2
「ユウくん、ユウくん。」
「ゆなくん、ゆなくん。」
なんで、ぼくの名前は、、、みんなに忘れられちゃうんだろう。
「なゆお兄ちゃん。」
妹・刹那の可愛い声がした。
「どうした?」
「おねちゅでちゃったの、また。」
悲しそうな顔で言う刹那が可哀想だった。
刹那は“周期性発熱”という病気を持っていた。
「お兄ちゃんがアイス買ってあげるよ。、、何がいい?」
刹那が熱を出した時は、いつもぼくが刹那の面倒を見ていた。
コンビニが近いから、アイスやゼリーを買ってっ来てあげていた。
「んーとね、せちゅなはね、ちょこれーとあいちゅがいー」
顔を真っ赤にさせる刹那はうまく呂律が回っていない。
「チョコアイスね。待ってて。すぐ買ってくる。」
自分の部屋へ行って昔から使っている財布を持ち出す。親が刹那ように貯めている500円貯金から500円を二枚取り出すと、「行ってきます」と声をかけて家を出た。
家から走って5分もかからない場所にあるコンビニに入る。
「いらっしゃいませー」
という声と共に店内に入ると涼しい風に当たる。走ってきた暑さにはちょうどよかった。
急いでチョコレートアイスを取ると、店員さんのところへ持っていく。
「ありがとうございまーす。袋はつけますか?」
いいです、と言おうとしてエコバックを持ってこなかったことに気づく。
「あ、お願いします。」
そういうと店員さんはニコニコ対応してくれた。
「630円です。」
500円玉二枚を出して、370円のお釣りを丁寧に財布に入れる。
アイスが溶けないように、と走って帰る。
家が見えた時だった。
家の前には何台もの救急車が赤いライトを照らしていた。
後から知ったことだったが、家で仕事をしていた母が刹那のことを見にきた時、刹那が痙攣していたそうだ。
刹那は、熱生痙攣を起こしていた。