運命の時計の刻み
俺の名前は川島菊五郎、現代社会の波に揉まれる大学生。
今日も午後から入っているバイトに行くのだが、
「あれ、視界がぼやけて…」そう日々の忙しいさに耐えかねて意識を失ってしまった
そして、気がついたら、身に覚えのない自然豊かな森にいた。
「現代にしてはなんか変だ、田舎とかでもあまり見た事がない」
何となく辺りを見回していると
「ん?あの黄色のプニプニしている湿った物体は何だ?」近づいて見ると
「うわ!動いた。もしかしてスライム!?ということは俺は異世界に来たってことか」
そう俺は気を失ってしまったことで異世界に来てしまったようだ。
普段の生活が味気のないものとして感じていた俺は、度々漫画などにある
異世界で暮らしてみたいと思っていた。「まさか、こんな形で」
「そうだ!異世界に来たってことはなんかスキルを獲得してるのが定石だよな。なんか調べる方法はないかな」
そう思った俺は最初に見たスライムに目をつけた。
「よし、そこのスライムと戦えばなんかわかるかも!スライムならどうせ弱いし」
そして、俺は殴り、蹴り、叩きなど思いつく限りの攻撃をしてみた。
しかし、どれも全然効かなかった。
「そうか、スライムだからあんまり物理攻撃は効かないか。じゃあ魔法か!って使い方わかんないし、とりあえずチョップみたい振り下ろしてみよう。あれさっきはなんも無かったのに水みたいなのが出たぞ」
「これが魔法?なんか弱い気が…」
一応この攻撃を使ってみたのだが全く効かず、挙げ句の果てにスライムは眠りについてしまった。
その後も繰り返すが全然ダメ
その時、流石にスライムも呆れたのか目を覚まし、俺の姿に似せて人間の姿になった。
そして、腕を振り下ろす様な素振りを見せた。
試しに真似してみると。
「うわ!何だこれさっきよりも何十倍も強い水の刃が出てきた」
「こんなスライムに教わるなんて俺ってもしかしたらこの世界で最弱じゃ?」
と思っていると。
スライムが突然喋り出した。どうやら、俺の声帯を真似たらしい。
「やあ、僕の名前はラミル、君の名前は?」
「俺の名前は川島菊五郎、長いからキクでいいよ」
「そうなんだ、よろしく!」
「スライムなのに名前を持っているのか?」
「うん!」
「ところでキクだっけ?君とても強いみたいだね」
「え、どういうこと?」
「君の持っている水のスキルは下位のスキルなんだけど、その中でも結構難しい水面波切りを一発で会得するなんてすごいね」
「え、でも下位スキルなんでしょ難しいと言っても弱いんじゃ」
と言うとスライムのラミルは詳細に説明してくれた。長いのでまとめると
この世界のスキルには下位、ノーマル、アルティメットの順でスキルの強さの大まかな基準で、特にアルティメットは威力がどれも災害級らしい。
どうせならアルティメットスキルが欲しかったのだが…
どうやら現時点で俺には下位のスキルしかないらしい。
しかし、スキルの伸び、つまり成長具合は下位のスキルが断トツであり、
極めるとアルティメットと同等、もしくはそれ以上の性能が期待できるとのこと。
だが、極めるには相当な修行が必要で、到達できるのは僅かしかいないみたいだ。
それで話は戻るが、さっき使った水面波切りはノーマルに匹敵するらしく、ラミルは一瞬で会得する俺の姿を見て強いと思ってくれたようだ。
そんな感じで話をしていき、俺はスライムの紹介で近くの村に行くことになったのだが…
ついた途端異様な雰囲気を感じた。その村はすでに廃れていて、人影も見えず、
もぬけの殻だった。
「これがラミルの言っていた村か?随分と静かだな」と
そんないかにもデリカシーのない事を言うと
「ここは、つい最近まで僕の仲間たちが平和に暮らしていた村。きっとあいつがやったに違いない。くそっ相手を甘くみていた」
ラミルの表情はさっきよりも格段に険しくなっていた。
二人で立ち尽くしていると、不意に大きな黒い影がこちらへ近づいて来た。
「まさかお前は、なるほどこいつがいたからここまでやられたのか」とラミルは
その雰囲気だけで相手がわかったようだ。
確かに凄まじい雰囲気だ
そう言うとラミルは、見るからに強そうな甲殻のアーマーを着て、どこから出したかわからないが右手に刀を持っていた。
「おいおい、こいつ普通のスライムじゃないぞ。それにしてもかっこいいな」
すると巨大な魔物が
「ラミル、久しいな。この前の勝負はお前の負けだが、今回も負けに来たのか?
そんな弱い人間なんかに頼って、お前も落ちぶれたな」
「お前を倒すために水面波切りを覚えてきた覚悟しろよ」
「水面波切りかあ、確かに強いが果たしてこの私に効くかな」
そしてついに、ラミルとなんかデカくて強そうなやつの戦いが始まった。
当然俺は蚊帳の外でどうすることもできなかった。
序盤はラミルと良い勝負をしていて、特にラミルの刀から出る水面波切りは俺のとは比べものにならないくらいの威力だった。
相手だけでなくその空間さえも切り進んでいた。
これで相手は勝てないだろうと思ったが、実際はラミルの攻撃は迫力はあったが全部無効化されていた。
そして次第にラミルの体力は削られていき、相手のターンへと移っていった。
相手の攻撃に何とかついていっているが、ほとんど避けることに精一杯という感じだ。
そしてついにラミルは相手の攻撃をまともに喰らってしまい地面に伏してしまった。
「ラミルよ今度もお前の負けだな」
「くそっこの強化版水面波切りを無効化されるなんて、化け物だ」
「今度こそ、終わりだ」といつのまにかラミルがピンチになっていたので
流石にヤバさを感じ、必死に相手の気を引こうと小石を投げつけたその時だった
甲高い音とともに俺の投げた石が液体に変わりとんでもないスピードで
まるでレーザーみたいに相手の心臓を貫いた。一瞬のことだった。
魔物は目の光を失いその場に横たわっていた。
そして、時間差でとんでもない風圧が襲ってきた。
「ふう、何だ今の、てかラミル大丈夫か?」
大きな魔物の下敷きになっていたラミルを何とか救い出した。
「今のは君がやったのか?」
「そうだけど、咄嗟のことでわけが分からなかった」
「なんだと、今のは、水のスキルの中の槍系統の最終奥義だぞ、どこでそんな技を。
まあ、少し驚いたが君のおかげで助かったよ」
「全然、俺はただ石を投げただけだし」
「もしかして君ならこの争いの絶えない世界を平和にできるかもしれない」
「それで、このよく分からない魔物は?」
「こいつはレピタルロード」
「レピタルってことはハチュウ類か、よく見たら確かに。大きすぎて分かんなかった」
「奴はきっとこの地を治める魔王の手下だ。それも幹部の一人だろう」
「多分僕の仲間は皆連れ去られてしまったようだ」
「今すぐにでも君にお礼したいのだが、この状況では無理だ。
すまんがもう一つ願いを聞いてくれて」
「僕と一緒にこの地を魔王から取り戻そう」
「うん、わかった。ちょうど俺の能力を研究したいところだし」
そうして、俺たちは魔王打倒のため新たな冒険へと出かけるのであった。
これから相方になっていくラミルと主人公のなんとなくの感じを精一杯書きました。




