表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
57/219

† 六の罪――第三の悪魔(参)


「筆頭執政官のいる、行政省……?」

 政治はさっぱりな俺でも、内閣制度が廃止されてから日本の舵取りをしている機関ぐらいは答えられた。

「千代田区で茅原知盛と思わしき人物が目撃されたようです!」

 飛び込んできた無線に、顔を見合わせる。

「やっぱ怪魔は囮だったかー。たのんだよ。所長にも応援を派遣するよう言ってみる」

 曇ってもいなかった空が泣き出した。それどころではないのに、じっと三条が手の平を眺めている。

「この雨……」

「んだよ、雨ぐらいで気を取られてる場――え、赤……い……?」

 ぞっとして多聞さんに目を移すと、彼は大海原の果てにいる何かを睨むように見つめていた。

「悪魔の現れる前兆だよ。血の洗礼、だったかな。たしか地獄大公――」

「夏でもないのに陽炎が……!」

 続きを遮るようにして、口々に騒ぎ始める後方の兵士たち。多聞さんは溜息をつき、煙草を手に取る。

「行きな。もうすぐここは、地獄になる」


 大穴と火災で変わり果てた路上。十数人の兵士が倒れ、苦悶の呻きを上げている。

(今ので全員やられたか――なんて腕だ……!)

 辛うじて生き残った俺は、ビルの影に転がり込み、息を整えていた。行政省の屋上に、僅かな手勢と立つ茅原を発見し、先手を取ることに成功。開幕一斉射撃で茅原以外を全滅させたが、それからの数十秒は、誰一人として一撃も与えられなかった。

「って、うおァッ! ちょ、跳弾!? こっちの位置は見えねーハズ……やはり使い魔のサポートか」

 何発かの銃弾が意思を持っているかのように、頬を掠めてゆく。

(……止んだ、のか……?)

 再び訪れた静寂。まるで空気までもが彼の殺意の的になることを恐れ、息を潜めているようだった。

「――ッ!? いきなり風が……!」



 歴史、声優が好きな方は気づかれたかもしれませんが、登場人物のネーミングには元ネタがあります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