† 七の罪――劫火、日輪をも灼き尽くし(伍)
彼が表情をより険しくしたのを皮切りに、覇気が周辺の空気を強張らせてゆく。
「この身は常勝不敗なれど、己が手に真なる勝利を掴む日まで、我が渇望は修羅の先に在り
如何なる屍山血河とて我が歩み止めるに及ばず 立ちはだかる者を幾度となく討ち果たすだろう」
茅原が紡ぎ終わると時を同じくして、
「――――推参。
“狂気の人間凶器”……!」
猛り狂う大波にも似た、武骨で膨大な魔力が一帯を揺るがした。
(此の者……一分の隙も無い)
ルシファーは黙したまま、様相の一変した敵を正視している。
(……退けば一息に攻めきられる。踏み込めば一太刀に斬り捨てられる。待っていては気を読まれる。視認した後動いたのでは防げない。並の技等通じない――――)
薄い双唇が満足気に歪んだ。
「やはり貴様は興じさせて呉れる。並の技が効かぬとあらば、並ならざる技を以て挑むとしよう」
ルシファーが右腕を伸ばすと、その面前に紫の魔力弾が七発、十字状に姿を現す。
「罪には罰を。其の身を捧げ償え。
紫炎よ、奔れ――“贖いの闇十字”……!」
視界を染める七つの流星。これらが追尾してくる類だと悟った茅原は、自ら射線上を突き進む。
「まだまだァあああーっ!」
熱線に全身を灼かれながらも、茅原は一直線に射手へと疾駆し、
「ほう」
走り抜けざまに、白い細首めがけて斬り払った。
井の頭公園駅が近代化大改装された時、なんとも言えない切なさに襲われました。
あの昔ながらの風情ある外観が良かったのに…………




