異世界ギルド嬢の異世界カウンセリング
息苦しい、いや生き苦しいと思ったのは今に始まったことではなかったんだよ。
大学に通いながら長い時間掛けて働いて、その金と奨学金を併せて学費と生活費を工面する。
なんと大変な事だろう、なんて他人からの上面だけの励ましは聞き飽きた。
もう2年に差しかかろうとしていた。
大学ではゼミが始まるし、何らかのコミュニティに属する、という最低限の社会性の元入ったサークルも幹部になるし、忙しいというか、そんな事を考えるより虚無になって時が経つのを待つ方が楽だった。
高校の時の同級生は、留学に行った、ネズミの王国に行ったと散財を繰り返し、大学の友達は、免許を取った、クラブでオールしたとこれまた親の金をドブに捨てている。
ムカつく。私は必死になってまで何を得ようとしているんだろう。
勉強も時間的には彼らに追いつく何かを持ってる訳じゃない。彼らが遊び呆けている間、辛うじて、大学に通っていることを無駄にしたい為の強迫観念だけだ。私の学習意欲というものは。
成人式だって欠席した。学費の納入を伸ばして伸ばして、この期限までに払えなければ退学、ぐらいにまで迫っていたからだ。袴ぐらい着たかったなあ。
んで。
ある日、その首の皮一枚繋げてた糸が切れた。
死ぬか。楽に死のう、と。
電車に飛び込もう。迷惑は掛かるけど。
それで、駅の前の国道で信号待ちをしてる時に思った、あ、トラックに轢かれるか。
迷いとかそんなものより、引くに引けなくなった私の死ぬという意志は堅く、数秒後には首は吹っ飛ぶし固いコンクリートに頭を打つしの大成功を収めた。
褒めてやるぞトラック、運転手には申し訳ないけど。
目の前が真っ暗になったと思って光を求めた。
死んでいても天国なり地獄なり見えるはず、と思ったからだ。
頭が重かった。現世の重圧から解放されたのに、何とも皮肉な話だなあ。
違う。
逆さまだ。
私は、葉が生い茂る木に頭から突っ込んでいた。