† 八の罪――剣戟の果てに(伍)
「少なくとも、旧世界に俺らの居場所はねーってことだ」
「……隊長のぼくが逃亡したら、みんなに迷惑かかっちゃうよ」
「じゃああいつらも連れてくってか? 全員を説得する前に誰か一人がしかけてこねーって保障あんのかよ。どのみち事が露見した時点で、もう部下への迷惑は必至なんだよ。俺らに皆殺しにされるよりはマシだろ」
「賢明な判断よ。ふん、余を応じさせただけの程は有る」
赤装束の魔王が満足気に頷く。
「サンキューサンタ。プレゼント代わりに、これからも協力してくれるか?」
「努々違えるな。貴様を主とした訳ではない。神をも狙う余を御せる者等、如何なる世にも存在せぬ」
「じゃ、なんで俺に力を貸してくれるんだ?」
「幾度も云わせるでない。貴様が滑稽極まりなかった故、其の結末に興が乗った迄のこと。契約如きで余は縛れぬ。見当違いとあらば、何時とて見放すであろうよ。まあ弱者なりにもがくとせよ。暇潰しに力添えして遣ろう」
「ありがてーけどよ、俺はあんたが飽きても一人だろうとやり抜くつもりだ。生き抜けるかどうかなんて気にしても仕方ねえ。少なくとも、戦ってる間は生きてんだろ」
ルシファーはふと俺を横目で見遣ると、ご機嫌そうに鼻を鳴らした。
「……弱者でなく道化であったか。実に、つくづく珍妙な者よ」
こいつ、基本的にノリで生きてるな。
「……ベルゼブブは?」
本棚4台にコーナーデスクをフル活用してるんだけど、本さんが収まりきらない。




