鬼神顕現
リサは計算外だった。
まさか髑髏軍隊があんなにあっさり破られるとは思っていなかった。
サーシャは決して弱くない。
いずれ序列10位以内に加わるほどの力がある。
今回の模擬戦で十兵衛の魔術やスキルを確認して今後のプランを練ろうと思っていたのだがサーシャがやられた所でリサは考えを改めた。
『こっちが上と思っていたら痛い目みるわね…』
リサのスキルである〈石化ノ邪眼〉は目視している箇所が徐々に石化していくスキルであり、魔術で魔力でできた邪眼とシンクロさせてより石化するスピードや範囲をブーストさせるものだった。
自身を《ポイズンプロテクト》で守りながら相手を石化されるリサの必勝パターンだ。
ただリサは毒液に守られながら時間を待つ女ではない。
【蛇髪邪神】で猛攻を仕掛ける。
伸びてくる蛇腹剣型の装魔【蛇髪邪神】の攻撃と間合いは変幻自在で嵐のような猛攻だ。
「ふむ…めんどうたい…」
十兵衛は完全に自身の間合いの外から繰り出される蛇腹剣の猛攻を難なく交わしながら間合いを詰めてきた。
『おかしい…石化が遅すぎる…』
リサの顔に焦りが見え始めた。
【蛇髪邪神】の間合いは遠く、徐々に間合いを詰められているが十兵衛に石化してる様子はあまり見られない。
「まあこの姿ば仕事中に何度か見せてるばってんよか」
十兵衛はリサの猛攻を交わしながら唱えた。
「〈三明剣:顕明連〉」
まだ人間の部分が残っていた左側の皮膚も赤黒くなり、左の額にも角が生えてきた。
左目は右目と同様に結膜は黒くなり、虹彩は金色、瞳孔は縦に割れていた。
髪は白髪となり、結んでいた後ろ髪は解けている。
十兵衛は完全に人成らざる鬼になっていた。
「これが二つ名の由来ね…」
リサからは冷や汗をかいていた。
「酒呑流…酔い桜…」
抜刀からの斬り上げかと思えばリサは袈裟斬りをされており、そのままダウンした。
斬り上げでポイズンプロテクトを斬り、返す刀でリサを斬ったのだ。
「勝負ありたいね」
十兵衛は静かに【大嶽丸】を納刀した。
序列7位が新入生に倒される…
観客がいたら次の日からその話で持ちきりだろう。
先輩2人がダウンしているなか十兵衛は困ったように呟いた。
「さてどうしたものか…」




