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学校へ

今日の夕方に森から帰って来たら、アリエスが豪勢な食事を作ってくれていた。

ついでに余りは明日の昼の弁当となる。

現在は風呂に入り終わって、部屋に戻り、明日の準備をしていたところだ。


準備するものは羽根ペン、ノート、弁当、水袋だ。

この世界では既に木から作れる西洋紙があるため、どの家庭でも買える値段でノートが売られている。

そして学校で使う教科書は1つ1つが魔術で写本されているので、現代ほどでは無いが手書きという手間が省かれている。


「えへへ〜〜、明日からルキも一緒に学校に通えるねー。何かあったらお姉ちゃんに任せなさい」


胸を張り、手でトンと叩いてココナは俺にそう言った。


学校か……。中学校ぐらいからは嫌な思い出の方が多いな。

親がお金を持っているからか色々なタイプの人が寄って来た。

ほとんどが金に目が眩んだ奴らだったが。


俺は一応勇者の息子なんだよな?てか、王族にも当てはまるんじゃないか?

そこら辺は王位継承権とか、色々めんどくさそうだから近いうちに、アリエスにでも聞いておこう。


まぁ、そんな肩書き?があるから人が寄って来るかもしれないな。

ただ、小さい頃はお金とか大して分かっていない子供が多かったから今の所は大丈夫だろう。


「それじゃあお休みルキ」


ココナが部屋のランプを消してベッドに入り寝たので、俺も続けて寝るようにベッドに入った。


***


ユサユサと俺の体が揺れる。誰かが起こしに来たらしい。


「起きてくださいルキウス様。ご飯ですよ」


「……リーシェさんありがとうございます」


そう言って俺はベッドから降りる。隣を見るとココナも先に起こされたのかパジャマから着替えている。

感想は無い。俺はロリコンでは無いからだ。


俺も前日から用意していた服に着替える。

俺が通う学校の初等部は制服が無く、あるのは中等部からだ。

ここら辺は地球と同じと。

着替え終わり階段を降りると、クラウスが立っていた。


「ルキウス、お前にも話しておくことがある」


そう言って真剣な眼差しでこちらを見て来るが、理由は分かっている。

ココナが入学する時、同じ話をしていたのだ。


その時は俺が2歳だったから覚えていないと思っていたのだろう。

実際はその会話でクラウスが勇者、アリエスが元王女、ココナが勇者の娘、おれが勇者の息子で共に王族ということを知ったのだが。


「なんですか父さん」


「お前は……ココナもだが、2人とも血筋は勇者の息子で王族と言う事になるが、今はお前なら分かるよな?」


「はい父さん。それがどうかしましたか?」


「いいか。学校じゃそのことは絶対に喋ってはいけない。お前たちの命の危険があるからだ」


「身代金目的の誘拐とかが起こるかもしれないからですよね?」


「え?あ?そ、そうだ。このことはココナにも聞かせてある。2人ともちゃんと守るように。これはこの家の約束だ。もし破ったら晩御飯抜きだからな」


「分かりました父さん。絶対に誰にも言いません。安心してください。僕も僕自身やお姉ちゃんのためにも、絶対にです」


「そうか。お前は理解力がある。安心しておこう。それと……ちゃんと『ココナお姉ちゃん』と呼んであげなさい」


「……はい……」


なんでだよ?


