新たなる敵
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ボォォォーーーン!!!
ルキウスとクラウスに向かって《獄炎息吹》が放たれた。そして、その威力は辺り一面の木々の枝が揺れ、幹が傾いている。そして直撃した地面には、クレーターができる威力だ。
そして、そのクレーターの真ん中には、1つの物体があった。《魔力障壁》でミファネリアの《獄炎息吹》を無傷で耐えたルキウスとクラウスだ。
「なっ……ぼ、僕の、僕の最高の魔法を……なんで……なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで!」
ミファネリアがそう叫ぶ。俺はそれを聞き流し、ナルカの無事を心配する。……感じる。ナルカの力?の流れを感じる。生きている。でも、消えかけている。早急に終わらせねば。
「ルキウス、助かった。……ミファネリア、もう諦めろ。ルキウスは魔法を発動させた。魔力量は今見た通りだ。お前に勝ち目はない。大人しく……殺されろ」
クラウスは少し躊躇して、最後の言葉を発した。恐らく、自業自得なのだが、少し哀れで惨めすぎたのだろう。
「嫌だね!僕はお前達とは違うんだ!そう、僕は選ばれてるんだ!こんなところで死ぬわけにはいかないんだよ!……今回は仕方ないから帰ってあげるよ。良かったね。僕が優しくて」
ミファネリアはそう言って、逃げるように去って行こうとする。だが
「逃すと思ってんのか?」
クラウスが逃げたミファネリアの目の前に立つ。恐らく、今までで一番早い動きだった。
「くっ!来るなっ!《乱輝光ーー」
ザシュッ!ポロっ!
ミファネリアが魔法を唱える前に、クラウスが杖を持つ方の手首を落とす。
「あ……あ、ああ、あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!手がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!僕の手がぁぁぁぁぁぁぁあ!!!」
ミファネリアはそう叫ぶ。クラウスはそんなミファネリアに近づき、聖剣で首を撥ねようとする。
「じゃあな。今度こそ、クロウとディザイアに向こうで土下座をしろよ」
そう呟きクラウスは聖剣を振った。そして……聖剣は空を斬った。
「こいつを殺されては困る。悪いが殺させる訳にはいかない」
その声は俺とクラウスの上から聞こえた。顔を上げると、そこには右側にミファネリアを抱える、1人ダークエルフがいた。
ミファネリアは手を切断された痛みで気絶している。そのダークエルフは、ミファネリアのその傷を魔法で治し終わっている。そして、左側には小さな女の子……エレザが抱えられていた。
「……離せ……エレザから離れろ!『斬刀流奥義!絶空』!」
俺はそう叫び、そのダークエルフに向かって『絶空』を放つ。だが、ダークエルフの《魔力障壁》に、いとも簡単に掻き消されてしまう。
「ふむ、その若さでこれほどとは……そこの勇者と同じように消そうか。若い芽は早めに摘んでおく方が良いだろう。《雷》」
ダークエルフの左手から、青白い電気が俺に向かって来る。
「っ!《魔力障壁》!」
《雷》を《魔力障壁》で防ぐ。あと0.1秒ほど遅かったら死んでいたかもしれない。
「ほう?その魔力……凄まじいな。エルフでないのが本当に惜しい」
ダークエルフはそう言う。俺はそれを無視して尋ねる。
「待てよ、エレザをどうする気だ?……エレザがここにいるはずがない。なら……アリエス、リーシェ、ココナ、エブラハムさんはどうした?」
「……こいつはまだ使い道がある。殺しはしないさ。前の3人は知らないな。エブラハム……我が愚息は殺したさ。……あぁ、その場に人族の女が3人いたな。そいつらか?一応殺しておいたはずだ」
「「殺すっ!」」
俺とクラウスはエブラハムさんのお父さんと思わしき、家族を殺したダークエルフに向かってそう言う。
「「『斬刀流奥義!絶空』!」」
俺とクラウスは同時に絶空を放つ。その後すぐに
「『斬刀流!双龍』!」
「『斬刀流!乱斬舞』!」
俺が『双龍』を、クラウスが『乱斬舞』を飛び、ダークエルフに向けて繰り出す。
「無駄だ。私の《魔力障壁》は破れない」
『絶空』、『双龍』、『乱斬舞』は、ダークエルフの《魔力障壁》によって防がれる。
「ふむ……何故、お前は剣を使っている?魔法を使えばいいだろう?」
「……自分で考えてみたら?実はこんな理由が……なんてのがあるかもしれないよ?」
こう言っておくことで、俺はダークエルフの意識を集中しにくくさせる。
「ふむ……お前はついさっき覚醒したばかりだな?魔力制御が上手く出来ていない」
ちっ!バレたか。口には出さないが。だから、魔力制御ってなんだよ!
