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「そう、ですか、、入院、、、。」
お母さんの声が聞こえる。
「一人で入院は無理ですよね、、、。私も泊まります。」
不安そうなお母さんの声。
刹那が一人で入院なんてできるはずもなかった。
まだ4歳だ。
そして、驚愕の事実を知るまで時間はあまりなかった。
3日後、妹の入院の延長が決まった。それと共にぼくとお母さん、お父さんが呼び出された。
しばらくつきっきりのお母さんとお父さんはひどく疲れた顔をしていた。
「娘さんは、ガンがあるようなんです。」
お医者さんの辛そうな顔は忘れられない。
「ガン、ですか、、。」
「最初の方に見つかったので、ここから治療すれば治りはすると思うんですが、、。」
神妙な面持ちで言われて、不安になる。
「お母さん、お父さんの付き添いはできるかぎりとします。ガンとなると、治療のこともありますし、病院に呼び出す回数も多くなってしまいます。なにより入院期間が長いので大変かと。」
「、そう、ですね、、、。できるだけ一緒にいたいんですが、疲れてしまって。」
「こちらは大丈夫ですよ。小児病棟のナースは24時間体制でいますのでナースコールを教えてあげれば、呼び出して何かをしてもらうことも可能です。どんな用事でも、ナースさんを呼びたくなったら呼んでいい、と伝えてください。」
丁寧な先生の対応に少し安堵したようなお母さんとお父さんの顔。
「ガン治療の話なんですが、、、、。」
ここからの話は小1のぼくには何もわからず、覚えてない。
でも、治療費用が高いこと。妹が全然お家に帰れないこと。
それを、とても絶望的に思ったこと覚えていた。
ぼくは、その時決意した。
子役になってみせると。