていこう。名前も知らない旅人のためにも。俺を支えたり、協力してくれた人々の為にも。


「あっ!」


 屋敷の庭に出て来た時。不意にタムが上を向いて兎耳をピンとさせた。

 皆がつられて上を見ると、空から白く冷たい雪が、ひらひらと舞い始めている。確か、この島では数年ぶりの雪のはずだ。

 ひらひらと降る雪を見たティムが嬉しそうに言う。


「ねえ先生。積もるかな?」

「どうでしょうな……大き目の雪が降れば違うのかもしれません」

「積もったら遊べるな! ワタシ、雪合戦とかした事無いんだ! みんなでやりたい!」


 シェイプス先生の優しい声に続いて、タムの明るい声が雪空に響く。

 その声に含まれた生気というか、未来のある不思議な明るさが。この場の皆を前に向けさせた。



 その後。地下遺跡での戦いに参加した全員と、ここまでに様々な協力をしてくれた人々の多くが、屋敷の図書室に集合した。

 そこでガナッシュさんが厚いファイルを抱え、全員に語る。


「詳細はもう少し調査が居るだろうが、今回の作戦は大成功と言って良い。皆。本当によくやってくれた」


 明るい歓声がわっと上がり、図書室全体の空気が熱を持った。


「だが。大変なのはこれからだ。地下遺跡は水没させたとは言え、ホワイトポートの共同溝と遺跡は未だに繋がっている部分がある。後始末が必要になるから、色々と手を回して、細かい部分を補強したり封鎖したり、今までよりも地道かつ忙しい仕事が待っている。皆くれぐれも、気を抜き過ぎないようにな」


 優しい声でガナッシュさんが戒めてから、その他の連絡を全員に行う。その後は今後の動きについて大まかな指示を出し、一旦解散が告げられた。

 一つ大きな事を成した満足感を皆が共有し、笑顔で図書室から離れていく中。俺達探索者シーカーも屋敷の車庫へと場所を移す。



 車庫の隅には、傷だらけの舞踏号がどこか満足げに座り込んでいる。装甲や皮膚カバーに傷こそ多いが、致命的なダメージを受けてはいない。強いて言えば濁流に胸まで浸かった為、電装品を洗って乾かしたりするのが大変だったくらいだ。

 それもテトラ達が懸命に働いてくれたおかげでほぼ終わっているし、テトラ達は今も舞踏号の修理を続けてくれている。


「さて! 全員集合!」


 シルベーヌが一度手を打ち、探索者シーカー3人とテトラ3機が集まった。心なしか、舞踏号の目も彼女に向けられている気がする。

 そして集まった全員に向け、シルベーヌが笑いかける。


「改めて、皆本当にお疲れ様! 今回のお仕事は大成功よ。皆のお陰。ペテロ、ヤコブ、ヨハネ。本当にありがとね。皆が頑張ってくれるから、私達が色々な事出来てた」


 シルベーヌに続き、俺とミルファも3機にお礼を言うと。テトラ達3機は嬉しそうに身を揺する。中でも正方形のペテロが気恥ずかしそうにその場で回転し、俺の脛に突進してきた。

 俺は素早くしゃがんでペテロを受け止め、逃げれないように抑えつつ撫でまわす。するとペテロが甲高いビープ音を鳴らし、ミルファがくすくすと笑う。


「ペテロはなんて?」

「セクハラだと言っています」

「酷いな!? いや、まあ嫌だったらごめんよ!」


 俺がペテロから手を離すと、この四角い立方体は鼻息のようなビープ音を鳴らしてシルベーヌの方に向き直った。

 同様に、俺とミルファも笑いつつ、笑顔のシルベーヌの方に向き直る。


「ブランとミルファも、本当にお疲れ様! やる事はまだまだあるけど、しっかり休もうね。だって私達のやる事はまだまだあるんだから!」

「はい。シルベーヌもお疲れ様です。また少し情報をまとめたりしないといけませんが、とりあえず次に向かうのはメイズ島西部の森でしょうか」

「おう! そうかもしれないな。喋る生体兵器モンスターの事について、色々分かりそうだし。それと――」


 俺は両膝を付いて座り込む、自分の半身へ視線をやった。

 いいや。半身という訳では無い。舞踏号は俺とは違う、明確な個を持っていると地下遺跡で直感した。


「舞踏号の事も、なにか関係あるのかもしれない。昔の戦争の記憶は、記憶じゃ済んでいないのかもっていうか……」

「うーん……? 中々分かりにくい事を言うわね?」


 シルベーヌがきょとんとした様子で俺と舞踏号を見て、それに続くようにミルファとテトラ達も巨人と人を交互に見る。

 当然の反応に、俺は苦笑いした。


「まあ、武器の修理とか整備とかをしながら話すよ。本当。不思議な事が起こったり、幻聴が雄弁だったり、自分でも良く分かって無くてさ」

「了解っ! それじゃあ皆で働きましょうか! ゆっくりね!」


 シルベーヌが明るく言い、この場の全員がそれにまた明るく返した。



 色々な事があった。本当に。

 地下遺跡の存在や、幸運の旅人。エミージャの事に、舞踏号の事。数え上げればキリがないし、頭はこれまでの事象を、まだ理路整然とした言葉にまとめきれていない。動き出した大きな流れが、いよいよ明確な形となって表れている気もする。

 だからこそ俺は踏ん張らなければいけない。ハッピーエンドの三文芝居を踊るために気合を入れ、力強くあらねばならない。


「改めて。これから頼むぞ」


 舞踏号の膝を軽く小突き、俺は戦化粧をした巨人の顔を見た。

 どこかスッキリしているというか、新たな敵を見つけた喜びが滲み出ているような表情が、口元のスリットから感じ取れた気がした。



沢山のブックマークや評価を頂けて、大変嬉しく思います!

少しでも楽しんで頂けているのなら幸いです!

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