SSS級最強ギルドからダンジョン最奥地で置き去りにされた俺、覚醒した最強スキル【無限強化】で無双する。〜今更帰ってこいと言われてももう遅い。君たち全員俺一人で良くね?〜
SSSランク。現状冒険者ギルドに登録されいるうち最高峰の等級。唯一にして最強のそれに俺は所属している。『親愛なる隣人』圧倒的な実力とは裏腹に気さくで関わりやすいリーダーがつけたパーティー名だ。
曰く、リーダーはこの世界の人間ではないらしい。
いわゆる転生者というやつだ。なかなか見かけないとは言え見ないでもないし、『女神様からスキルをいただいた』なんていっていたからあの人間離れした実力にも納得がいく。
そんな最強のリーダーに、前線で魔物からのヘイトを一身に受ける戦士、そして高威力に範囲魔法で一掃する魔法使いと後衛からチマチマとバフを配る俺という四人で構成されていた、はずだった。
はずだったというのも、俺が野営地で目を覚ますと周囲はもぬけのから。何も残さず綺麗さっぱりとなくなっていたのである。ただ、一通の置き手紙を除いては。
「すまない、もう耐えられないんだ。すまない。本当にすまない」
殴り書きの手紙にはそれだけが書き残されていた。
仕方のないことだ。破竹の勢いで成長を続けるパーティーの中で、俺だけがずっと弱いままだったのだから。メンバーたちは俺を受け入れてくれていたが、世間はそうじゃなかった。
ミノタウロスなんかの強力な魔物の討伐はザラ。酷い時にはボスとしてドラゴンが待ち受けているような未踏破ダンジョンの調査なんかも依頼されることがある。
功績を重ねるにつれ、注目は高まる。注目が高まれば、必然的に『足手纏い』は見つかり、中傷のターゲットにされた。もともとリーダーと二人旅だったお情けで居座っていたようなものだ。いつかは来ると思っていた見捨てられる時が偶然今だったのだろう。
「さて、これからどうしようか」
ここはダンジョンの最奥地。ボスは確か……『悠久の龍王』みたいな名前がついてたっけ。本当ならパーティーで討伐して帰るはずだったのが敵は想像以上に強力で、勇気あるメンバーが一人残って龍王相手に撤退の時間を稼ぐ……なんて素敵なカバーストーリーだろうか。
きっと彼らが偉業を成し遂げて英雄ともてはやされる時が来たら、そんな英雄たちの命を救った影の立役者として多少は歴史に名が残ったりするだろうか。
ともあれ、役立たず俺とて死にたくはない。脱出しようと思っても一人で出口まで向かうのはまず無理だ。途中で魔物の餌にでもなるのがいいところ。
ぼんやりと考えても致し方なしだ。散歩しながらでも考えよう。餌になったらその時また考え……いや、餌になったら考えられないけど、まぁいいや。
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