† 一の罪――堕天使斯く顕現す(漆)
(……神様でも悪魔でもなんでもいい! どうか力を貸してくれ)
狂ったように手当たり次第、敵影を斬り続ける。
「退路を塞がれました!」
怪魔らしからぬ連携に、今や俺たちは包囲されていた。
(ああ、俺も……あの日の親父たちみたいに――――)
限度を超えた疲労に、意識が混濁へと導かれてゆく。だがしかし。
それでも、なお――――
「いや、違う! 親父も兄貴も弱かったから死んだ。けど……緑川信雄は、こんなとこじゃ終わんねー! 確かに俺は弱ぇよ。だけど――名誉も報酬もいらない。カッコ良くなくても、美しくなくても、讃えられなくてもいい! でも、どうしても俺がやらなきゃならねえ。あんたが必要なんだ。どうか、このちっぽけな俺に力を……!」
――この衝動は、天井を知らない。
「!? 緑川く……ん……?」
辛うじて両足を支えていた消え入りそうな意地が、迸るほどの闘気となってゆく。
「俺じゃ力不足ってなら、力を借りるしかねーだろがあああああ!」
理想はあくまで理想かも知れない。だからこそ、遥か彼方にあるからこそ、人は追い求める。夢を失ってまで目指すものなどないのだから。そうして、いつの世も人間は、いくらでも届かない星に手を伸ばしてしまう。
「我が声に――応えよおおおッ!」
燃えるような瞳と共に、自分でも驚くほどの雄叫びが天を衝いた。
「来い! 至高の魔王……!」
コ・ランド・プランシーは著書・地獄の事典で「ルシファーを呼び出すのは月曜日」と、記している。
二〇二六年の十二月七日は、月曜日だった。
「まさか……バカな、無理だ!」
隊長の言葉に反し、俺の足元には魔法陣が展開され、ⅥⅥⅥという紫色の文字が浮かび上がる。
「緑川くん、やめるんだ! 彼の対価は――」
秋アニメを消化し終わらない内に、次のが始まるっていう




