決戦、そして決着
さて、マジでなんとか小一時間前に書き終えました。明日も更新……出来ればします。
「はぁぁぁぁぁ!!!」
最初に動いたのは俺だ。それを止めようと、ミドレファスがミファネリアの少し前にカバーするように細剣を構える。
ミファネリアは後ろに下がる。遠距離から魔法攻撃でもするつもりだろう。だが、クラウスはそれをさせない。
「〈聖域剣〉!」
クラウスがそう叫び、ミファネリアに向けて〈聖域剣〉を放つ。弱点のため、ミファネリアも一生懸命に避ける。
その間に俺はミドレファスに近づいていた。だが、間合いでは細剣の方が長い。突きをしては後ろに下がり、突きをしては後ろに下がりの繰り返しだった。
こちらの真剣では、間合いに入る前に下がることで、俺の攻撃を一回も食らわせられてない。だが、俺もミドレファスの細剣は服に一度かすった程度だ。今の実力は拮抗していると言えるだろう。それが崩れるとしたら、もう1人の方の展開が鍵を握る。
クラウスは俺とは違い、ミファネリアとの間合いを詰めようとはしていない。常に〈聖域剣〉を発動させて、ミファネリアに攻撃の隙すら与えることなく攻撃している。
俺が見た中でも、一番の動きだ。何か特別な力を使っているのかもしれない。最初のミドレファスの時のちからかしれないな。だが、多分あれは長く使わせてはいけない力だ。一刻も早く終わらせねば。
ルキウスは、クラウスが再び〈諸刃の剣〉と〈開放〉を使っていることに、薄々気がついていた。それがそんな代償をもつものだとは知らなかったが。
「『斬刀流!乱斬舞』!」
「はぁっ!」
キン!キン!キン!……キィン!
俺の『乱斬舞』を、ミドレファスは細剣で全て同じ軌道で相殺した。真剣と細剣では、形や重さ、重心が違うにも関わらずにもだ。化け物だな。
「『斬刀流!弧半斬り』!」
俺は『弧半斬り』を使った。だが、ミドレファスはそれを足を使って捌き、そのまま俺の勢いを利用して、カウンターで突きを狙ってきた。
「『斬刀流!十字斬り』!」
その突きを『十字斬り』で防ぐ。だが、『弧半斬り』の後に、突きを防ぐために『十字斬り』を無理やり使ったので、手も足も限界だった。
「もらったぁ!」
ミドレファスはその隙を逃さず、俺に向けて細剣で突きをしてくる。俺はそれをなんとか避け続けるが、足がもつれて肩に1発食らってしまった。《魔力障壁》はあくまで魔法攻撃や、『絶空』などの武技、聖武器の攻撃にのみ有効で、物理攻撃は防げない。
「がぁぁぁぁぁっ!!!」
「ルキウスゥゥゥ!!!」
俺の叫びに、クラウスはこちらをみてそう叫ぶ。ミファネリアがクラウスのその隙を逃すはずがない。クラウスはミファネリアをすぐ近くまで追い詰めていた。それが仇となり、ミファネリアに聖杖で腹を突かれた。
俺は肩の焼けるような痛みに耐えて、自分の不甲斐なさを呪っていた。なんで俺は弱いんだ?と自分に対して、答えの出ない質問を繰り返していた。
だが、それを考える余裕などなく、ミドレファスの攻撃が再開した。俺はそれを全て避けきる。痛みで少し冷静になれた。
「ルキウス、君は今の私には勝てない。せめて、安らかに殺させてはもらえないか?」
ミドレファスはそう提案する。だが、そんな思いはないだろう。速くミファネリアの元に駆けつけたい。そのために、無駄な時間を掛けたり、手傷を負いたくないのだろう。
「死んでもごめんだな」
俺はそう言っている間にも、この状況を打破する作戦を考える。何か、何かあるはずだ。おれは今まで何をしてきた。すごく稽古をした。クラウスやナルカ、そしてエレザに魔法を見せてもらったり……。
そうだ……でも、出来るのか?いや、出来るはずだ。だって、出来ないと言われていた魔法の一種、《魔力障壁》が出来たんだ。なら、あれだって出来るはず……。
「そうか。では、終わりにしよう」
ミドレファスはそう言って、ゆっくりとおれに近づく。一応警戒はしているみたいだ。俺は剣を構えたままだ。肩の怪我のせいで、重心が少し傾いている。
ミドレファスは少し速度を上げた。何もないと判断したらしいな。……だが……俺は、それを待っていたんだよ!
