† 八の罪――剣戟の果てに(肆)
俺は軽く息を吐いて、ベルゼブブをベッドから下ろすと、付け加える。
「組織に道具として扱われ、輝く時は英雄と讃えられるが、人知れず力尽きて死に、忘れ去られる。ダイヤモンドみたいに硬いけど、儚く砕け散る戦士たち……アダマースの名付け親はずいぶんと素敵な皮肉のセンスをしていらっしゃったようだ。で、どうする? お上は話し合いする気なんかね。律儀に丸腰で行って処刑されちゃかなわねーが」
「交渉とは覚悟と備えが有って舞台に臨めるもの。其れを満たさずして行うは、弱者の命乞いに過ぎぬ」
ふかふか帽子の下から、鋭いまなざしでルシファーが一言。
「多聞さんと本部にいったら脱出は絶望的だね。なんだかんだで責任感の強いお方だから、部下が抵抗しそうなら容赦せず取り押さえると思う」
「……寝覚めに隊長と戦っても結果は見えてんな。仮に情けをかけてくれても、七騎士のお膝元。残ってる六人を相手に悪あがきしたって結局は公開処刑みたいなもんか。この先どうなるかも今んとこ予想つかねーし、とりあえず組織から隠れて様子見がベストだろ……逃げるぞ」
「に、逃げるってどこに……? ぼくと新世界のアダムとイヴにでもなってくれるの?」
次の“第○回ゾッとするほど中二病が考えたっぽい武器名書いた奴が優勝”スレには、ぜひとも参加したい




