表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界建築無双《BLUE COLORS》〜BIMとCADが使える俺、美少女領主に雇われ、伝説の職人たちを率いて理想の街を爆速で竣工させる〜  作者: beens
第5章:天空への挑戦

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

31/38

第6話 心臓部のオーバーホール! 古代エンジンと現場監督の勘

「……聞こえるか、ガッツ。この『音』だ。ただの振動じゃない。金属と金属が、潤滑じゅんかつを失って悲鳴を上げている音だ」

天空の都アステリアの最深部。そこには、都全体を浮遊させている巨大な『古代重力制御エンジン』が鎮座していた。鈍い光を放つ巨大な球体が、不規則な周期で「ガリッ……ギギギ……」という、背筋が凍るような異音を立てている。

「ああ、ボス。こりゃあ『ベアリング(軸受)』が焼き付く寸前だぜ。数千年も回しっぱなしで、油の一滴も差してねえんだろうな」

ドワーフのガッツが、エンジンの外装に耳を当てて顔をしかめる。

「一ノ瀬様、エンジンの魔力バイタルが乱れていますわ! このまま回転軸シャフトが破断すれば、アステリアは重力制御を失い、地上へ真っ逆さまですわよ!」

エレナが魔導モニターを叩きながら叫ぶ。都の住人たちは「精霊の機嫌が悪い」と祈りを捧げているが、俺からすればこれは単なる『メンテナンス不足』だ。

 俺は【スキル:工程管理】を発動し、作業区域を完全に封鎖した。

「全系統、一時停止シャットダウン! ……と言いたいが、止めれば墜落だ。低速回転アイドリングモードに切り替えろ。ガッツ、外装をバラすぞ!」

巨大なボルトを一本ずつ慎重に抜き取り、俺たちはエンジンの深部へと潜り込んだ。そこには、長年の摩擦まさつでボロボロになった古代の魔法触媒が、黒い粉となってこびり付いていた。

「ミーナ! 魔法で精製した『不燃性洗浄液』を噴射しろ。まずはこの数千年分の汚れ(スラッジ)を落とさないと、真の故障原因が見えてこない!」

「分かったわ! 【高圧洗浄スチーム・クリーン】!」

 洗浄が終わると、やはり主軸を支える「軸受ベアリング」が完全に摩耗し、偏芯へんしんしていることが判明した。古代の技術は素晴らしいが、消耗品に対する配慮が欠けていたのだ。

「エレナ、この軸の太さに合わせて、俺が持っている『魔導合成油シンセティック・オイル』と、ガッツが打った『超硬合金ベアリング』を組み込む。古代の魔法に、現代の機械工学を『ハイブリッド』させるぞ」

1. ジャッキアップ: 重力制御の一部を一時的に俺のスキルで肩代わりし、主軸を数ミリ浮かせ隙間を作る。

2. ベアリング交換: 磨り減った古代の部品を抜き取り、真円度しんえんどを高めた現代の合金部品を挿入。

3. グリスアップ: 高温・高圧に耐える魔法の潤滑剤をたっぷりと充填する。

「よし、これで摩擦係数はゼロに近づくはずだ」

 最後の仕上げは、回転軸の「ズレ」を修正する作業だ。

「どんなにいい部品を使っても、軸がコンマ一ミリでもズレていれば、またすぐに異音が出る。……エレナ、魔導レーザーで軸の直線を計測しろ!」

「計測中……左に0.05ミリ、下に0.02ミリの誤差ですわ!」

「ガッツ、シム(薄い調整板)を噛ませろ。……そこだ、叩け!」

カンッ、カンッ、という精密な金属音が響く。調整を繰り返すこと数十回。ついにレーザーが完璧な一本の線を描いた。


「……再起動リスタート!」

俺がメインスイッチを押し上げると、エンジンは「スゥーッ……」という、耳を澄まさないと聞こえないほどの滑らかな回転音を上げ始めた。

あの不快な「ガリガリ」という異音は消え、都を支える重力場が、これまでにないほど安定した波形を描き出す。

「……静かだ。まるで、この都が息を吹き返したみたいですわ」

リアナが、エンジンの柔らかな光を見つめて呟く。

「精霊の怒りが鎮まった……! 聖なる現場監督よ、貴公はまさに救世主だ!」

守護長カイルたちが、床に跪いて俺を拝み始めるが、俺は苦笑いして首を振った。

「救世主じゃない。ただの『巡回点検メンテナンス』だ。いいか、機械ってのは正直なんだよ。愛情オイルを注げば、千年は応えてくれる」

俺は作業着で油汚れを拭い、ようやく一息ついた。

これで天空の都アステリアは、本当の意味で蘇ったのだ。

「所長、お疲れ様! これでアステリアの仕事も一段落ね。……ところで、さっきカイルたちが『お礼に最高の聖域で宴を』って言ってたわよ」

ミーナが嬉しそうに報告に来る。

だが、俺の耳には、また別の「異音」が聞こえていた。それは、都のさらに上空……雲の切れ間に見える『宇宙そら』から届く、不気味な信号だった。


今回の建築・土木用語解説

• オーバーホール: 機械を部品単位まで分解し、点検・修理・清掃を行って、新品に近い状態に戻す作業。

• ベアリング(軸受): 回転する軸を支え、摩擦を減らすための重要な部品。

異音いおん: 機械から発せられる、正常ではない音。故障や異常の兆候サイン

• 芯出し(アライメント): 複数の回転軸の中心線を、正確に一直線上に合わせる作業。これがズレると振動や故障の原因になる。

潤滑剤グリス・オイル: 摩擦を減らし、機械の動きをスムーズにするための油。

更新通知を受け取りたい方は、ぜひブックマークをお願いします!

「続きが気になる」「面白い」と思っていただけたら、下の☆☆☆☆☆から評価をいただけると、執筆の大きな励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
過去作品:https://mypage.syosetu.com/mypage/novellist/userid/3017364/
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