誰のために1
話を聞き終えて、
1番最初に口を開いたのはレアさんだった、
「お、お義父さんの言うことなので本当のことなんでしょうが、じゃ、じゃあ私達は間違いを伝えていったのですか⁉︎」
と信じられないというような声を上げた。
しかし、
「いや、
あながち政府や王家も全てが嘘というわけではないのじゃ。奴はな革命の為に多くの命を奪っていたのもまた真実。
ただ、政府が誇張表現し過ぎたんじゃ。
100年前の反乱はかなりの一般人が巻き込まれたしの、彼奴は犠牲はださないように気を配っておったがそれは不可能だったわけじゃ…」
そうイーさんは言った。
「しかし、何故今言ったんだ?親父よ?」
とジークさんが尋ねると、
「あぁ、儂は死ぬまで言うつもりは無かったがな。しかしじゃ、今を生きる若者が過去の事件のせいで勘違いされるのはあってはならないからな…」
と、
俺を思って言ってくれたようだ。
「しかしな、
この事を今世間に言ってもすぐに政府に揉み消されるじゃろう。儂らの家ごとじゃ。じゃから、儂は家族以外に言うつもりは無い。
君には本当に申し訳ないと思っている。家族の為とはいえ今からの君を救えない儂を許してくれ!」
と、
イーさんは俺に頭を下げて謝った。
イーさんの行動に驚いたのか他の3人は少し間を空けて、頭を下げた。
「顔を上げて下さい皆さん。
俺はまだ何もされてませんし、あなた方を責めるつもりもありません。そう思ってくれるだけで充分ですよ。」
と本音を言った。
俺はまだこの世界に来たばかりで、何も経験がないがこの人達が信用出来ると感じていた。
いつまでもこんな雰囲気は嫌なので、
「よし、この話はこれで終わりにしましょう。記憶はありませんがどうやら俺は暗い雰囲気が苦手なようですから!」
と冗談交じりに言うと、
「ははっ、やはり貴様は大きいな!」
とアイナが笑いながら言ってきた。
そこで全員に和やかな空気に流れた。
しかし、
次のアイナの言葉がまた混乱を呼んだ…
「流石私の旦那様だ‼︎」
皆からピシッと音がした…
「ア、アイナ、な、何を言っている?」
「そ、そうよアイナ、さっきの、け、結婚の話はこの人との冗談よ」
とアイナの両親はかなり動揺しているようで、かなり噛んでしまっている。
俺は頭が追いつかず呆然としてると、
「え、だってプロポーズされたから…」
また、ピシッと音がした。
勿論俺から。
「まてまてまて!俺がいつ何処で言いましたか⁉︎」
必死に反論すると、
「なに!貴様忘れたとは言わせんぞ‼︎
貴様は私の額に、キ、キスをしたではないか⁉︎」
キスの単語だけで赤くなっていた。
赤くなっているのは可愛いが…
って、違う違う
「額にキスでなんでけ「ちょいと」
なんで結婚なんだ⁉︎と言おうとしたら、イーさんに杖で突かれた。
イーさんが耳打ちで、
「エール家ではな額へのキスは男が相手の女性に一生をかけて愛すという最上級の愛情表現なのじゃよ。」
と、
ニヤニヤしながら教えてくれた。
「はぁ⁉︎
い、いやいやあれは偶然してしまったんですよ?それにこんな正体不明の男が旦那はダメでしょう!」
と小声で言い返すと
「いやー、しかしな、ああなったアイナは止まらんぞ。君に惚れてるようだしの⁇」
「いや、だから、なんで嬉しそうなんですか⁉︎」
「そりゃー、嬉しいに決まっているじゃろ?アイナはな、今まで恋愛らしいことは微塵も興味はないと言い張っていたぐらいじゃからな。やっと普通の女の子らしい考えができたのじゃ。これが嬉しくなくてなんとする。」
「い、いや、でも…
そうだ、ジークさんレアさん、流石に認められませんよねぇ⁉︎」
と反対するだろう2人に話をふると、
「いや、確かにアイナが恋愛したのはかなり珍しいしな。アイナの目に狂いは無いし…」
「そうねぇ、あれだけの話を聞かされ自分のこれからの試練ありの未来を受け入れている器の大きさ…」
「「うん、認めるしかないな‼︎」」
と、
俺を過大評価していた…
「いや、ほら、
記憶がないし戦闘が弱いかも「ない」
「山の神を真っ二つにした男がなにを言うか、
それ程の男中々いないわ!」
アイナが逃げ道を塞いで行く…
「ほ、ほら、伝統の血がなんやらとかは?」
「そんなのないのぉ。エール家は血ではなく、武力、精神力、その人物の度量で伴侶を見つけると昔から決まっておるからの。」
イーさんの攻撃。
もはや八方塞がり…
俺が足掻いていると、
アイナは悲しそうな顔をして
「私との結婚はいやか…?」
と泣きそうな顔を向けてきた。
「い、いやいやいや!
あなたは美人で性格もいいですから俺には勿体無いと言いたかったのです‼︎決して嫌なわけでは!」
と言うと、
「では、問題ないな!
いつ式を挙げるか⁇」
とかなり話が進み始めていた…
「待って下さい!
俺は【黒髪】ですよ‼︎
流石に問題がありすぎます。」
と最初から気になっていたことを言った。
それには解決策がないのか皆頭をひねっていた。
数秒したら、
イーさんがパンッと手を叩き、
「ならば、御前試合しかないのぉ?」
と発言した。
これからアイナとのバトルあるかも…