〜Fancy Love〜
唇を離し、2人は向き合う。お互い頬を赤らめている。
「萌香…大好きだよ。」と颯斗がいい私に抱きついてきた。服のいい匂いがする。
「私もだよ…颯斗くん。大好き…」
抱き合うのをやめ、また向き合う。そして颯斗はベンチから立ち上がる。
「萌香!プリクラ撮り行こうぜ。付き合った記念にさ」と颯斗が言う。
「うん!行く行く!」と私はいいベンチから立ち上がり、颯斗の元へ向かう。そして2人は手をつなぎながら公園を後にした。
近くの大きなショッピングセンターのゲームセンターにあるプリクラ撮りに行くと颯斗に言われそこへ2人は向かう。
「ねぇねぇ、颯斗くんってさ。なんで私と付き合おうと思ったの?」と私は質問する。
「うーん…入学した時、一目惚れしちゃったんだ。だけどなかなか言い出せなくて…」と照れながら颯斗か言った。照れた顔かわいいなぁ…と余計な事も考えてしまった。
「一目惚れ……なんだ。私もそんな感じかな…けど学校1イケメンって聞いたからこんな私とじゃ付き合えないかな…って思ってたの。」と言う。正直私も照れていた。
「お互い、一目惚れなんだね。俺もいろんな女子から告白されたけど萌香じゃなきゃダメだ。って思って全部断ったんだよ」と笑いながら颯斗は言った。
「えぇ!?そ、そうなんだ…私とじゃなきゃ…ダメだって思ったんだ…」と言い終わるに連れ声が小さくなる。
「そうだよ。萌香となら……なんでもしてやるよ、俺」と颯斗は空を見上げながら言ってきた。
意外と一途なんだ…と私は思った。私より可愛い子いっぱいいるのに特にモテもしない私と…私は心の中でそう言った。
話しているうちに、ショッピングセンター近くの交差点についた。次号待ちをし歩行者用の信号が青になる。私は颯斗より少し先に歩き出した。
萌香が歩道の半分ほど歩いたその時、颯斗が声を荒げた。
「萌香!危ない!」と。
私は歩くのをやめ、颯斗の方を振り向く。颯斗がこちらに向かって走り始めている。私の左側から何やら音が聞こえる。この音…なんだろう?
そして私はその音がする方へ向く。
そこには…信号無視をしてきたトラックが私めがけて来ている。トラックのクラクションが響いた。
動けない。逃げたいのに、逃げられない。颯斗の方を見ると颯斗が手を伸ばしているのがわかる。私はそれを見て手を伸ばす。
しかし、私の手は颯斗の手には届かなかった。
「萌香ー!」と颯斗の声が叫ぶ。
気がついたらもう、颯斗の姿は見えなくなっていた。