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合否通知

 アルメリア帝国のフェルナンド領には帝国で1番と評判のアメル商会がある。


 港を有しているがキルケニー山脈に囲まれた自然豊かな田舎であるフェルナンド領が有名なのはアメル商会のおかげである。


 そんなアメル商会の中では暗い雰囲気が漂っていた…


「はぁ〜」


 深いため息を吐く黒髪で眼帯をした男は深く落ち込んでいた。


「元気出せよ‼︎十兵衛‼︎」


 同僚らしき男が励ましても十兵衛と呼ばれる男はうわの空だった。


 十兵衛は父親の命令により遠く離れた東洋の国であるジパングから奉公に出ており、今まで仕事で失敗をした事がなかった。


 今回の仕事内容はアメル商会の会長であるオルバ=アメルの愛娘のジェシカ=アメルが国立魔装学園ベゼスダに合格した事により護衛としてジェシカを守るために二次募集の試験を突破し、合格する事だった。


 これはジェシカと同い年である十兵衛にしかできない仕事であり、アメル商会には10代は16歳である十兵衛しかいなかった。


 周囲では16歳でレベル3の装魔術士であり、アメル商会のエージェントを務めている十兵衛が不合格になる事はないと思っていたが試験会場を半壊させたとなると別である。


「とりあえず会長が待ってるぞ。」


 同僚らしき男が十兵衛の背中を押した。


 会長室が近づくと徐々に大きな声が聞こえる。


 声の主はジェシカだった。


 どうやら試験の件について父であるオルバ会長に抗議しているようだ。


 十兵衛は若干緊張気味に会長室の扉をノックする。


「入りなさい。」


 その厳格な声に十兵衛はより緊張した。


 会長室に入ると冷たい視線を十兵衛に放つジェシカと彼女を宥めるエージェント室の室長 ガストン=クロフォード、机に座って十兵衛に笑顔をむけるオルバ会長がいた。


「失礼します。」


 十兵衛が会長室に入るとすぐにジェシカはまた抗議を始めた。


「だから私には護衛なんて要らないって言ったでしょ!」


 まあまあと宥めながらオルバは十兵衛に書類を渡した。


「十兵衛君。合否通知が来たよ。」


 どうせ落ちてるでしょと呟くジェシカの無視して書類を確認する。


 書類には『合格』の二文字が記載されていた。


「あっ受かったっす。」


 十兵衛自身も予想していなかった結果に戸惑いながら報告した。


 オルバ会長とガストン室長は大爆笑した。


「いやー試験会場を半壊させる程の力を持った術士を不合格にする訳ないじゃないか。」


 不安になっていた十兵衛を見てるのが楽しかったとオルバ会長は笑いながら白状した。


「私なら半壊ではなく全壊させてるぞ‼︎十兵衛も訓練が足りてないな‼︎」


 ガストン室長が笑いながら十兵衛の肩を叩いた。


 ジェシカがまた抗議しようとするとオルバ会長は真面目な顔をして話を始めた。


「今回、ジェシカが国立装魔術学園ベゼスダに入学するにあたり十兵衛君に護衛に就かせた件だが意味はわかるかい?」


 沈黙の中、オルバ会長は続けた。


「あのベゼスダは魔窟なのだよ。帝国中の領や商会が今の自分たちにはこれだけの若い世代が育っているとアピールする場であり、まだどこにも属していない者をスカウトして補強する。国内の勢力を図る縮図なんだ。ベゼスダでは城と同じく何が起こってもおかしくない。だから護衛が必要なんだ。」


 オルバ会長の説明を真剣に聞くジェシカ。


「これは会長ではなく1人の父親として頼む。娘を宜しくお願いします。」


 オルバ会長が頭を下げてお願いした。


「承りました。」


 身を正して十兵衛が返事をした。


「ジェシカ嬢に何があったら打ち首な。」

 笑いながらガストンは言ったが目が笑っていなかった。


 この春、十兵衛はエージェントから国立装魔術学園ベゼスダの学生となるのだった。

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