2話 テロ
魔族解放教会、彼らは魔王を崇拝していて魔族との共存を望んでいる人族の宗教団体だ。
彼らは同じ目的の下、集っていると思われているが保守派と過激派の2つの宗教に分かれている。
保守派は魔族解放教会の本来の目的と同じように魔族と敵対せず共存を目指すことを目的としている。
過激派は他の種族を淘汰し魔族だけの世界を作ろうとしている。
そして今、過激派が人族と犬族の連合国を乗っ取ろうと国家転覆の計画を企てている。
ろうそくが数本立てられていて薄暗い空間に人族が数人いる。
「今、魔族達がここへ攻めてきている。やるなら今だ。」
「ああ、レグルス・アルバンヌは討伐で都市にはいない。アリステア・テイラーさえどうにかすれば我々でもなんとかなるだろう。」
「そのどうにかができないんだろ。」
「良いアーティファクトがある。」
その中の誰かが言った。
「どんなやつだ!」
彼以外の全員が興味を示しそのうちの1人が食い気味に聞いた。
「転送のアーティファクトだ。とある筋で手に入れることができた。こいつでアリステア・テイラーを連合国から遠い、魔族領の端に転送させる。」
「それでもすぐに帰ってくるのでは?」
「ああ、だからまずはアリステア·テイラーでも壊すのに苦労する魔術の檻で閉じ込め、その状態で転送する。」
「檻を作るためにかなりの犠牲を払うことになるがそれが良いだろう。」
「ではそれで決定ということでいいな?」
彼らは淡々と会話をし、そして終わった。
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太陽が照る、行楽日和。
アリステアは公園で子供たちの相手をしている。
子どもたちを持ち上げて喜ばせたり、魔術を出して遊んだり楽しくんでいる。
「アリステアさん、見せたいものがあるんだ。」
アリステアと一緒に遊んでいたうちの子どもがもじもじしながら声をかけた。
その子どもは4歳ぐらい男の子だった。
「なに?」
「こっち!」
子どもは元気よく返事をし走って言った。
それにアリステアもついて行った。
子どもについていくとかなり広い地下室に連れて行かれた。
アリステアはすでに殺気立った、なかなかの強者が15人隠れていることに気づいている。
しかし子どもがいるのでとりあえず様子を見ることにする。
子どもが地下室のちょうど真ん中に立った時、子どもが笑顔でアリステアを見つめた。
「これ!」
そう言うと同時に、隠れていた2人が出てきてアリステアを攻撃しようとした。
1人は剣で刺そうとし、1人は魔術で岩の弾丸を作り放とうとしていた。
アリステアは剣を持っている方を軽くいなした後、岩の弾丸を作っていた奴を攻撃しようとしたとき、奴がアリステアではなく子どもにその弾丸を撃とうとしていることに気がついた。
そのせいで行動が遅れ、岩の弾丸を子どもに向けて発射されてしまった。
アリステアは子どもを庇おうと腕を子どもと弾丸の間に入れ腕で弾丸を受け止めた。
弾丸は腕を貫通している。
その隙に残りの隠れていた奴らは一斉に魔術を使い、アリステアを光の箱で包んだ。
アリステアは魔術発動までに箱の範囲外から出ることができたが子どもがいたので無策に動けず、箱に閉じ込められてしまった。
その後、奴らの一人が転送のアーティファクトを出し、魔術の檻に向かって使った。
一瞬にして魔術の檻はなくなって死体の転がった地下室へとなった。
その男は細身で魔族解放教会のローブを付けている。
彼の足元には15体の死体が転がっている。
魔術は何かを犠牲にすることによってより強力な魔術を使うことができる。
「彼らは全員かなりの実力者だというのに全員死んでしまうとは。成功させないと彼らが報われない。」
そう言いその男は地下室を出た。
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「やられたな」
アリステアは光の壁を軽く触っただけでそれを簡単に壊すのは困難だと悟った。
