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太史慈転生伝~最上義光を放っておけないので家臣になって手助けしちゃいました~  作者: 黒武者 因幡
第3章 湯沢城攻略編

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槍の極意 

勘兵衛と孫作の対決は、互いに長く戦いたいという思いで、何号も撃ち合います。


しかし、それは、無粋な一発の銃弾で終わってしまいます、

 秀綱は、勘兵衛と孫作の周りを囲ませた。誰にも手出しができぬようにした。包囲された孫作を助けようとした湯沢城兵を、秀綱の将兵が突き伏せた。


「これは、我らが若武者が、敬服する武士との戦いを通した会話を致す。俺が許すまで何人たりとも邪魔立ては許さん」

 秀綱は、周囲に宣言し、二人の対決を見守った。


◇◇◇


「ほう、秀綱も手伝ってくれるらしいな」

 孫作は、ニコリと笑った。勘兵衛には、笑みを返す余裕はない。


「お主の主君に感謝すべきだな。お礼に全力でもってお相手を致そう」

 孫作が先に動いた。正面への突きを繰り出した。勘兵衛は躱した。直後、背後からものすごい勢いの鎌が襲ってくる。その攻撃は、さんざん目の前で見てきた。味方の兵を朱に染めた業である。

 勘兵衛は、思い切って前に出た。孫作の懐に槍の一撃を撃つべく走った。


 孫作は、待っていたかのように蹴りを繰り出す。さらに、もう一撃、膝に足をかけた。勘兵衛は、なぎ倒された。孫作は、刀を素早く抜いて、勘兵衛の喉元を狙った。掻き切るかというところで、孫作は手を止めた。


「討たれぬのか。虚仮にするおつもりか」

 勘兵衛は、恐怖と興奮の混じった声で、孫作を非難した。


「なに、討つまでもない者だということよ。悔しければ、儂に本気を出させてみよ」

 今度は、勘兵衛から仕掛けた。初撃の突きを繰り出す。いなされた後、再び一歩前に出て、石突で側頭部を狙った。力任せの一撃に、孫作も揺らいだ。勘兵衛は、さらに石突で孫作の顔面を狙った。孫作は、柄で一撃を防いだ。勘兵衛の姿勢が揺らいだ隙に、孫作は槍を横に薙いだ。孫作が手を止めなかったら、鎌が勘兵衛の首を刎ね飛ばしたであろう。


「ひるまずに前に出るのは、見上げた度胸よな。私を前にして、前に踏み込める者などそうそうおらぬぞ」

「孫作様の槍の秘訣は、引き業にあると見ました。重さを利用した電撃の斬撃こそが、血の霧を舞わせる由縁だと」

 孫作は、勘兵衛の言葉に頷いた。


「そこまで理解できるは、やはり秀綱の側近ゆえよな。我が目に狂いはなかったわ。勘兵衛殿、いざもう一戦」

「おう、何度でも」

 勘兵衛と孫作は、何号も撃ち合った。孫作も、勘兵衛も、真剣に撃ち合った。敵同士の一騎打ちではなかた。まるで、親子の稽古のようであった。いつまでも終わるとも知れない撃ち合いが、続いていた。

 いつしか敵も味方も、戦うのを止めて、二人の撃ち合いを見ていた。


 この撃ち合いを終わらせたのは、一発の銃弾であった。

 ダーン!という銃撃音のあと、孫作は右腕を抑えた。皆が、銃撃のあった方向を見つめた。


 撃った兵は、呆然としていた。当たるとは思っていなかったのかも知れない。

「痴れ者が!邪魔をしおって!!」

 孫作は、一転して面頬同様の憤怒の表情に変わった。疾走していくや、銃撃をした兵を突き上げ、2間ほどさきに放り投げた。放り出された兵は、恐怖で引きつった顔で絶命していた。


「わっはははは。お主との戦いにばかり気を取られていてからこの様よ。私と同じ轍は踏むなよ」

 孫作は苦笑した。さほど酷くはないのだろうかと勘兵衛は気がかりであった。


「大事ないわ。されど、勝負は明日じゃ。今日は退かせてもらうぞ」

 孫作の周りに、湯沢城兵が集まってきた。秀綱も、孫作と勘兵衛の周りから兵を退かせた。



◇◇◇

 宵の口になって、辺りは暗くなりはじめた。本陣から、酒樽が三斗届けられた。秀綱の陣が色めき立った。

「早まるな。これは、敵陣に届ける酒だ」

 秀綱の言葉に、将兵は沈んだ。秀綱は、呵々大笑した。


「全く現金なやつよな。安堵いたせ。一斗は、お主らも飲んでよいと、満茂様から許しを得ておる。ほどほどに、じゃぞ」

 秀綱の言葉に、今度は雄たけびが上がった。


「嘉蔵、勘兵衛をこれへ」

 秀綱は、傍らにいた嘉蔵に勘兵衛を呼びにいかせた。


「お呼びでございましょうか」

「おう、勘兵衛。この酒、嘉蔵とともに湯沢城本丸に届けよ。最上からの差し入れじゃとな」

「はっ」

 勘兵衛は、大八車に二樽乗せて、湯沢城に向けて進んでいった。




次回は、敵味方を超えた孫作と勘兵衛の最期の夜を描いていきます

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