表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
56/60

師匠との別れ、そして王都へ

今回でまた一区切りはつきます。実は急に試練(宿題)が降りかかってきて、そっちにかかりっきりになりそうなのです。

なにが言いたいかというと、来週の水曜日はお休みにさせてください(ごめんなさい)! その分、土曜日の更新する文字数は多少多くなりますので、それでご勘弁を!

この国、アークバルト王国の西側にフォレスタリア精国は存在する。

国営はクロイツェフ家、ミギリウス家、ファウゼン家、通称エルフの御三家と称される三家、それ以外の選ばれた一般市民数名から成る四大党制を支持していた。

一応王政とは違い、民主的……なのか?


クロイツェフ家はエレザ、エブラハムさんが出身とする家だ。当主には父さんと共闘して戦ったミドレファスが置かれている。

風属性の魔法を得意としている。エレザも最初に風属性魔法を見せてくれたな。

まぁ、水属性も使えていたし、他の属性が使えないと言うわけではなさそうだ。


ミギリウス家は師匠が先代当主をしていた家だ。御三家の中では特に魔力に秀でており、御三家最強とまで言われている。

得意としているのは炎属性だ。自然に生きるエルフでありながら炎系統を操れることが最強と称される理由だ。


ファウゼン家。俺にとって直接の面識はないが、御三家に選ばれるだけの魔力量を保持している。

得意な属性はないらしいが、よく言えばオールラウンダー。悪く言えば器用貧乏な存在らしい。

突出した分野はないものの、安定して高い結果を出す秀才軍団だと聞いた。案外、一番厄介かもしれないな。


そいつらがいる国のどこかにエレザはいる。当てはないが、師匠のおかげである程度の情報は教えてもらった。師匠はエルフたちの穏便派のトップだからな。

だが。師匠の情報網を持ってしても、エレザの情報は全く手に入らなかった。

つまり、情報が漏れにくいくらいの高い家。エレザはミドレファスが連れ去ったので、おそらく御三家の一角、クロイツェフ家に匿われているのだろう。


別に御三家、エルフども全員と全面戦争をするわけじゃない。ただ、エレザを取り戻すだけ。

一番良い結果は、何かしらの交渉をしてお互いに無傷でエレザを奪い返す。

それが無理なら無理やりにでも連れ出す。


エレザをさらったのには理由がある。これだと確信できるやつはないが、エレザは地位の高い人間とエルフのハーフから生まれている。

ミドレファスも言っていたように、エレザは二種族間の架け橋となれる存在。

奴らはそれを望んでなどいないから、エレザを連れ去ったのだろう。


もしくはミドレファスが穏便派だった場合は、二種族間の交渉として使うだろう。

だが、そんな話は一度も聞いていない。師匠が知らないということは、つもりはそんな希望はないということ。

第一、うちの村を襲うなんて行動はしないはず。やはりあいつは過激派の重鎮に位置している存在のはずだ。


……エレザを奪い合いで取り返す際、奴に確実に勝てる保証はない。それ以外にも腕の立つ連中はいるだろう。

だから、そのために俺は力をつけた。師匠に魔法を鍛えてもらい、剣の実力もナルカほどでは無いが強くなった。


……そろそろ、人間族の新しい王様のところに行き、戦力やそれ以外のサポートを受ける方ができれば、より確実にエレザを取り返すことができる。

そして……俺はエレザを使って二種族間の和平の交渉をする。それが俺の目的だ。


人間族もエルフに首都を襲撃されて火は浅くない。未だに襲撃される以前より復興は進んでいない。

今再び、エルフたちに襲撃される可能性もある人間族の王様からすれば、和平交渉の鍵を奪取することも手伝ってくれるはず……!