「では、私もそろそろ反撃させてもらおうか」
ダークエルフはそう言うと、エレザとミファネリアを空中に手放す。だが、重力は働くことなく、空中に浮いている。自分自身も同じように浮かしているのだろう。そして、腰に下げていた一本の細剣を抜く。
「いざっ!参らんっ!」
ダークエルフはそう一言を残し、空中を蹴ってクラウスに向かっていく。細剣を持つ方の手を突き出しているので、突き技だろう。
「はぁぁぁぁぁ!」
クラウスは細剣の重心を、聖剣で少しだけズラす。それにより力の加わりが掛かり、細剣はクラウスの横を突き刺す。
そして、クラウスは聖剣を細剣に滑らせ、勢いでダークエルフを斬ろうとする。だがそれを、ダークエルフの持つ、もう一本の細剣が防ぐ。
そのまま膠着状態が続き、クラウスとダークエルフはお互いに距離を取る。
「まさか二刀流、しかも細剣とは驚きだな」
「ふむ、剣の勇者の実力はよく分かった。では次は本気でいかせてもらおう!」
「ハッタリを!」
そして、2人は再度間合いを詰める。ダークエルフが再び細剣を前に、体ごと前に出る。
細剣は脆い。少し強く横から力が加われば、いとも簡単に折れる。だがその代わり、攻撃速度はとても速い。剣の場合、『振りかぶる』『前に出る』『斬る』の三動作が必要だ。
だが細剣の場合、『前に出る』『突く』の二動作で終わる。だが、狙う場所はかなり限られる。
「はぁっ!」
ダークエルフはクラウスの首を狙って、細剣を突き出す。クラウスは体を10センチほどの最小の動きで、横に回避をする。細剣は1発、1発ごとの溜めが重要だ。攻撃方法が刺突のため、速度が無ければ十分な威力は出せない。
クラウスはそれをよく知っている。細剣の勇者がそうだったように、クラウスは対『細剣の勇者』用の行動をとろうとした。だが……。
「がっ!」
クラウスの肩に、もう一本の細剣が突き刺さっている。細剣の勇者は一本。対策など大した意味はなかった。
「父さん!」
俺はそれを見て、ダークエルフに突っ込む。剣を2、3撃ぶつけるが、全て防がれる。
「はぁっ!」
今度はクラウスが攻める。それに乗じて俺も攻める。同時に来られるとさすがにきついのか、少しずつ下がられていく。
「「はぁぁぁぁぁぁぁ!!!」」
「くっ!はっ!」
俺とクラウスの素早い連撃にダークエルフは1人で対処をする。
ギィーーーン!
金属の叩き合うような鈍い音が響き、お互いに鍔迫り合いとなった。
「どうした?本気を出すんじゃなかったのか?」
「……ふむ、2対1ではさすが分が悪い。まずは弱い方から片づけさせてもらおう」
そう言い、ダークエルフは俺を集中的に狙い出した。細剣相手はしたことがない。めちゃくちゃやりにくい。
「はぁっ!」
ボキッ!
ダークエルフは二本の細剣に意識を集中させておき、その隙をついて蹴りを入れられた。肋骨にヒビが入ったと思う。そのまま俺は吹っ飛び倒れる。
……痛い……肋骨を折られただけでこんなにも痛い。アニメや漫画じゃ『肋骨何本折れたわ』みたいなことを平気で言っているけど、実際はこんなにも痛いのか。まぁ、向こうじゃ紙で指切っただけで『痛いー!』なんて言っていたが。
「ルキウス!……くそっ!ダークエルフ、名を名乗れ!」
「ふむ、お前はたしかクラウスと呼ばれていたな。いいだろう、こちらだけで一方的に知っているのは不公平というものだ。私の名前はミドレファス・フォン・クロイツェフ。エルフの御三家の当主である。私の目的はうちの愚息、エブラハムの娘、エレザを取り戻しに来た。それだけだ」
つまり……エルフのトップ3みたいなものか。最悪だな。だが、当主に護衛は1人も無しなのか?むしろ邪魔になる程強いとか?
「つ、つまり……この村を燃やしたのは、あくまでミファネリアの独断で、あなた自身の目的はこの村ではない、と言うことですか?」
俺は折れた肋骨を抑えながら、ミドレファスに尋ねる。
「そうだ。だが、お前たちは2人は私たちに敵対する勢力と断定しよう。現に私に歯向かっていること、目的は家族の仇とエレザの身、非常に危険なのでな」
「〈聖域剣〉!」
クラウスがミドレファスのセリフが終わると同時に〈聖域剣〉を使って、遠距離から攻撃をする。
「ルキウス、とにかくそいつから離れろ!……すまないが、おそらく2人だろうとこいつには勝てない。……だから、ちょっと奥の手を使う。ルキウスはナルカを助けて逃げろ!」
クラウスはそう言って、ミドレファスに斬りかかる。ミドレファスはそれらを全て防ぎきり、ナルカの元に向かう俺に手を向ける。
「逃すと思うか?」
そう言って、《氷弾》を放ってくる。俺はそれらを剣で斬って防ぐ。そして、その手が緩まるまで逃げた。
ナルカの居場所は分かる。先ほどよりも、力が弱まっている。このままの減少量ならば、15分ほどだ。急げっ!
……居た。体の所々に焼け跡が付いている。確か火傷は冷水で冷やせばいいんだよな?水は出せないし、この辺りにはない。くそっ!魔法が使えれば!
「ナルカ、意識はあるか?」
「……ルキ……ウス、か?……ははっ、悪い……ヘマしちまった。身体中が熱い……喉が渇いた。水が飲みたいんだ」
「悪いナルカ、今は無理だ、我慢してくれ。父さんがすぐにダークエルフを倒して、《回復》を使ってもらって治してもらう。だから、今は耐えてくれ。ダブルデートの約束、忘れたわけじゃないだろう?」
「……分かった。……だから……ココナさんの……恋人にーー」
「無理……この戦いが終わったら、考えてやる。だから生きろ」
「へへっ……サンキュー」
その時、後ろで不自然な光が見えた。クラウスとミドレファスの方だった。
面白かったら感想、誤字脱字報告、ブクマ、ptお願いします。
あと、私のもう1つの連載作品の
『目覚めて始まる異世界生活〜チートが無くても頑張って生きてみる件〜』
も、是非読んで見てください。