おそらく本気を出しても壊すのに2時間は掛かるだろう。
さらに子どもが中にいるせいで大技が使えないのでより時間がかかる。
光の箱に囲まれた中で子どもがうずくまっている。
強烈な殺気を浴びた上、殺されそうになったのだから辛いのは当然だ。
「大丈夫だ。私がついてる。私が君を守る。」
アリステアは子どもに優しく寄り添い背中を撫でた。
「なにがあったか教えてくれないか?」
アリステアが優しく聞くと子どもが顔を上げて涙ぐんでアリステアを見つめた。
「あのね、おとうさんがね。まぞくのためだってね」
子どもはえずきながら喉から振り絞るように話している。
アリステアは黙って熱心に子どもの話を聞いている。
「だからねくらいとこにつれてきてっていわれたの。」
つまりアリステアを閉じ込めるために子どもを使い地下室におびき寄せたということか。
アリステアは子どもが好きだ。
純粋で大人のように汚れていない、無邪気な笑顔を見せてくれる。
しかしそんなか弱い子どもを使い、そしてその子どもまで殺そうとした。
アリステアはひどく怒ったが子どもに威圧感を与えないよう表には出さないようにした。
子どものためにも早くここから出て、安全なところに預けなければならない。
しかし、無理に光の箱を壊そうとすれば子供に被害が及んでしまう。
アリステアは固有スキル万能を使い、この魔術を解析して解除することにした。
「アリステアさん何してるの?」
アリステアのおかげでかなり落ち着いた男の子が興味津々に話しかけてきた。
「この魔術を解析して解こうとしてるんだ。」
アリステアは光の壁に触りながら返答する。
「どうやって?」
「俺の固有スキルを使っている。」
「固有スキルって?」
「しつこい子どもだな、固有スキルも知らないのか?」
アリステアは魔術を解析するために集中しながら子どもの質問を返していたが、子どもがしつこく聞いてくるので少し面倒くさくなってきた。
そう思っていたが声に出てしまった。
「固有スキルは人族が1人1つ持ってる特殊能力みたいなもんだ。いつか君も手に入れるよ」
「へー、どうやって?」
「10歳くらいになったらいつの間にかもってるよ」
アリステアは面倒くさくても、魔術の解析をしながら子ども質問に答えてあげている。
「カルもこんな光ってるやつできるの?」
「カル?」
おそらくカルとはこの子どもの名前だろう。
「いやこれはおそらく魔術だ。複数人で使っていたし、魔力を感じる。」
「魔術?魔力って何?」
「しつこいな。ゆっくり説明してやるから落ち着け。」
アリステラは魔術、魔力そして固有スキルについて説明してあげた。
固有スキルは人族が1人1つ持っているもので人によっていろんなことができる。
固有スキルにはレベルがあり、レベル3で中級者と言われていて今、確認しされている最高レベルは8まででまだ上のレベルがあると言われている。
ちなみにレベル8はアリステアただ1人だ。
固有スキルには魔術といたようなものもあるが、固有スキルのほうが圧倒的に火力が高い。
そして、アリステアの固有スキルは万能。
これは様々なスキルを使うことができるというもの。
使えるスキルは使用者本人の望むスキルを使うことができる。
ただ、万能は他の固有スキルとは違い、レベルアップが10倍遅い。
能力自体は強いがどれだけ頑張っても一生をかけていけるレベルは3までだ。
しかし、アリステアの固有スキルはレベル8、ここまで上げることができたのはもう1つの固有スキル英雄のおかげだ。
これは、スキルの所有者が死んだら近くの人間にこのスキルが移るという能力だ。そして、このスキルを使うと今までの使用者の経験を得ることができる能力でもある。。
このスキルのおかげで万能のレベルを8まで上げることができた。
アリステアはカルに色々と話してあげた。
その間、カルはなんで?なんで?と聞いてきたがアリステアはしっかり答えてあげた。
一通り話して4時間ほどが経ち、魔術の解析が終わった。