「《霧》!」
最初級の詠唱超短縮魔法である、エレザと初めて魔法を見せてもらった時の魔法を使った。
「なっ!く、くそぉ!」
ミドレファスのそんな声が聞こえた。確か、初めてエレザに見せてもらった時は、効果範囲は手の周り程度だったはずだ。だが、それから何年も経過している今では、まるで『迷いの森』みたいなレベルの霧を発生させられるレベルにまでなっていた。
俺がどれだけ使えるかは分からない。でも、ミドレファスは確かこう言った。『その歳でその魔力量』と。つまり、初めて見た時のエレザよりも霧を多く発生させられるはずだ。
俺が《霧》を使った次の瞬間、溢れんばかりの霧が発生した。俺はクラウスとミドレファスとミファネリアの力の位置を把握しているので、ミドレファスの元を離れ、クラウスとミファネリアの元に急いで向かう。
クラウスはミファネリアに聖杖でボコボコ殴られていた。1発食らったのがみぞおちだったのだ。普段ならそれぐらいでこんなことにはならないが、なにぶんクラウスも力を使いすぎていた。
「『斬刀流奥義!絶空』!」
俺はミファネリアに向けて『絶空』を放つ。俺の『絶空』はミファネリアの両足を斬り裂いた。足と胴体が分断された。そして、足を残してミファネリアは倒れた。
ドサッ!
「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
ミファネリアが叫ぶ。赤黒い鮮血が飛び出る。叫んでいて、回復魔法を掛ける余裕もなさそうだな。
「父さん!今ですっ!」
「おうっ!任せろっ!ルキウスが作ってくれたこのチャンス、絶対に無駄にはしないっ!『斬刀流、裏の剣、奥義!無刹斬』!」
キン!
その音が聞こえた次の瞬間、クラウスから5メートルは離れていたミファネリアの首が輪切りにされた。この瞬間、十五年前の戦争の原因の一端であるミファネリアは……死んだのだ。
「よ、よくも……ミファネリアを……これで、これで計画が大幅に遅れる……」
ミドレファスが遅れてこちらに来て、ミファネリアがどうなったのかを見た。すると、そんなことを言い出した。
「「次は……ミドレファス、お前の番だ」」
俺とクラウスは、聖剣と真剣をミドレファスに向けてそう言った。
「……済まないが、私までもがやられるわけにはいかない。計画は大幅に遅れるが、ミファネリアも死んだことだ。私が戦う理由は既に無い。お前達2人には勝てそうに無いしな。……次だ、次に会った時、お前達2人を必ず殺す。覚えておけ、私の名はミドレファス、ミドレファス・フォン・クロイツェフだ」
ミドレファスはそう言って浮かんで逃げる。ミファネリアの魔力だろう。この、もしもの時のためにとっておいたのか。その時に、エレザも当然一緒にだった。
ドサッ!
「待て!」
俺はそう言うが、体が動かず、無理に動かした足がもつれ膝をついた。なんでだ?……そうか、力を使いすぎた。自分でも分かる。先ほどの《霧》を使った時の力の調整を間違えたんだ。無駄な力を入れすぎた。
「父さん、エレザをお願ーー父さん!」
クラウスは地面に倒れていた。そうしている間にも、ミドレファスにエレザは連れ去られていく。嫌だ、逃さない。エレザを返せ!
力を振り絞れ。先ほど使ったので限界?なら、限界を超える。クラウスも、とっくに限界だっただろう。でも、その限界を超えてクラウスは戦っていた。なら、俺も限界を今ここで超えろ!
「ふぅ……」
そう一息をつき、心を落ち着かせる。そして、真剣を握りしめて、『絶空』の構えをとる。だが、ミドレファスとエレザは、俺の最大射程距離でも届かない場所だ。
だったら……その限界を超えるんだ。俺は目を大きく見開き、鞘に収め直した真剣を、鞘から引き抜き、そのまま真剣を縦に大きく振りながら叫ぶ。
「『斬刀流奥義!絶空』!」
『絶空』は今まで出した中でも、最大級の大きさの斬撃となって、ミドレファスに向かって飛んでいく。だが、少しずつ小さくなっていく。やはり、射程が足りなかったのか?
「届け……届けぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
俺はそう叫んだ。『絶空』の斬撃は、そのまま威力が落ちることなくミドレファスに向かっている。ミドレファスも後ろを見て、これだけは避けなくていけないことに気づく。
咄嗟に体全体を右に向ける。『絶空』の斬撃は一直線。このままでは当たらない。そして……『絶空』は、ミドレファスの左腕を落とした。
ミドレファスは痛みを我慢しながらも、エレザを連れて、どこかへと飛び去ってしまった。……俺は、家族の仇も、エレザを取り返すことにも失敗したのだった。
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『目覚めて始まる異世界生活〜チートが無くても頑張って生きてみる件〜』
も、是非読んで見てください。




