3、こんにちは異世界です。はい。
わああ!こんなにおくれるなんて!ごめんなさいい。
チュンチュン……
鳥の鳴き声が聞こえる。あぁ。これが噂の〈朝チュン〉か。確か昨日は、一回死んで……
……っは!!いきなり脳が覚醒し、さっきまでのことを思い出した。
「転生……?」
デジャヴ!この流れさっきもやったな!
若干テンションが高い脳に、落ち着けと言うつもりであたりを見渡す。
見えるものは、木、木、木、木。んん~?もう一回!
木、木、木、木、どこ見ても木!あー。なるほどね~。ここはどこか分かっちゃいました私!そう!きっとここは
「……森だ……!!」
脳についていかない口は平常運転だから、置いといて、一つ言いたい。
ちょ、神様!?異世界が森からなんて聞いてないよ!!
と、とりあえず、落ち着こう。そして、装備品を確認しよう。あれ、なんか私適応能力高くない?いきなりの森なのに、装備品確認してるよ?まあ、いっか。それよりも確認だよ。鏡はないから、顔は見えないけど、今着ている物はわかる。そう。猫耳がついている、パーカーにショートパンツ。短い靴下にシンプルな黒いスニーカー。
…………。いや、なんだこれ?!!まだ死んだときの服なら分かるよ?!なんだこの服は。見たことないし、当然買った記憶もないぞ。内心パニックになっていると、ぽろっと、ポケットから紙切れが落ちた。
え、なにこれ、あ、神様からだ!えっと、何々……?
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ソラへ
無事異世界についたみたいじゃな。
さっき伝え忘れていたことを伝えるぞい。心して読むのじゃ。
まず、その世界は【ディセウム】という。
今ソラがいるのは、人族がたくさんいる、【人族の国】。そしてまたその中にある【アメジスト王国】の森じゃな。確か、【始まりの森】という名前だったはずじゃ。
【人族の国】のには、大きく分けて3つ王国がある。
文化が発展している【アメジスト王国】
自然に囲まれた【サファイア王国】
職人が集まる【エメラルド王国】
この3つじゃ。
【アメジスト王国】は色々な種族がまじあう唯一のところじゃ。ファンタジーならではの<獣人><エルフ><ドワーフ>が一緒に生活しているのはここくらいじゃのう。
魔人、龍人もいるんじゃが、そいつらは違うところで暮らしてるぞい。気になったら、調べて会いに行くといいのじゃ。まぁ。調べなくてもソラは龍人の国にお世話になると思うぞい。
おお。そうじゃ。ソラその【始まりの森】にはもちろん魔物がおる。ゴブリンなど低級が多いのじゃが、油断してはならんぞ。
あとのう。いきなりの森スタートじゃろ?お金持ってないじゃろ?と、いうことで<異世界宅配便>に一つだけ<魔力をお金に変える能力>を追加しといたのじゃ。まあ、たくさんの魔力で少しのお金じゃから、街に行って普通に稼ぐことをおススメするのじゃ。
人族だと、ちと持っていかれる魔力量が多いかもしれんが、いいハンディじゃろ。
最後に、ソラについてあった”コミュニケーション能力<皆無>”は取り外しておいたのじゃ。はじめは慣れないと思うが、少しずつ人と関わるのに挑戦してほしいのじゃ。
地球神より
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……。おお。なんか、いっぱい突っ込みたいけど一応理解したぞ。あれですね。つまり、今からするべきことは一つ。
「……でなきゃ。……この、も、森……から……!」
何時もよりも出やすくなった声は自分のものか疑ってしまった。
やるべきことは分かった。ここがどこかも分かった。ここは危ない、逃げるべき、ということも理解した。しかし、情報が手に入ったとたん、もっと知りたくなるのが人間なのか。
さっきまでは気にしてなかったことに気づいてしまう。
ザーーという木々の音。日本でもたくさん聞いたはずなのに、背筋がこおった。
怖い。怖い。そっか。私、今一人なんだ。こんなに広く怖いところに1人なんだ。身体が若くなって精神も幼くなったのかな。身体の震えが止まらない。
けど、どうにか頑張ってここから逃げるために辺りをもう一度見渡してみる。
木。うん。知ってた。
ってあれ?なんかあそこだけオーラが違くない?
そこは、周りの禍々しいオーラと違い、温かい、優しいオーラが漂っていた。
自然と、そちらへ足が動く。まるで何かに引き付けられているよう。知らないところに進んでいくのに、不思議とさっきまでの恐怖感が薄れていく。
この温かさをたどれば、大丈夫。なんの根拠もなかったが、私は進み続けた。
15分くらいたったころだろうか。足が疲れてきて、進むにつれて強くなるオーラが一瞬で消えた。
慌てて周りを見る。今日何回同じ動作をするんだろう。
「……って、え?」
一心不乱に歩いてただりついたそこは、さっきまでの森からは想像できないような、綺麗な神殿だった。
私は間違えて天界にでも飛ばされたんだろうか。と思ってしまう。
まぁ、ここがある意味人間の住む場所じゃないという点では、合ってたりもすることを、この時はまだ知らなかった。
白が美しく輝いている神殿に目を奪われボーっとしていると、ふと、後ろから人の気配を感じた。
「!?」
急いで振り返る。そして驚く。
そこには、この世の物とは思えないほどきれいな顔立ちの、絹のような滑らかな銀髪をなびかせた、とんでもない美人がこちらを向いていた。
「あら。珍しいわ。こんにちは、かわいいお客さん?」
その美人の問い?に対して私は
あまりの美しさに、敵ではないことを表すように大きく頷くことしかできなかった。
中間があるので、明日もう一話更新して、一週間あけるかもです。