第09話 生えた物(スキル)は育てる。
「うーん。」
と机の上に置かれた二振りの剣を見ながら思わず声が出た。
1本は格納空間に入ってた長刀。
”ロングソード 刀鍛冶ノヴィ作 経過年数:半年”
もう1本はベッドの横板に食い込んでいた短刀だ。
”ショートソード(聖) 刀匠エカテリーナ作 経過年数:15年”
晩御飯後に部屋に戻り、ベッドの傷を確認しようとしたところ発見した。
どうやらネフィスさんの剣を2本とも持ってきてしまったらしい。
盗み判定されて業がまた下がっているのでは?と心配したが、変わってなかった。
どうやら戦利品扱いのようだ。
今度呼ばれた時にでも返せばよかろうと、剣のことは一旦忘れることにして二振りとも格納空間にしまう。
どちらも鞘がないのであぶなっかしいことこの上ない。
物理的な問題は見なかったことにすればよいが、それよりもレベルアップで何が変わったのか。である。
HP,MPはあがったことはわかるものの、まだ鑑定では出てこない項目に変化があり日常生活に影響が出ては困る。
例えて言うなら扉を開けようとしただけなのにドアノブを握りつぶしたり、スキップしたつもりが天井に頭突きをかましたりだ。
おそるおそるやってみたものの、普段と変わりなかった。
全力で飛んでみたり、全力で殴ってみたりすると何か変わるのかもしれないが、さすがに家では試せない。
ちょっと外に出てみようかと思ったが、うちは夜間外出禁止である。ちなみに門限は9時だ。
まず伊緒姉さんが危ないからと言う理由で許されていない。
僕は別に良いと思うのが、僕もダメと言うことになっている。多分僕だけ許されると伊緒姉さんがすねるからだ。
これも明日だろう。寝返りうった際に壁を壊す可能性も考えたがこればっかりはどうしようもない。
とはいえ本当にそうなると困るので気休めで壁際にクッションを置いておくことにする。
ということになると、これを検証するしかないよね。
と鑑定結果に新しく表示された魔法を見ながら思う。
《治癒》 Lv:1/--- (0/10)
《召喚》 Lv:1/--- (0/10)
《守備力向上》 Lv:1/--- (0/10)
《速度向上》 Lv:1/--- (0/10)
《筋力低下》 Lv:1/--- (0/10)
《攻撃力低下》 Lv:1/--- (0/10)
《速度低下》 Lv:1/--- (0/10)
まずは無難に”守備力向上”を自分にかけて、変化を鑑定で確認する。
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【恩田 拓斗】
種族:人間 性別:男 年齢:15歳 職業:高校生
状態1:平常 状態2:守備力向上効果 1%UP(残り時間53sec)
所持金:¥8,250
所属1:恩田家
所属2:私立宇月高校1年A組
Lv:7/---
HP:640/---
MP:639/---
魔法:
《鑑定》 Lv:7/--- (258/640)
《意思疎通》 Lv:2/--- (0/20)
《格納空間》 Lv:5/--- (122/160)
《治癒》 Lv:1/--- (0/10)
《召喚》 Lv:1/--- (0/10)
《守備力向上》 Lv:1/--- (1/10)
《速度向上》 Lv:1/--- (0/10)
《筋力低下》 Lv:1/--- (0/10)
《攻撃力低下》 Lv:1/--- (0/10)
《速度低下》 Lv:1/--- (0/10)
罪歴:なし 業カルマ:-1
備考:異世界転移経験あり(3回)
***他の情報はレベル不足のため表示されません。***
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状態表示が分かれて、魔法効果と持続時間が表示されている。
守備力そのものはレベル不足で表示されないのかな・・・
あとこの魔法も消費MPは1だけのようだ。
もう一度かけてみる。重ね掛けが可能かどうかの確認だ。
すると
状態2:守備力向上効果 2%UP(残り時間47sec)
と重ね掛けすることができた。
47秒ステータスを見ながら待つと最初にかけたものが終わって1%UPになり、すぐに2回目の物も終了して状態2の表示そのものが消えた。
バフ、デバフ系それぞれ試したがどれも同じ効果(%UP)、持続時間(60秒)だった。
あと検証でわかったのだがレベルアップの効果なのかMPの回復量も増えていた。(1分当たり7回復)
なので・・・
『設定:自動実行1 ▼
対象:鑑定魔法 ▼
実施間隔:60sec ▼
停止条件:停止宣言▼
設定:自動実行2 ▼
対象:意思疎通 ▼
実施間隔:60sec ▼
停止条件:停止宣言▼
設定:自動実行3 ▼
対象:治癒 ▼
適用対象:自分
実施間隔:60sec ▼
停止条件:停止宣言▼
設定:自動実行4 ▼
対象:守備力向上 ▼
適用対象:自分
実施間隔:60sec ▼
停止条件:停止宣言▼
設定:自動実行5 ▼
対象:速度向上 ▼
適用対象:自分
実施間隔:60sec ▼
停止条件:停止宣言▼
設定:自動実行6 ▼
対象:筋力低下 ▼
適用対象:自分
実施間隔:60sec ▼
停止条件:停止宣言▼
設定:自動実行7 ▼
対象:攻撃力低下 ▼
適用対象:自分
実施間隔:60sec ▼
停止条件:停止宣言▼
設定:自動実行8 ▼
対象:速度低下 ▼
適用対象:自分
実施間隔:60sec ▼
停止条件:停止宣言▼
』
と設定して育つのを待つことにした。
デバフを自分にかけるのはあまりいい気はしないがそうしないと育たないからしょうがない。
他人にかけるのも違う気がするし。
一旦設定を終え、宿題と明日の予習にとりかかる。
ここらへんが楽になる魔法ってないのかしら。