俺はその事を師匠に伝える。師匠は『自分の信じる道を進みなさい』とだけ言ってくれた。

俺が進む道は危険だ。『それでも進むのか?』とは聞かれなかった。

師匠は聞かなくても分かってくれているのだ。俺は自分の大切な事のためなら自己犠牲をどれだけしても厭わない事を。


ナルカ、ココナ、ナナにも俺がフォレスタリア精国にエレザを取り返しに行くことは伝えた。

その前にアークボルト王国の王都へ向かうことも。その際、他の3人はここや王都に残っても良いと伝えた。

俺と一緒について来れば、命を落とす危険もあるからだ。だが……。


「ルキウス、俺が力をつけた理由は人を守るためだ。もう、あんな思いはしたくないからな。だからもし、お前がエレザを助ける時に力が欲しいのなら、俺は手を貸すよ。……ま、断られても1人で勝手についていくけどさ」


「え、私たちは兄弟なんだから、一緒にいるのは当たり前でしょ? ルキとはずっと一緒にいるつもりだよ? たとえどんなところでも、私たち2人なら行けるよ」


「あたしはご主人様と共にあるだけです。ご主人様がいる場所に、あたしは付いていく。……ただそれだけです」


ナルカ、ココナ、ナナはそれぞれ俺との同行の意思を示してくれた。

……本当に危険なんだか……。いや、3人ともそれは分かっているだろう。

それでもついて来てくれると、そう言ってくれた……。もう、俺は誰も死なせない。大切な人は全員守る。そのために力をつけた……。必ずエレザを取り戻す。


***


そして数日後。俺たちは師匠の家を出発しようとしていた。移動手段は5年ほど前に使った馬車だ。

師匠の魔道具のおかげで綺麗な状態を保ってあるので、腐敗なども心配ない。


師匠の魔道具で食材は無限に生み出せるので、それらの中からいくつかを貰い受け、またもしものために、保存食なども貰った。


「師匠、約5年間、お世話になりました」


「俺もです。剣術の稽古などを書いた本もそうですが、やはり経験での判断などを、師匠からは学ばせてもらいました!」


ナルカは師匠に実践での心得や闘い方を叩き込まれていた。単純な実力ならナルカが勝つだろう。しかし、それは単なるゴリ押しであって、技術があるわけではない。

師匠はそんなナルカに経験の差を見せつけたのだ。そしてその事を教えた。ナルカは師匠のことを心から尊敬している。


「おじいちゃん、今度はエレザちゃんも連れてくるね。そしたらまたみんなで暮らそうよ」


ココナのセリフに師匠は微笑ましげに笑った。多分、一緒に暮らすこと自体はできないからだろう。

それでもそんなことを言ってくれたのが嬉しかった。だから笑っているのだと、俺は思った。


「ガセフト様、次会ったときにもあたしやココナ様、エレザ様にセクハラしようとした場合、即座にナニを斬り落としますのでご注意を」


ナナには最後の最後まで辛口で責められていた。て言うか五年家も一緒にいた人との別れでのセリフが、とてもくだらないことで師匠もがっかりしている。

まぁ、自業自得だから庇わなくても良いな、うん。


「師匠。今までの魔法のご指導、ありがとうございました。俺が魔法をうまく使えるのは師匠のおかげです。……本当にありがとうございました。……また会いましょう」


知らず知らずのうちに涙が出ていた。その涙を手で拭うが、何度拭っても止まることなく溢れ続く。


ポン。


「泣くんじゃないルキウス。また、会える」


「っ……はい!」



師匠は俺の頭に手を置かれ、優しく撫でながらそう言った。俺は涙を抑え、最後に軽くハグをした。


***


「なんか、やけにあっさりだなルキウス」


「別にまた会うんだし、そんなにしんみりしても意味は無いじゃん。なら、一刻も早くエレザを助けるために、まずはアークボルト王国に行く方が優先だよ」


「そう言えば私たち、一応王族の血が流れてるのに王都には一回も行ったことなかったねルキ」


「たしか、王都では最先端の服やお菓子などがたくさんあるそうですよ、ココナお嬢様。あたしは密かに楽しみにしています」


「じゃあさ、着いたら一緒に行こうナナ」


「了解です。必ず行きましょう」


「ルキウス、王都には俺たちみたいに強い奴がいるかな?」


「う〜ん……ま、1人ぐらいはいるんじゃないか?」


「そっかぁ、楽しみだな」


俺、ナルカ、ココナ、ナナは各々アークボルト王国への期待を膨らませる会話をしながら、王国の首都、王都へと向かって馬車を走らせた。

もし面白いと思っていただけたなら、下にある星のアイコンの一番右を、一回だけタップしてくれるとありがたいです。


もう一つの長期連載作品である

『目覚めて始まる異世界生活〜チートが無くても頑張って生きてみる件〜』(全145部、幕章2部、設定集などなど3部の合計150部で本編完結済み、番外編投稿予定)

もよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