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太史慈転生伝~最上義光を放っておけないので家臣になって手助けしちゃいました~  作者: 黒武者 因幡
第1章 最上家の武将 鮭延秀綱編

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鳥海家の家督継承 勘兵衛信道 登場

鮭延家では、重臣の鳥海守衛が、子の勘兵衛に家督を譲ります。

この勘兵衛を含めて、米沢の伊達家に援軍に向かいました。

 秀綱は鮭延城に戻った。数人を選抜して、伊達家への援軍に加えるためであった。

 

 兵は、伊達家側に備えていた畑谷城の江口光清えぐちあききよに借りることになっている。鮭延城を手薄にしたら、小野寺家の侵攻を招きかねない。そのため、最上義光は、山根大善など楯岡満茂の配下を数名、城の防備に回してくれた。おかげで、将の数名を率いて、城を出られる体制を整えてくれた。


 その選抜をしようとした矢先、筆頭家老の鳥海守衛から隠居の申し出があった。

「爺よ、なぜ急に隠居など」

「いえいえ、以前から考えておりましたが、それがしももう50を超えようとしており申す。戦働きなど、もはや叶わぬ身。ゆえに、息子の勘兵衛に後を継がそうかと」

 守衛の背後に控える若武者が、名乗った。

「鳥海守衛が一子、勘兵衛信道にございます。父に劣らぬよう、秀綱様を支えまする」

 秀綱は、勘兵衛を見知っている。武勇の才に秀でて一本気な若者であった。


「殿、もし今回のお役目、叶うならば、この勘兵衛を連れていってくだされ」

 守衛が申し出てきた。

「殿、この私が勘兵衛を補佐いたしますゆえ、実際に戦場を経験させてやりとうございます」

 脇から佐藤式部が発言した。


「このようなわかりにくい戦いが、初陣というのもいかがなものだろうかな」

 秀綱は難色を示した。もっと身近で、秀綱自身が目の届けられる戦で初陣を飾らせてやりたいと思っていたからだ。


「私は、父からこう言われておりました。鮭延の殿とともに戦場に立つのが鳥海家の当主の使命。されど、父はそれが此度は思うとおりにできないと嘆いております。私であれば、父に代わって殿について米沢へも、会津へも参ることができ申す。何卒、一行に加えて下され」

 勘兵衛は、額づいて頼んできた。守衛も、式部も同様であった。


――ここまで家中の者たちから願われては、無碍にはできぬわ――

『家中の者たちから斯様に慕われるのは、守衛のこれまでの忠義と、勘兵衛の日頃の生きざまのなせる業だな。若者一人、そばに置いて戦場を経験させることくらい秀綱、お主ならできようぞ』

 太史慈の声も、勘兵衛を加えることを推している。


――いざとなったら、俺が見えない背後の危機くらいは教えてくれよ――

『それくらい造作もなきこと』


 秀綱は、太史慈の声に、それに家臣の声に、頷いた。

 鳥海家の家督相続を認め、秀綱は自身の身に着けていた脇差を与えた。勘兵衛は、喜んで押し頂いて自身の腰に差した。




 秀綱は、家臣を10名選抜して、畑谷城に向かった。佐藤式部、鳥海勘兵衛、白石綱元ら武勇に優れた配下であった。

――光清殿は、鮭延城で降伏する際に戦って以来だな――

 光清は、義光の家督継承の折、父の義守が難色を示す中、一貫して義光の継承を主張し続けた。そのため、義光も信頼を寄せている。秀綱の最上家への服属を真っ先に認めてくれた武将でもあり、秀綱も恩義を感じていた。


「おう、久しいな、秀綱殿。その後の活躍も聞いておる。儂は人を見る目だけは自信があるからのう」

 面会の席で、光清は自身の人相見のことを自慢した。確かに、光清が見込んだ相手は活躍しているのだ。

「ほう、儂が見たことのない若武者がおるではないか」

 光清は、勘兵衛を認めた。

「はっ、鮭延秀綱が家臣 鳥海守衛が一子、勘兵衛信道でございます。以後、お見知りおきを」

 勘兵衛は、緊張を感じさせながらも。淀みなく挨拶を述べた。

「ほう、勘兵衛とやら、もっと近くに参れ」

 勘兵衛は、急に近づくのは不作法ではないかと躊躇っている。守衛がそのあたりをしっかりとしつけていたのであろう。

「勘兵衛、光清殿は人相見を趣味にされておられる。お主を見たいのだ。近くに行って、しっかりと見てもらえ」

 勘兵衛は、秀綱の言葉に押されて、光清の前に進んだ。


「ふうむ、これは」

 光清は唸った。周囲も、にこやかに二人を見ている。

「いかがでございますか。我が家臣の勘兵衛は」

 秀綱が言うと、光清は真剣な目を秀綱に向けてきた。


「秀綱殿、この者、大事にされよ。きっと、秀綱殿を支える忠臣となろう。決してこの者を手放してはならんぞ」

おおっと座は唸った。余興でもあろうと思うものがいたのだろう。

『この爺さんの言うことは聞いておけ。この人、許劭きょしょうのような才がある』

 太史慈の声が聞こえた。許劭とは、後漢の末期、人物鑑定で有名な人物であった。曹操を治世の能臣、乱世の奸雄と評したことで世に知られる存在であった。


――確かに一本気であるから、忠臣にはなってくれそうだな――

 勘兵衛も、光清の評価が嬉しかったようで、涙を流して喜んでいる。


「ただ、勘兵衛とやら、女難の気が出ておる。身を滅ぼしかねんから、気をつけよ」

 座は、爆笑に包まれた。光清も笑っているが、目は真剣であった。

――心にとめておこう――

 秀綱は思った。




 翌日、畑谷城の兵500を率いて、秀綱は米沢に入った。先ぶれは既に光清が済ませてくれていたため、領土の境にいた伊達家の者が先導してくれた。相手は、片倉小十郎景綱の配下の者であると名乗った。おかげで、諸城を通り過ぎて、米沢に入った。


 米沢城周辺では、既に慌ただしく戦準備が進められている。

「今は城が繁忙故、この寺に滞在願いたい」

 片倉家の者は、郊外の寺を案内し、いったん城に戻っていった。


 ややあって、再び先ほどの者が、明日、伊達政宗公が米沢城で面会する手筈だと告げてきた。

「伊達家の料理を馳走いたす故、秀綱殿おひとりで参られよ。何も召し上がらず来てほしい」とのことであった。


――何か企んでいやがるな――

 周囲は、不審な申し出を訝っているが、秀綱は委細承知したと使者に告げた。

 


次回は、政宗との会談

政宗の意図とは何か?

政宗と秀綱の会談での対決が行われます。

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