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天に唾吐き、地を駆ける一陣の星  作者: 柾木刹那
第一部 高天原武闘会
2/79

高天原学園1

「着いたぞ」

 

 十分くらい藤堂先生の後をついて歩くと、藤堂先生の足が扉の前で止まる。

 扉には学園長室と書かれているプレートが掲げられたいた。


「俺は教室にいかなければならない、後のことは学園長から直接聞け」


 それだけ言うと藤堂先生は廊下を歩き出していた。


「……せめて中に案内してくれてもいいんじゃないか?」


 星二は一人ごちて、扉をノックする。


「今日から転入することになった北条星二です」

「どうぞ、お入りください」


 中から入室を促され中に入る。

 部屋の中には悪趣味な剥製などはなく、整理された机やところ狭しと並ぶ本棚がいくつかある程度だった。


「北条星二くんですね、ようこそ高天原学園へ」

 

 中にいた学園長とおぼしき女性が歓迎の言葉を言う。


「これからお世話になります」


 星二は慌てて頭を下げた。


「そんなにかしこまる必要はありませんよ、私はこの高天原学園の学園長で神無月水瀬(かんなづきみなせ)と言います」


 学園長と名乗る女性は神無月水瀬というらしい。

 見た感じ二十代半ばくらいで、髪はセミブロンドで腰まである長さ。そしてスーツ姿で、眼鏡もかけているためキャリアウーマン感が半端じゃない。

 何よりスーツが窮屈そうに思えるほどの胸の大きさである。

 星二は思わず、胸を凝視してしまっている。


「あらあら、そんなに見られてはちょっと恥ずかしいですね」

 学園長は笑顔を浮かべている。

 俺も健全な男子高校生なわけで、それは男のサガといいますか。

 学園長の言葉で慌てて目線を移動させる。

「まぁそれはいいでしょう、ホームルームが始まるまで時間もないことですので、星二くんの入ってもらう寮の地図と部屋の鍵を渡しておきますね」


 地図には丸印が付けられており、寮の場所を示している。

 一緒に渡された鍵には三〇一と数字で書かれたキーホルダーが付けられており、その数字が部屋番号だということは一目瞭然だった。


「帰りはその地図を見て寮にいってくださいね。あ、それとクラスは2-Bになります」

「わざわざ、地図をご用意していただいてありがとうございます」

「それじゃ時間も無いことですし、何か聞きたいことがあったら放課後にでも来てくださいね」

「はい、ありがとうございます。ところで俺は直接教室に行っていいのですか?」

 

 普通、転入とか転校であれば担任が一緒に行くと相場が決まっている。


「えぇ、星二くんが校内で鬼ごっこしていたおかげで時間があまりなく、担任の尼崎先生には教室に先に行くようにいってありますので」

「あはは……」

 

 乾いた声で笑う。どうやら、今朝の様子はばっちり見られていたらしい。

「それでは失礼しました」

 

 一部始終を見られていたということで、妙に恥ずかしくなった星二はそう言って学園長室から逃げるように出て、教室へと急ぐ。

 初めての学園なのに何故迷わないのかって?

 それは簡単な話だ、事前にもらっているパンフレットに校舎内の地図が書いてあったからだ。

  教室の前につき一呼吸すると同時にチャイムが鳴る。


「あっ、やべぇ」


 慌てて星二はノックし、扉を開ける。

 突然の出来事に中にいる生徒達が一斉にこちらを見る。


「何だ男かよぉ」

「どっかで見たことあるような……?」

「……―――ッ!」


 三者三様の声が教室内から聞こえてくる。

「北条くんですか?」


 教壇の前に立つ小柄な女性がこちらを向き問いかける。


「はい。そうです」

「遅刻ぎりぎりですよ、私はこのクラス担任の尼崎です、よろしくお願いします」


 尼崎先生が軽く会釈をする。


「こちらこそよろしくお願いします」


 つられて星二も会釈をする。


「では、こちらに」


 教壇の前に促され、星二はクラスメイトとなる学生に見守られつつ先生の横に並ぶ。


「えー、こちらが今日から皆さんのクラスメイトになる北条星二くんです、皆さん仲良くしてあげてくださいね」


 尼崎先生が簡単に紹介をしてくれる。


「北条星二です、これからよろしくお願いします」


 何の面白みも無い自己紹介をしつつ、軽く頭を下げた。


「どっかで見たことあるような……」

「ねぇねぇ北条くんって彼女いるのー?」

「北条……星二……」

「趣味とか好きなもの教えてー」


 自己紹介が終わると一斉に質問を投げかけてくるクラスメイト達。


「はいはい、質問時間はちゃんと設けますから、いったん静かにしてくださいねー」


 尼崎先生が手をたたきつつ、生徒達をたしなめる。 

 星二は転入や転校ってこの手のイベントが付きものなんだなと実感しつつ、様子を見ていた。

 その中で、名前をつぶやき、下を向いている茶髪の女子生徒がいることに気づいた。


「北条くんはとりあえず、一番後ろの鈴崎さんの隣の空いてる席に座ってね」


 先生に言われてみると、確かに後ろの方に空席があったので、そこへ移動する。


「鈴崎さんだっけ? これから隣になるけどよろしく」


 これからしばらく隣人になる女子生徒へ挨拶を忘れない星二。


「えぇ、こちらこそよろしく、ほ う じょ う く ん」


 何故か名前を呼ぶときに凄みがあった。

 まぁその理由はすぐに気づいたわけだが。


「あっ、今朝の!?」

「みない顔だったから、一年生だと思ってたけど、まさかの転入生で、まして隣の席だとはねぇ……?」


 やばい、目が笑っていない。


「あら、鈴崎さん、北条くんのこと知っているのね、それなら北条くんの学園案内とか任せていいかしら?」


 尼崎先生、それは死刑宣告ですか? 冷や汗をかきながら星二はそう思った。


「……わかりました」


 鈴崎はわずかな沈黙のあと、そう答えた。

 あれ? 反対されると思ったら、意外といいやつなのかもしれない。


プロローグと同じ日に書いているため、文章構成等は特に変わっていないと思います。その為読みにくいかもしれません。


本編開始と言った割には相変わらずのぐだぐだ感。

次話では高天原学園はどんな学園なのかということが明かされる予定です。


感想や叱咤激励をお待ちしております。

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