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天に唾吐き、地を駆ける一陣の星  作者: 柾木刹那
第一部 高天原武闘会
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高天原学園3

 1時間目の終わりを告げるチャイムが鳴った。

「それじゃみんな残りの授業がんばってねー、あまり北条くんからの質問時間が取れなかったら、何か聞きたいことがあったら、鈴崎さんに聞いてね」

 そう言って尼崎先生は教室を後にした。

 

「……うぅ」

 いつの間にか椅子を自席に戻していた星二には、隣席の鈴崎さんのうめき声らしきものが聞こえていた。

 今朝までの態度とは裏腹に、いや、間逆とも言うべき態度に困惑しつつ、星二は声をかける。

「鈴崎さん、今朝はほんとにごめんなさい、席が隣ってこともあるし、これから仲良くとは言わなくても、普通に接してもらえると俺としては助かるんだけど……?」

「……綾香です」

「……はい?」

 思わぬ返事に星二は思わず聞き返す。

「わ、私のことは綾香でいいです……」

「いや、あのー、ね? いきなり呼び捨てってどうなのかと思うんだけど……」

「今朝のこと……」

 一瞬だけ鈴崎さん、いや、綾香の目が光ったような気がした。

「わ、わかった、呼び捨てさせてもらうから! そ、その代わり俺も星二でいいから! いや、それがいい、な? 綾香」

 呼び捨てにしてくれと頼んだ当の本人、鈴崎 綾香はまたしてもうつむいてしまい表情がわからない。

「う、うん、これからよろしく。星二」

 とりあえず、隣人とは変にこじれなかったようで安心する星二。

 しかし、そんなやりとりを見てたクラスメイト達が黙っているわけがなかった。

「てめぇー星二! 綾香さんの胸を鷲づかみにするだけじゃ飽き足らず、たった数分で呼び捨てだと!?」

「ねー、私も星二って呼び捨てにしていいー?」

「北条、爆ぜろ」

「どっか俺も転入すればヒーローになれるのかねぇ……」

 相変わらず騒がしいクラスメイト達である。


◇◇◇

 

 1時間目が終わると、普通の学校と変わらない一般的な授業が続き、あっという間に昼休みになった。


「よぉ星二、飯はどうすんだ?」

 昼休みが始まったかと思うと突然声をかけられた、さらっと呼び捨てである。

「とりあえず、何も用意してないから購買か学食かなと思っているんだが……ところでどちら様?」

 朝から色々とあった割には、クラスメイトの自己紹介などは受けておらず、誰が話しかけてきたのかなど、登校初日の星二はわかるはずもなく、そう答えるしかなかった。

「そいや、自己紹介がまだだったな、俺は風見雷牙(かざみらいが、雷牙でいいぜ。これからよろしくな」

「あぁ、俺のことも星二でいい、ってすでにそう呼んでたなさっき。こちらこそよろしく」

 そういって星二と雷牙は握手を交わした。

 ふと星二は思い出す。

 あれ、そいや雷牙ってホームルームの時に能力のこと聞いてきたやつか。

「とりあえず学食にでも行って、飯食いながら話そうぜ」

「それもそうだな」

 おとなしく雷牙について行くことにした。

 

「おばちゃんAランチ二つ」

 雷牙が食堂のおばちゃんに注文する。

「おいおい、昼からランチ二つも食うのか?」

 ちょっと引き気味に星二は聞いてみる。

「いや、一個は星二の分だが?」

 何をおかしなことを聞くんだ? というかのように、首をかしげる雷牙。

「いくらだ?」

 本当は色々とメニューを見て何を食べるか考えたかったが、友達? である雷牙が気を利かせてくれたのに無下にはできなかった。

「今日の昼飯は俺から親友へのおごりだ」

 雷牙はにかっと笑いながらそう答える。

 おいおい、いつの間に親友になってたんだ? まぁ悪いやつじゃなさそうだしそれでいいんだが。

「それじゃ遠慮無く」

 そんなやりとりをしているうちにAランチが二つ差し出されたので、素直に受け取り空席に座る。


「それにしても、あの綾香嬢の胸を揉んだあげく、名前で呼び合うようになるとは……星二はなかなかやるようだな」

「ぶっ……」

 まさかまた今朝のことを言われると思っていなかった星二は食べていたピラフを吹き出す。

「おい、吹き出すなきたねぇ!」

「すまん、ちょっとびっくりしたもんで」

 流石に出会って間もないのに、親友というだけ長い付き合いのあるかのように接する雷牙。


 ちなみに、Aランチは、ピラフ エビフライ 一口サイズのチキンカツ そしてポテトサラダである。


「あのな雷牙、綾香の胸に触ってしまったのは事実だ、しかし決して揉んではいない」

 落ち着いて星二は説明する。

「そりゃそうだろうな、悪意があってそんなことしようとしたら、あの綾香嬢が避けれないわけないしな」

「ん? それはどういうことだ?というか、綾香嬢って綾香はどっかの令嬢なのか?」

「んー、綾香嬢の持つ能力のせいだな、家のこともあるが、主になんとなくお嬢様っぽい雰囲気があるから勝手にそう呼んでるだけだ」

  雷牙がエビフライをかじりながら答える。

「なるほど、綾香の能力って何?」

 素直に聞いていることにした。

「知っているが、それは本人から聞いてくれ、いくら親友とは言え他人の能力をべらべら喋るつもりはないんでな」

「それなら仕方ないな、今度機会があったら聞いてみるよ」

「そうしろ」

 そんな他愛も無い会話をしつつ気づいたら昼休みが終わる。


◇◇◇


 午後の授業も何事もなく終わり、帰り支度をしている星二。

 その隣にはあれから特に話しをしていない綾香の姿もあった。

 

「おーい、星二ー、お前の部屋何号室だ?」

 この声は雷牙だな。

「確か301号だ」

「俺は306号だ」

「比較的ご近所さんだな」

「寮で近所っていう表現もおかしいと思うぞ星二……」

「確かに」

 そんな男二人のやりとりを静かに見ていた綾香であった。

えー、改めてみなさんこんばんわ、柾木刹那です。

慣れない作品で読みにくいとは思いますが、読んでいただきありがとうございます。

プロローグから始まり本編3話が終了いたしました。

相変わらずの文章構成ですが、これから少しずつ星二を取り巻く歯車が回りはじめます。

感想、叱咤激励等々おまちしております。

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