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ルキウス、ナルカVSエルフ達

ドサドサッ!


ミファネリアの上半身と下半身が、バラバラになって地面に落ちた。


「「ミファネリア様!」」


何人かのエルフ達が俺の存在に気づいた。俺はその事にほとんど気がついていなかった。『絶空』を初めて放った事により、心から感動していたからだ。


「ルキウス!横だ!」


クラウスの声に、俺はずっと意識を戻す。そして、左から迫っていた1人のエルフの突きを回転して避け、そのまま剣で首を斬る。


「ルキウス!何故戻ってきた!」


クラウスはエルフ達の攻撃を振り切り、俺の元に立ちそう説教を始めた。


「父さん、死ぬつもりだったじゃないですか?絶対にさせませんよ。俺とは違って、父さんにはまだまだ人生があるんですから」


フュッ!キィーン!スパッ!


「訳の分からないことを言うな!俺は父親として、子供のお前を守る義務がある!俺が守るから、今すぐ帰れ!」


バァンバァン!キキキキンッ!


「なら、父さんも一緒にです。それが無理ならその村の原因が無くなるまで、俺も一緒に戦います」


俺とクラウスはそんな言い合いをした。途中、エルフ達の魔法攻撃を避けたり、弾いたりしながらだが、特に問題はなかった。


「舐めるなぁ!このガキィ!」


そう言って、俺たちの対応にキレたエルフの1人が、俺に向かって突っ込んでくる。接近戦に関しても、多少の心得はあるようだ。動きで分かる、でも……。


「邪魔しないでください」


ガン!


俺は柄の部分で、突っ込んできたエルフの顎を狙って、下から思いっきり当てる。それによってか、脳震盪が起こったように倒れる。


「ルキウス、お前やっぱりニョルギールとの戦いから一段と強くなったな。でも、ダメだ。今はミファネリアをお前が倒してくれたが、またすぐに次のクローンが来る。今のうちに逃げろ。……それとさっきの『絶空』は良かったぞ。俺は15歳の時に会得したのに、お前は10歳になる前に会得するなんてな。今後も続けていけば、いずれは俺を超えるだろう。だから、今は逃げろ。いくら強くても、数には勝てない」


「喰らえっ!」


フューン!ギィーン!ガーン!


「ありがとう父さん。でも、数には勝てないってことを聞いたら、なおさら逃げるなんて出来ませんよ。父さんには、ココナの人生を見守る義務があるんですから。だから、父さんは絶対に死なせはしません。俺の命に代えてもです」


ザシュッ!バキッ!


俺とクラウスは次々と迫り来るエルフ達は一人一人倒して行く。剣で肉の繊維を切り裂く音、骨が折れる音が響く。


「ふざけるな。お前にも生きる義務がある。そして、それを守る親の義務が俺にもある。お前は大人びているからそんな風に言えるがーー」


「父さん、黙っていたけど……俺は一度死んでるんだ。だから、これは2度目の人生。でも、父さんは1度目の人生。どっちを大切にすればいいかなんて分かりきってるんだよ」


俺はクラウスの言葉を遮り告白した。周りのエルフ達は何をやっても無駄だと思ったのか、今は無意味に攻撃はしてこなかった。


「待て!何を言っている?ルキウスが死んでる?どう言うことだ?」


クラウスは混乱するように手で頭を抱える。


「父さん、詳しいことは後で話します。ですから、3人で生き残りましょう」


「……分かった…………待て、3人?」


クラウスは人数の違いに気がついた。


「はい。ナルカも来てくれています」


「何!……ナルカは一番死なせてはいけないな」


「そうですね。頑張りましょう」


そう、会話が終わった時だ。


「クラウスと劣化クラウス〜〜!よくもやってくれたなぁぁ!」


ミファネリアのクローンがきた。記憶は前の固体から引き継がれるのだろう。それよりも、誰が劣化クラウスだ!……確かにそうかもしれないが。


「ミファネリアか。さっきよりも遅くなかったか?」


クラウスが尋ねる。そうなのか。何か予期せぬことが起きたのかもしれないな。


「……そんなことはどうでもいいよね〜?それよりもさ〜、そこのガキ!僕とクラウスの神聖な戦いを邪魔しないでくれるかな〜!君は後で色々人体実験やら、趣味の拷問やらで色々構ってあげるからさ〜!」


ミファネリアはクラウスの質問をはぐらかし、俺に対してそんなことを言ってきた。


「神聖?1対1で戦えない臆病者が何を言ってるんだ?」


「…………やっぱ、お前から殺すか」


俺がそう煽ると、ミファネリアはそれに躊躇を一瞬見せた。だが、改めてミファネリアはそれに乗る。そして、ミファネリアはそう言って、自体の近くに落ちていた杖を引き寄せる。クラウスの聖剣の時よりも、若干引き寄せる速度が遅いな。武器の差か?


