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† 十九の罪――禁じられた呪い(陸)


「この世が残酷なのは不変の理だ。お前は自分を変えることで世界も変えようと望む、めでたくも哀れな若者――そう、私は未来のお前だよ」


 信雄は魔力をさらに上昇させて、

「そうかい――――」

 と答え、眼帯を外した。

「なら、ちょうどいい……!」

 ほぼ同時に解き放たれた象山の魔力とぶつかり合い、爆発的な勢いで結界を食い破って、神殿を揺るがしながら波動が拡散する。

 兄弟は大口を開けた裂け目から屋上へと飛び移り、迸る魔力で互いに竜巻を生じさせて向かい合った。

「ルシファー(あいつ)は、変わりゆく時を不変の身体で生き続ける咎を課すだかなんだかって言った。不死身かはともかく、肉体が無理した分を精神に肩代わりさせられてるらしい。不思議だろ、ここ何日もまともに寝ずに戦い続けてんだぜ。もはや人間でもなんでもねーよ。人間やめちまった同士、思う存分やり合おうじゃねーか」



 荒れ果てた城塞の傍らで、相対する超越者二人。

「終わりってのは名残惜しいほうがいい――――」

 血染めのジャケットを靡かせ、茅原が語りかける。

「楽しかったぜ、魔王」

 彼は不敵な笑みを送ると、構え直した。

「お前と気が合うとは奇遇であるな。余の方もだ」

 呼び名を改めたルシファーもまた、魔王剣に紫炎を纏わせる。

「いざ――――」

「参る……ッ!」


 彼らが大地を蹴ったのは、同時だった――――

「「うぉおおおおおおお……ッ!」」

 斬撃音が、時を同じくして二つ。


 両者は背中合わせで静止したまま、微動だにしない。

 凄まじい踏み込みで抉られた互いの足下から、ゆっくりと土煙だけが流れてゆく。

「……天晴あっぱれ――――」




下北沢駅が工事の結果、エレベーター、階段、エスカレーターのいずれも最低2回は使わなきゃいけなくなって、乗り換えスゲーめんどくさいけど、原子力空母の格納庫にいるみたいと思えばテンソン上がるよね



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