† 六の罪――第三の悪魔(弌)
「っつーことだから、おっさんたち、悪いけど血と涙はここで流しきってもらうぜ」
左右の足下に、高速移動用の魔法陣を顕現させる。
「いや、君たちは魔力を温存しておきな」
孔だらけになったトランクから、鉄の塊を軽々と取り出す多聞さん。
「馬鹿な! 三十キロはあるはず――」
刺客が言い終わらないうちに、一発ずつを聞き分けられないほどの連射音が轟いた。断末魔を上げる間もなく、彼らは肉片と化して四散してゆく。
周囲の敵意が皆無になるまで、無機質なミニガンの咆哮だけが聴覚を支配した。この名は当社比で付けられた愛称らしいが、ネーミングに違和感を覚えなかったのだろうか。
「五百発は使っちゃったかなー。あの世で待っててくれたら、いいお店いつか教えてあげるよ」
「もう聞こえてないと思いますよー。つか、ずいぶんと用意がいいみてーだけど、それぐらいは聞いといたほうが良かったんじゃないすか?」
「生け捕りにする時間が惜しい。それに魔術の気配がした。ね、桜花くん?」
「ええ……これは口を物理的に割ってでも出てこないやつです」
人工島の突端部に達した俺たちを迎えたのは、水平線を埋め尽くす黒々とした影だった。
「なんつー数だ……!」
「これだけの怪魔が群れで行動する以上、おそらく親玉がいる。この数を統率するほどだから、生半可な相手じゃないだろうね」
「どうします? 柚ねえには連絡つかないし、軍も動きが見られませんね。隊長として、まずはチームのみんなと合流するのが先決と思いますが」
大学生の頃、営業をやっていて気づいた真理。
自分が好きじゃないものを、人に好きと思ってもらうことは難しい。
“鋼殻のレギオス”作者・雨木シュウスケ先生がおっしゃっていた「自分はこういうのが好きなんだ。だから、みんなも好きになってほしい!という気持ち」を大切に、頑張ってゆきたいと思います。




