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天に唾吐き、地を駆ける一陣の星  作者: 柾木刹那
第一部 高天原武闘会
7/79

開催決定 1

「おーっす、星二!」

「おっす、雷牙」

 高天原学園(たかまがはらがくえん)2-Bの教室では朝からいつもの挨拶が交わされていた。

「おはよう、星二」

「綾香もおはよ」

「あ、雷牙くんもおはよう」

「おっす、綾香嬢」

 挨拶を交わした二人は、星二の転入初日からの友人と親友であった。


 高天原学園に転入して2週間が経ち、すっかりクラスメイト達と打ち解けていた。

 それ自体は悪いことではないのだが、星二の中にはこのままでいいのだろうか? という思いがあった。

 

 星二が高天原学園に通うことを決めた理由の一つである、能力(メナス)の発現がまだ実感出来ないということも起因している。

 高天原学園は能力発現者の育成校であるがため、通えるのは能力発現者に限られる。

 星二が転入試験に合格していることを考えれば、能力自体は一度は発現したことがあることは間違いない。

 しかし、現在、星二は自分の意思で能力を発現したことが無い上に、どんな能力なのかすら把握していないのである。


「……学園長に相談してみようかなぁ」

 星二が呟く。

「えーっと、星二、ほら、そんなに慌てなくても、転入できているんだから大丈夫だよ!」

 呟きを聞いた綾香が慌ててフォローする。

「別に能力なんて使わなくて済むならそれに越したことはないしな」

 雷牙はあっさりと言う。

 確かに能力なんて使わなくて済むなら、それが良いのだろうと思う。

 しかし、能力が使えれば……という後悔は二度としたくない。

 二人の言葉を聞きながら星二はそう思いながら、顔には出さずに笑って答えて見せる。

「確かに、二人の言う通りだな」

 

 一方その頃、お隣の2-Aのクラスでは星二の幼なじみである流歌が自分の席で唸っていた。

「うーん……あれからせーじとは夕飯を一緒に食べるようにはしてるけど……ぶつぶつ……」

「し、霜月さん、一人でぶつぶつ言ってるのはちょっとだけ……怖いよ?……」

 流歌のクラスメイトが若干顔を引きつらせながら言う。

「あ……ごめんっ、ちょっと考えごとしてたら……」

 流歌は慌ててすぐに謝る。

「くすっ、でもいいなぁ、霜月さんは」

「え? なんで?」

「なんでって、幼なじみが転入してきて、ましてやそれが好きな男の子なんて、羨ましいと思うよ」

「ぶほっ……」

 思わず吹き出す流歌。

「……ちょっと! 誰が誰の事を好きですってぇ!?」

「お、落ち着いて、ねぇ、霜月さん落ち着いてってば!?」

 思いの外、声を張り上げている事に気づいていない二人であった。


 場所は戻って2-B

「ん? 今隣のクラスから流歌の声が聞こえたような……」

「そりゃ、隣のクラスなんだから大きな声だせば聞こえてもくるだろうよ」

 雷牙は相変わらずあっさりと答える。

「それもそうか」

 特に何を言ってたかまで聞いて無かった星二はそんなこともあるな、と流すことにした。


 そうこうしているうちに、担任である尼崎先生が教室に入ってくる。

 クラスメイト達は一瞬だけ尼崎先生に「なんで?」というような疑問の眼差しを向けてすぐに確認する。

「あまちゃんー、まだホームルームまでは時間あるよー?」

「相変わらず先生は小柄でかわいいなぁ」

「合法ロリ……ごくり」

「先生ー、今日はもう授業無しってことに出来ないっすか!?」

 相変わらず好き勝手いうクラスメイト達。

 それに答えるように尼崎先生は言う。

「はいはい、ホームルームまでは時間が確かにありますけど、たまには早く来ても問題ないでしょう?」

「かわいいって先生をからかうんじゃありません!」

「授業無しってことには……ホームルームまで秘密です」

「と言うか誰ですか! 合法ロリとか言ってるの!?」

 

「ねぇ、星二、雷牙くん?」

「「ん?」」

 綾香が二人に尋ねる。

「合法ロリって何のこと?」

「「……―――ッ!」」

 そうか、言葉を失うということはこういう事だったのか。クラスメイト達の事が少しわかったような気がした星二であった。

 

 そんなやりとりをしていると、タイミングよくホームルームの開始を告げるチャイムが鳴った。

 

「それじゃホームルーム始めますよー」

 あまちゃん事、尼崎先生がホームルーム開始の宣言をする。

「はいはーい! さっき秘密にしたことってなんですか!」

 あの喧噪の中でしっかりと秘密ですと言ったことを聞いていたとは恐るべし。

「そうですね、実は今日一日……」

 尼崎先生が溜める。

「「「……今日一日……―――ッ!」」」

 生徒達も息を飲む。

「全学年、全クラス、ホームルームになりましたぁ!」

「「「……はぁ!?」」」

 ほんと、よく訓練されてんなこのクラスメイト達。と星二は関心していた。


「えーっとですね、今日一日をホームルームにして、2週間後に開催される高天原武闘会のメンバー選出を行うことになったのです」

「「「……あれか……」」」」

 クラスメイト達は理解したようだった。


 しかし、理解していない者が若干一名混ざっていることをお忘れ無く。

「先生! 高天原武闘会って何!? 聞いたことないぞ!?」

 思わず星二が立ち上がって叫ぶ。

「あ、そう言えば北条くんは初めてでしたね」

 そう言って尼崎先生は説明を始める。

それにしても、2-Bの生徒達の統率力は一体何なんでしょうね。理解しがたいです。

次話では高天原武闘会の導入まで書ければと思っています。

更新はなるべく早くしたいと思いますのでしばしお待ちください!


いつものことですが、感想や文章構成に対するご意見などお待ちしております。

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