「死ねよ。《乱雷球(ディスターブサンダーボール)》」


ミファネリアの周りから、雷の球が10数個出来上がる。サイエスの《雷光弾》は4発の黄色だったが、《乱雷球》は青白い色だ。その球が不規則な動きで、俺に向かって飛んでくる。


「『反剣流!撃裂波(げきれつは)!』」


ナルカが飛び出し、ミファネリアの《乱雷球》を次々と破壊していく。衝撃波を与えながら、剣の刀身をうまく使って受け流す。《乱雷球》は周りのエルフ達に飛んでいき、半数のエルフが避けきれずに《乱雷球》を食らった。


食らったエルフ達は体に電気が走り、体が少し焦げたように煙を出す。そして、心臓が電気ショックで止まる。『反剣流』だからこそ出来た技だ。『斬刀流』なら、真剣を通して電気が伝わり、俺たちもあんな風になっていたかもしれない。


「悪いルキウス、遅くなった」


ナルカは主人公のピンチに駆けつけた最高の仲間みたいな登場をした。それ、俺がやりたかったやつなのに……。


「いや、全然。むしろナイスタイミングだ」


俺がそうナルカに伝える。


「なんだよ〜!またガキが増えた〜!なんなんだよ!俺の邪魔をすんなよ!おいエルフども!あのガキども全員殺せ!ダークエルフは僕と一緒にクラウスを殺すぞ!」


「「「はっ!」」」


ミファネリアの声に、命令されたエルフ達は素直に従い、俺たちに向かって迫って来る。幾ら王都を落とせるからって、そんな風に言うことを聞けるなんてすごいな。


「ルキウス、ナルカ、来るぞっ!」


「「はい!」」


俺とナルカはクラウスの言葉に返事をして、二手に分かれる。向かってきたエルフのほとんどは、やはり俺とナルカの方にきた。


「ナルカ!俺の背中は任せた!基本的に1人も通すつもりはないが、万が一のためだ!」


「了解ルキウス!……ルキウス、クラウスさんって剣の勇者だったんだ。道理で……」


ナルカはそんなことを言い出した。クラウスの持つ、聖剣をみてそう言ったのだろう。



「そうだ。黙っててすまなかったな。その謝罪も後でたっぷり聞く。だから今はこの戦いに集中だ。……さぁ、この村を守るんだ。来いっ!」


ナルカに指示を出し、俺は向かって来るエルフ達に向かってそう言った。


エルフ達は次々に魔法を繰り出して来る。火の球、水の球、風の球、雷の球、etc……や、火の槍、水の槍、etc……などだ。


連携もクソもないエルフ達の魔法は、俺を狙ったものばかりだ。つまり、一回避けるだけで、ほぼ全ての攻撃を避けることになる。無論、何発の魔法は動きを先読みして放たれる。だが、俺はそれを全て避けたり、受けたり、弾いたりしているので無傷だ。


正直言って楽だな。これなら、エレザ1人を相手に訓練をしている方がよっぽどきついぞ。エレザは魔法が誤爆しないように、いつも自分の家の近くでやっていたからな。遠慮なんてなかったし。


そんなことを考えながら、俺は1人、2人とエルフを着実に倒していく。首を斬れば良いのだが、ナルカのこともあるので、戦闘不能状態にまでで押しとどめている。もちろん殺す方が簡単なので、結構体力は使う。


お!ナルカの方にエルフが数人向かって行った。ナルカの方が後衛だったため、先に弱い方を片付ける作戦だろうか?だが、ナルカを甘く見過ぎだな。あいつはピンチになればなるほど力が増す。時々何度も負けかけた俺が言うのだ。間違いない。


だが、俺はそれを見ると同時にナルカの方に戻る。念のためだ。だが、いつの間にか連携を取っていたのだろう。その動きを予測して、魔法が次々に放たれる。


そうか、先ほどの考えは誘導か。本当の目的は俺を倒すため、ナルカを囮に使われた。確かにこんな所に、すぐに倒せるような雑魚を一緒に連れて来るなんて普通は思うまい。


それに、さっきの連携云々の話も忘れていたが、あいつらには魔法で意思疎通が出来るようだしな。ミファネリアはまだ慣れてないのだろうか、咄嗟に口で出していたしけど。それとも、口で出した方が良いかもしれないな。


キン!キン!キキキキン!


俺は全ての魔法攻撃を真剣で弾き返す。その結果、自分の魔法で死んでしまったエルフも出たが、まぁ仕方がない。確かに可哀想だとは思うが……クラウスの、家族の、ナルカの、エレザの命を脅かしているんだ。『仕方がない』と頭で無理やり納得させる。


「それよりもナルカは……大丈夫そうだな」


ナルカの方を見ると、普通にエルフ達を斬っていた。赤黒い血が出る。ナルカは罪悪感のある顔を多少はするも、割り切るように次のエルフへと刃を向ける。だが、多少人数が多くなってきてはいるので、他のエルフ達の妨害を押しのけ、俺はナルカに攻撃しているエルフ達を斬る。


「ルキウス!ありがとう!」


「だから気にするなって。お前がいるだけでどれだけ助かるか。この戦いが終わったら、父さんに頼んで何か何か好きなのプレゼントするように頼んでやるよ」


「じゃあ……ココナさんをお嫁さんにーー」

「無理」


「…………恋人にーー」

「無理」


「…………友達からーー」

「無理……ってお前まだ友達じゃなかったのか?なら良いよ。ついでに2人じゃないけど、ピクニックに誘ってやるよ。デートだ、ダブルデート。俺とエレザ、ナルカとココナお姉ちゃんで。約束な」


「おう!」


俺とナルカはそんな約束をし、再び戦いへと集中し、意識を戻していった。

面白かったら感想、誤字脱字報告、ブクマ、ptお願いします。

あと、私のもう1つの連載作品の

『目覚めて始まる異世界生活〜チートが無くても頑張って生きてみる件〜』

も、是非読んで見てください。

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