〜Fancy Love〜
支度をしている途中、私は肩を叩かれた。
「なぁ、萌香さん。」と颯斗が話しかけてきた。まさか、本当に話しかけてくるだなんて思ってもいなかった。
「あっ…ど、どうしたの?」と私は答える。
「そのー…さ。」と颯斗が髪を触っている。ここまでは夢の中と同じだった。
私は次に発せられる言葉を待った。颯斗がそれを言うまで数分、時間があった。
「今日…放課後空いてる?」と颯斗が言っていた。私は驚いていた。夢の中のストーリーとまったく同じだと。
「う、うん。空いてるよ?」と私は答える。
「そのー…さ。今日一緒に帰らねぇ?」と言ってきた。夢で起きたことが本当に起こった。これまでいろいろ正夢になったことはあるけれど、恋愛まで正夢になるとは思ってもいなかった。
「うん、いいよ。」と私は軽く返事をする。夢の中みたいに、えぇーー!?とはならなかった。
「じゃー…放課後昇降口で待っててね。」颯斗が言い、立ち去っていった。
ここで、本来なら夢は終わっている。ここからは私自身でやらなくてはいけない。
そして、帰りのSHRが終わり、私は昇降口へ行った。そして、颯斗が来るのを待った。待っている間「どうしたら、話が続くだろうか。」など心の中で考えていた。
待っていると「ごめん、ちょっと購買行ってた」と言い小走りで私の方に向かってくる。片手にはペットボトルのジュースを持っている。
「はい、これお前にやるよ。俺のはもうバッグに入ってるから。」と颯斗
こ、こ、これじゃーまるでデートみたいじゃん!!なんか誤解されそう!今歩いている女子たちに「これはデートなんかじゃない」と一人一人言っていきたい気分だ。
「じゃー…行こっか。萌香さん」と言い私の手を握り歩き出した。私はそれについていくことしかできなかった。
そして、校門を出て通学路を歩く2人。周りには同じ学校の生徒が多くいた。
これ…デートじゃないよね?告白されてないもんね?そうだよね?そう思いながら颯斗の隣を歩く。
「なぁ…萌香」と颯斗が前を向きながら話しかけてきた。
「ど、どうしたの?」と私は颯斗の顔を見ながら返事をした。
「今さ…好きな人いる?」そう聞かれた。
私の好きな人…好きな人…私の隣にいる。私は颯斗の事が好きだった。けれど学校1イケメンで手の届かない存在だった颯斗とは付き合えないと思っていた。
「私…うーん。いないけど…」と嘘をついた。こんなところで言えるわけがない。嫌われてしまうと思ったからだ。
「そうなんだ。それだけ聞きたかったんだよ。萌香」と颯斗。
「そうなんだ…」と返事をする。
その後2人は、いろいろ話しながら帰り道を帰って行った。
そして、分かれ道。
「じゃー俺、こっちだから。また明日、学校でね。」と颯斗が手を振っている。
「はーい。じゃーねー」と私もそれを見て手を振り返す。これじゃーなんか付き合ってるみたいじゃん!見られてなくてよかった。と私は思った。
そして、2人は家へと帰って行った。