目がーーー!目がーーーーーー!
……ここは何処なんだろうか?
そういえば俺は急に苦しくなって、そのまま死んだはずじゃ?
もしかしてまた奇跡的に生き残ったのか?というか何だか感覚が変だ。
両足ともあるような感じがする。
だが、それを確かめようにも、俺の目は見えない。
一体ここは何処なのだろうか?
ベッドの上では無いことは分かる。ただ、寝ているのに何も感じない。
水の上に浮いているような感覚だ。
そうだ、手を動かして足の存在を確かめようとする。恐る恐る手を足の方に持っていき……あった。
……ある。足がある!何でだ?
足があるなら目も戻っているんじゃ!
普段は開いても閉じても関係ないので、ずっと閉じていた目を開ける。だが、そこは何も無かった。
真っ暗だった。ただし、いつもの失明した事によるものとはまた違う感じの黒だ。
「何処だここ?」
思わず声に出してしまった。
目がみえる。足もある。そして自身の声が聞こえたことから、耳が聞こえるようになっている事も判明した。
そして、俺は裸だった。股間は修正されていて無くなっていた。
我が息子よ何処に?てかどうしよう?死んだと思ったのに、実は生きていたけど別の場所って。
いきなりのことで体が元どおりになった喜びよりも不安の気持ちが優っている。
【上に来なさい】
いきなりそう聞こえた。
誰か俺以外にも人がいるのか?
そう考えて上に上がろうとして……どうやってだよ?
【念じなさい】
またその声は聞こえてくる。他に当てもないのでそう念じてみた。
するとどうだろうか。体が勝手に上がってく。
そのまま何時間が経っただろうか?依然、俺の体は勝手に上がり続けている。
そして、俺の体なのに制御できないようだ。
その間に俺は少し泣いていた。今まで不自由な生活をしていたのだ。
何も見えず、何も聞こえず、そして動けずにただ心臓を動かすだけの存在になっていたのだった。
それがこんな状況とはいえ、一時的かもしれないが見える、聞こえる、動けるのだ。
いや、制御は出来ないが。
その、人として出来る当たり前の事に、俺は感動していたのだった。
そんな感傷に浸っていた時だ。
カッ!
眩しい光が見え始めた。久しぶりすぎて目がやられた。
「目がーーー!目がーーーーーー!」
言ってみたかった。
だけど本当に目がやられてチカチカする。もうちょっと考えて欲しかったよね。
そうしているうちにも光はどんどん近づいてくる。
俺も目が慣れたので見ている。さっきの声はあの光か、その先に待つものだろうか?
よく分からないが、一度死んだ身だろう。
もう怖いことは無い。そう心に言い聞かせて、光に接触したのだった。