「それともう1つだが……お前は他の子よりも剣の実力があるからといって、威張るんじゃないぞ。強さは弱いものを虐めるためのものじゃない。大切な人を守るためにあるんだ。そのことを忘れないように」


「はい。あっ、あと父さんは女の子にモテるためでしたね?」


そう言ってニコッと笑いそう返すとクラウスが


「確かにそうだけど……違うぞルキウス。父さんは決してモテたいために剣を始めたんじゃないぞ。あくまでついでにそうなっただけであってだなーー」


「分かりましたよ父さん」


「うぉーい!待て!本当に違うからな!」


そんな会話をした後は朝ご飯を食べ終わり、カバンを持ち玄関に向かう。


「ココナにルキウス、ちゃんとハンカチは持った?ルキウスはもう一回確認しましょうね。羽ペンケース、お弁当、水袋……よしっ!ちゃんとあるわね。やっぱりルキウスはちゃんとしているわ。ココナが初めての時はお弁当を忘れて行っちゃったんだもの」


「ちょっ!ママ!ルキの前で言わないでって!」


「あらあら、ごめんなさい。でもやっぱり心配で」


「もう!ほら行くわよルキ。パパ、ママ、リーシェさん、行ってきまーす」


「父さん、母さん、リーシェさん、行って参ります」


こうして俺たちは学校に向かう。知らない道はなんだかドキドキするな。

俺自身はこの家の周辺から出た事は無いのだ。

家の周りを走って、剣を振って、読書して、なんてことばかりしていたからな。


辺りを見渡すと、今歩いている整備された道の左右に木が等間隔程度に並んである。

ここら辺は窓からもはっきりと見えていた。


俺が知らないのはこの山を降りた村のことだ。名前はリコール村と言うらしい。

ココナと一緒に行くついでに色々な場所を教えてもらうことになっているので、いつもよりもココナと俺はいつもココナが学校に行く時間よりも多少早く出ていたのだ。


「まずねー、あの家がミーシャちゃんの家でー、あっちがマイちゃんの家なの」


「それであっちの家がこの村の村長のルーズさんの家なの。それであっちのでっかい建物が『神勇教(しんゆうきょう)』の教会って場所なの。それであっちがーー」


ココナは一生懸命俺に村を案内してくれている。神勇教っていう名前の宗教団体の教会ってことだな。

この世界にもやはり宗教はあるのか。

神?勇?もしかして『勇者は神だ』見たいなスタンスの宗教か?

クラウスよ、バレたら色々面倒だったから喋るなって言ったんだな。


「おっはよーーーココナちゃーん!隣の子だーれー?」


振り返るとココナと同い年くらいの女の子が手を振りながら、走りながらおそらく俺のことを尋ねている。


「あっ!シャルちゃん!私の弟のルキウスって言うの。ルキって呼んでいいよ」


おい!勝手に決めんなよ!……まぁいいか……。


「よろしくルキくん。ココナちゃんの妹なんだって?私はシャルって言うの。よろしく〜」


明るい元気な子だな。髪は茶色で肩が隠れるくらいまで伸びている。


「おはようございますシャルさん。名前はルキウスと言います。今日から同じ学校に通うことになりますので、よろしくお願いします。それと僕は弟です」


「……………え?」


「え?」


なんだ?シャルが急に固まった。


「えぇぇぇぇぇー!!!この子本当にココナちゃんの弟!嘘でしょ!すっごく礼儀正しいじゃん!」


「なっ!失礼な!私の弟に決まってるでしょ!ねぇールキ、シャルちゃんに言ってやってよ」


「その気持ちはよく分かりますね」


「ルキに裏切られたーー!」


ココナよ、一体何をしたら実の弟かどうか疑われるような学校生活をしているんだ?


「あっ、そうだ。シャルさんも一緒に行きましょう。ついでにこの辺りを案内してくれると助かるんですけど良いですか?」


「あったりまえよ。ココナちゃんの弟っていうからどんなのかと思ってたらココナちゃんとは雲泥の差なんだもんねー」


「シャルちゃん酷いよー!」


そんなコント?見たいな会話をしつつ、2人でこの村の案内をしてくれた。

そして学校に着いたのだった。

面白かったら誤字脱字報告、ブクマ、ptお願いします。

あと、私のもう1つの連載作品の

『目覚めて始まる異世界生活〜チートが無くても頑張って生きてみる件〜』

も、是非読んで見てください。

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