リーシェの部屋で
コンコン‼︎俺はリーシェの部屋の扉を叩く。
「リーシェさん。入りますよ」
一応断っておこう。こういうのはそれをしないとフラグ?が立つとクラスの奴……誰だっけ?
そいつが言っていた気がする。それ以前に家じゃあ常識だったんだけど。
「どうぞ」
リーシェの許しが出たので入る。
ガチャリ
扉を開けると、そこには夕食を食べている途中のリーシェがいた。
「何か御用でしょうか?ルキウス様」
リーシェが俺に目線を合わせるようにしゃがみ込んで聞いてくる。
リーシェはメイドなんで俺にも様付けだ。やめて欲しいな。
「リーシェさんはなんで一緒にご飯を一緒に食べないんですか?一緒に食べた方が美味しいですよ」
ちなみに料理はリーシェがメインだがアリエスも手伝っている。リーシェも初めは『これは私の仕事ですので』と断っていたがアリエスに『夫に手料理を食べさせたいんです』と、言われて断りきれなかったようだ。
そして俺の今の発言は一緒に飯を食べようという要望と、料理美味しかったですよを同時に言っている。
「料理をお褒めいただきありがとうございますルキウス様。ですが私はメイドという立場ですので主人であるアリエス様、並びにその夫であるクラウス様、お子様のココナお嬢様、ルキウス様とご一緒というわけには参りません。それに私はメイドですので『リーシェ』とお呼びください」
断られた。あと、ココナはお嬢様なのに対し、俺は様付けだけなのは、初めの俺の呼び方が『ルキウスお坊ちゃん様』だったので思いっきり駄々を捏ねて『ルキウス様』にして貰った。
「リーシェさんはリーシェさんですよ?」
「ルキウス様、この世界には立場というものが存在します。まだ3歳のルキウス様には分からないかも知れないでしょうが私の事は『リーシェ』とお呼びください」
「嫌です。『年上の人には礼儀正しくしなさい』って、本にも書いてありましたので」
「ですが年齢以上に立場は大事なのです」
「………………」
「……仕方がありませんですね。どうぞお好きに呼んでくださって構わないですので、せめて家族以外の他の人たちの前では『リーシェ』と呼んでくださいね」
「はーい」
とりあえずは認めてもらえたと思う。
「ところで御用はそれだけで御座いましょうか?」
リーシェがしゃがんだ姿勢のまま聞いてくる。足きつくないのか?すごいな、さすがはこの家を1人で回せるメイド。
家の広さは二階建てで、一階が玄関、リビング、キッチン、今いるリーシェの部屋、トイレ、風呂がある。普通の家には風呂なんて付いていないらしい。
二階がクラウスの部屋、アリエスの部屋、ココナと俺の部屋だ。
他に一階と二階合わせて空き部屋が5部屋ある。来客用だ。おっと、話がずれた。
「えっとですね……僕は明日から父さんに剣術を習うんです。ですから明日朝8時に起こしに来てください」
いつもは9時まで寝ている。体は3歳なので、大目に見てくれ。寝るのは9時過ぎだ。
「了解しました。ココナお嬢様にも、あとでその事を伝えておきますね」
「いえ、僕が伝えます」
「そうですか。それじゃあ明日から頑張ってくださいね。ちゃんと起きられるように早く寝るように」
夜更かしするなよと、注意された。そんな事があったが、その後はちゃんと風呂にココナとアリエスと3人で入った。
ちなみに息子は動かない。理由はまだ体が覚えていないか、家族だからと俺が自制しているかのどちらかだが……自制ということにしておこう。
そしてベッドに入り眠りについた。ちゃんとココナにはリーシェが来るということも伝えておいた。
そして次の朝を迎えた。